まず・・・散らかった部屋は片付けよう。
ゴミだらけだ。
耳から血が出る。
ずっとその匂いが気になっていたが、
なんのことはない
血の匂いなのだ。
腐った血の匂い。
部屋を見回す。
脱ぎ散らかした服や本に紛れて
ヴィム・ベンダースの「パリ・テキサス」を見つける。
今日は帰ってきたらそれを見てみよう。
自慢じゃないがヴィム・ヴェンダースの映画を最後まで
眠らずに見通したことは一度も無い。
だから思い出すことって、情景だけで筋ではない。
それって素敵だ。
時々、「東京画」の笠智衆を思い出す。
眠ってしまってもよいと
つきはなす映画は得がたい。
脱ぎ散らかした本に失われた時を求めてが転がっている。
僕はそいつを摘み上げ
ポンポンと腹をはたいてやり、
元々の場所に戻してやった。
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