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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年11月22日(土)
バター

知っての通り、みんな自分だけのバターを持っている。
年頃の女の子が口に紅さすのと同じように
もう家族のお下がりじゃ我慢ならない。
そう思い立った君は取っておきのバターを作り始める。
他の誰もがそうしたように。
自分だけのバター
ひっそりとした屋根裏部屋に逃げ込んで、
ただ一人で造らねばならない。
時々、君の母親が様子を見にやって来る。
君の作ったばかりの温かなバターを
こっそり舐めるため。
君の顰蹙を買うけれど。
仕方が無い。
一生に一度、自分の種に敏感になる季節
母親は肩を落として君の部屋からスゴスゴ立ち去る。
喉まで出かかった言葉を飲み込んで。
塩が少し足りなかったのだ。
それから試行錯誤の幾星霜。
今日はいいバターが作れただろうか?