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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2003年11月25日(火)
セイレーン

深い眠り。ヤマネみたくヒシと自分を抱き締めて、窓の向こうは押して進んでいけるほどに冷たい。銀色の光。ホラから覗く空。静かな空。

眠りに痺れてしまった指。それから菓子箱を振るような咳。カーテンみたいに体は斜めに傾いでいる。喉の渇き。軽い偏頭痛。すっきりとしない視界。

青い街並みを赤いマントで切るピカデリーが常に頭を離れない。彼のナイフの形でも見たいとでも思っているのだろうか。ズッシリとした石畳を木靴の音がずっと続いていくような、

それから電話だ。その背後には高円寺の薄っぺらい賑わいが。まるで「東京画」みたいな賑わい。

僕はベイビーピンクみたいな女の子のことで頭が一杯。可愛いエレピの音が鳴っている。ケーキになったような気分。それ以外何も考えられない。

それでも、澄んだ空気に濃い蒸気がモクモクと立ち昇る。