日常喜劇

2001年12月27日(木)


裏の家のおじいさんが亡くなった。
つい最近まで、脳梗塞だか脳卒中だかで長いこと
入院していたらしい。
そして退院してすぐ、畑仕事をしていて倒れたらしい。
病み上がりの体をおして働いたのが寿命を縮めたのは
間違いないだろう。
あの日の寒さは覚えている。
今年一番の冷え込みとテレビで騒いでいたのも頷ける、
本当に寒い一日だった。
私など、寒くて外で一分とじっとしていられず、
駅まで走って行ったほどだ。
そんな日に外へ出て仕事をしていた。
誰に強要されたわけでもない。
むしろ制止を無視して働いていたらしい。
そして倒れて。
病院へ運ばれ。
意識の戻らないまま。
逝った。

その話を聞いて衝撃を受けた。
たかだか20数年しか生きていない私には
とても真似できない逝き方だと感動して、
ひどく羨ましくなった。

さほど懇意にしていたわけでもない。
顔も名前もよく知らない。
向こうとてこちらの顔など覚えていないだろう。
どこにでもいるありふれた老人のありふれた死に様。
でもそれは、どんな大層な自殺も完全な殺人も
一笑に伏してしまえるくらい
見事な死に様だと思った。


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牛良 [MAIL] [HOMEPAGE]

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