恩田さんの本は、短編集に入っていたのをのぞけば、 「ネバーランド」「六番目の小夜子」「三月は深き紅の淵を」 「月の裏側」に続く、やっとこ5冊目。 この4冊の中では、ことSFチックで映画っぽい「月・・・」がイチオシ だったが今は違う。 「光の帝国」、すごくいい。 常野のひとびとは、延々と長い歴史の中にひっそりと息づく、 まさに一族なのだ。 しかも強い絆で結わえられた。 連作短編集なのに、どれも趣きをがらりと変えていて、それぞれが 長編のように濃い。 表題作の「光の帝国」には、泣けた。 全体を通してまだ「常野物語」は完結していないと思わせるが、 あとがきにもあるようにいつかその続きは書かれることだろう。 いや、書いてもらいたい。 特別な力を持つ、という話は、難しい。その力を本人がどう受け入れるか という葛藤は、書き尽くされてきたような気がするからだ。 しかしこの話はそれを「常野」にくくることで、なぜだか懐かしい、 不思議な色合いを帯びている。 恩田ワールドにはまるかも・・・・・。
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| 2002年04月03日(水) |
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