★恩田陸。 『光の帝国』

恩田さんの本は、短編集に入っていたのをのぞけば、
「ネバーランド」「六番目の小夜子」「三月は深き紅の淵を」
「月の裏側」に続く、やっとこ5冊目。
この4冊の中では、ことSFチックで映画っぽい「月・・・」がイチオシ
だったが今は違う。
「光の帝国」、すごくいい。
常野のひとびとは、延々と長い歴史の中にひっそりと息づく、
まさに一族なのだ。
しかも強い絆で結わえられた。
連作短編集なのに、どれも趣きをがらりと変えていて、それぞれが
長編のように濃い。
表題作の「光の帝国」には、泣けた。
全体を通してまだ「常野物語」は完結していないと思わせるが、
あとがきにもあるようにいつかその続きは書かれることだろう。
いや、書いてもらいたい。
特別な力を持つ、という話は、難しい。その力を本人がどう受け入れるか
という葛藤は、書き尽くされてきたような気がするからだ。
しかしこの話はそれを「常野」にくくることで、なぜだか懐かしい、
不思議な色合いを帯びている。
恩田ワールドにはまるかも・・・・・。
2002年04月03日(水)
By ちゃいむ

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