「斃れし」は、「たおれし」と読む。 渡辺容子さんは、江戸川乱歩賞作家だ。受賞作「左手に告げるなかれ」 は、ワタシの未読の塔に積まれたままである。
病院での日常が、実にリアリティにあふれていて、一気に読める。 どちらかというと、サスペンスの要素が強いようにも思えるが、 多くの謎がたたみかけるように解かれていく過程は、やっぱり本格なのか。 主人公は妻子ある男性と交際中だが、「彼を守るために」という大義名分 を持って謎に迫っていく。その姿勢は最後の最後まで崩れることはない。 ワタシの辞書にはそういう恋愛の形はないけれど、愛することは 守ること、それは真実かもしれない。 「あのひとを守るのはこの私」。 時々破綻しそうになるほどの、彼女の激しい情熱にとまどいながらも、 不思議とこの主人公の生き方はそれほど嫌ではない。
それにしても・・・・糖尿病とは本当に大変な病気だと思う。 もちろん、大変なのは他の病気でも同じことではあるけれど。
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2002年06月03日(月) |
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