★渡辺容子。 『斃れし者に水を』

「斃れし」は、「たおれし」と読む。
渡辺容子さんは、江戸川乱歩賞作家だ。受賞作「左手に告げるなかれ」
は、ワタシの未読の塔に積まれたままである。

病院での日常が、実にリアリティにあふれていて、一気に読める。
どちらかというと、サスペンスの要素が強いようにも思えるが、
多くの謎がたたみかけるように解かれていく過程は、やっぱり本格なのか。
主人公は妻子ある男性と交際中だが、「彼を守るために」という大義名分
を持って謎に迫っていく。その姿勢は最後の最後まで崩れることはない。
ワタシの辞書にはそういう恋愛の形はないけれど、愛することは
守ること、それは真実かもしれない。
「あのひとを守るのはこの私」。
時々破綻しそうになるほどの、彼女の激しい情熱にとまどいながらも、
不思議とこの主人公の生き方はそれほど嫌ではない。

それにしても・・・・糖尿病とは本当に大変な病気だと思う。
もちろん、大変なのは他の病気でも同じことではあるけれど。


2002年06月03日(月)
By ちゃいむ

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