★菅 浩江。『歌の翼に』

サブタイトル、「ピアノ教室は謎だらけ」。
ひさしぶりに衝動買いした、このタイトルで。ははは。
今までこういうのは読んだことがなかったから。
ピアノに関連するミステリとしては、昔内田康夫の
「盲目のピアニスト」を読んで以来か。
菅浩江さんは、ミステリ作家でもあり、SF作家でもあるらしい。

それにしても、「ピアノ教室は謎だらけ」と、ほんわかした
その表紙にうっかりして、軽い連作読み物かと思っていたら、
最後にすっぱりやられた。
もちろん、それまでのお話も、子どもたちの描写や心の動きなどは
「日常の謎」にひとくくりには出来ない細やかさがあって、
時には高く、時には低く音を奏でて、心にすっと入ってきた。
ああ、そういえば私の時は…などと懐かしい匂いを運んでくれて、
しばしそれに浸ったりもしたのだ。
最後の傷を癒すラスト章が素晴らしいだけに、その前の章の急展開が
あまりにも自分的にキツいが、逆にそのキツさがあるからこそ
最後の章が生きる、ともいえるのだろうなあ。
人間、いろいろな痛みを抱えて、それでも一所懸命生きているのだ。
2003年06月21日(土)
By ちゃいむ

My追加

*back *next *Menu *First *New!! *Mail *Home* 

Edit by オレンジミルク。