不思議の森 ある朝 其処には小鳥がいた。 何かを感じてついていった。 小さな森の 小さな池の側にある 小さな家に辿り着いた。 その家には誰も住んでいなくて。 でも、誰かが住んでいるようにとてもきれい。 きっとこの森の妖精達の家なのかもしれない。 妖精達が立ち寄る家なのかもしれない。 どうして此処に来たんだろう………… それにしても此処は凄く落ち着く。 安らげる。 安心できる。 ゆったりと時間が流れているよ。 時間がゆっくりと流れているよ。 今までのことが思い出せなくなってる。 でも、そんなことはどうだっていい。 大した問題じゃないでしょう。 それよりも今は。 この時間を楽しみたい。 大切に使いたい。 何故かそう思う。 私は最近こんな場所を求めていたよ。 だから? そんなことを思っていたから来れたのかな。 誰が? 誰のために? 知らない。 判らない。 けど、これだけは言わせて。 ―アリガトウ― 有り難う、小さな小鳥サン。 後で聞いた。 友達も此処に来たことがあるって。 そうだったんだ。 何となく判った気がする。 そんな人達の為に或る場所なんだ。 だけど。 判ってはいけないと思ったから忘れることにした。 そう、記憶の片隅に置いておこう。 ココロの疲れを取れる場所。 不思議の森の、小さな小さな、 小さなお部屋。 誰にも内緒の、小さなお部屋。 |