赤い世界を見た。
身体が熱った。


紫色の空を見た。
夢と現実の境目がわからない。


黒、そこは闇。
目を開けているのか、閉じているのかもわからない。


白、そこは無。
目を開けているのか、閉じているのかもわからない。


だんだんと涙が零れ落ちる、その頬を伝う感触だけが証拠。
涙は全ての色に侵される。


気持ちがいい、解放感。
心に潜む、灰色の小さな恐怖。


肥大する恐怖と共に、自由に欲望にふたをする。
けれど鳴り止まない耳鳴り。


声が出ず何も見えず、立っているのか浮いているのかわからない。
見開いているつもりの目をぎゅっと閉じた時


目の前に全ての色が戻った。
ああ、夢とは怖いものなのだ。



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