⊂群盲の舌⊃
2002年05月04日(土)

『死』。
あたしにとって其れは、希望でも絶望でもなく。
其れは零でも百でもあった。
生きる理由なんてない、って、前に病院の先生が云っていたけれど。

でもそれは答えじゃなくて、問だったと思う。
生きている理由は、生きている間なんて知らなくていいのよ。
きっと何時かあたしが死んだ時、あたしの死を知ったひと達の。
心の中に存在する一瞬たちが、あたしの生きた証だと思う。
その一瞬が長くなれば永くなるほど、そのひとにとってあたしの存在が。
どれだけ厚くて重くて必要なものだったのか、それが死んだあたしの知らざる報いなのだと思う。
例えば其れが『死』ではなくて、『仕事』や『付き合い』でも似たようなもの。
きっと在なくなった時の穴の大きさで、知らず知らずに存在して往くものだと思う。
続く此の世に、あたしが確かに存在した証を、深く残して逝きたいから。
あたしはこうして生きて往く。
儚いからこそ大きな存在に成れたなら、あたしは満足して灰になれる。
唯、其れを自分で視れない事は、残念なことなのだけれど。



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由弥 [御手紙]