眠れないでこうしていると、看護婦さんが驚く。 夏休みの終り、入院をした。 病室と云う滅菌された不自然な清潔と。 カーテンで仕切られただけの、真っ白な孤独。 退屈だったけれど、なんだか其れ以上は望めなかった。
うたをうたいたかったけれど、学校じゃ身動きが取れなくて。 他力本願じゃ不本意で、物足りなくて。 手応えが欲しかった。 それには、自分の足で歩く事が必要だった。 今のあたしに手応えっていえば、ひとに聴いてもらう事。 ひとと話しをすること。 自分を形として評価されないと、どうしても自分を認められない。 うたを聴かせて、其れは自分だけじゃ出来ない事だから。 自分のすべてを其れに托して、評価されたい。 善かれ悪かれ、それはあたしの糧になると信じてる。 明日逢うひとの音楽を聴いて、良い所とそうじゃない所を知った。 あたしは彼にそう聞かれたら、答えられる。 対等で居たいあたしのスタンスは、受け入れて貰えるかな。
夢をみる、毎日幾つもの。 最近は戦争の夢しかみない。 撃ち殺し、刺し殺し、血まみれの夢。 刀を持った侍が、追い掛けて来て、太腿を刺し。 手の甲を切り、刃物は操られ、動き出す。 毎日、夢の中で、知らないひとが何人も死んで逝く。 あたしは、何故か、どれほど斬られても死なない。 生きたいと思ってるからかどうかは知らない。 でも、絶望だけを覚える夢じゃない。 もう少し、我慢すれば終わる。
日記…向日葵のままだったんだね。 替えなきゃ。 まるで夏に取り残されたみたい。
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