「欠片」

色んなもので埋めたと思っても、
カケラが擦り減るのか隙間が大きくなるのか、
時間が経てばまた空洞となるその部分。
充たされたと思うのは瞬間。余韻でしかない。
どうしても埋まらない隙間がある。
どんなカケラを埋め合わせても埋まる事はない。
方法すらもう解らず欠けたまま生きている。
言いようの無い空漠とした感覚に、そういうものだと言い聞かせる。
獣を飼い慣らすかのように。
それでもずっと探してゆく。空洞のこころを埋められる欠片を。
この世界から見えなくなった貴女も未だ探している事だろう。



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