stray notes

氷砂糖

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あの暗い道をどこまでも(内容も暗いです)
2003年11月20日(木)

最近は日が落ちるのも早くなり、まだこんな時間なのに? と思っても、あたりは真っ暗だったりする。夜空を見上げながら、わたしは社会人3年目の終り頃を思い出した。4月に母親が家を出ることになっていたので、2月・3月は、ひとりで毎晩のように夜歩きしていたのだ。

「出て行ってほしくないなぁ」とは思っていたものの、「まあ本人がでていきたがってるんだしなぁ」とはわかっていたので、「そうなってしまうんだろうなぁ」と9割9分あきらめていたが、かといってすっきりさっぱり何も気にしないのも難しく。じっとしてるのも嫌で、母親と顔を合わすのも面倒で、とにかくひたすら歩きまくっていた。歩いているとあまり考え込まずにすんだし、東京は道が広く表示も多いので歩きやすかったし、何より家にいなくてもすむのが楽だったのだろう。20代半ばで今更ぐれるというのも妙だし、お金もたいしてないしで、今考えると健康的(?)な逃避だった気がしないでもない。朝帰りをするでもなく、電車のある時間には寝に帰ったし、仕事にも休まず行っていたし。

4月に母がいなくなり、はじめはその不在感の大きさに慣れなかったけれども、とりあえずあまり落ち込まずにはすんだ。こころのどこかで、出て行かないでくれないだろうか、とくよくよしていたのが、ありえないとはっきりしてあきらめもついたし、また家事やらなにやらで悩み悲しむ暇はあまりなかったのだ。ただ、もし母が出て行ったことで、いいことがひとつあるとしたら。この先惚れた男に逃げられたとしても、これほどの打撃は受けずにすむのかもしれないなぁ、と考えたりもしたので、それなりにつらくはあったのだろう。

わたしは現在、当時働いていた会社をやめ、別の仕事をしている。結婚して実家を出たので、夜歩きすることもあまりない。それでも。わたしの魂の一部は、いまでもあの暗い道をどこまでも、歩きつづけてるような気がしてならない。



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