stray notes

氷砂糖

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通りすがりの淡いぬくもり
2004年09月30日(木)

この日は調子を崩して寝込んでいました。年をとるとあまり長くは眠れなくなってくるものですが、この日はほとんど寝倒していたので、かなり調子が悪かったのだと思います。

夢とうつつをさまよいながら、時々ぼうっと思い出していました。昨夜、電車を譲らせてくれた年配の男性(そこの君、どいてあげなさい、このひと調子が悪そうだろ、と男の人をどかし、わたしを無理やり座らせてくれた)、ティッシュをくれた中年女性。駅員を呼んでくれた若い女の人。皆親切だったなぁ……お礼もうまく言えなかったけれど。

そしてもっと思い出すと。そういう人たちはたくさんいたのでした。高校の頃、家に帰りたくなくて、スーパーやデパートのベンチでつっぷしていたら、優しく話し掛けてくれた老婦人。公園で時間を潰していたら、心配してくれた赤ちゃん連れの若いお母さん。大学生の頃、駅で(試験前の睡眠不足のせいでふらふらしていた)大丈夫ですか? と声をかけてくれた眼鏡をかけた男の子。社会人になって、仕事で失敗して、泣きそうになっていたら、バスで席を譲ってくれたおじさん。

ぼんやり生きていたので、心の底までは染み込まず、あまり感激してなかったし、うっすらわいた感謝の念も、ちゃんと伝えてこなかったけれど。なんだか皆優しかったなぁと思う。見返りとか全然考えてない、単純に目の前のひとを心配したり助けたりする優しさ。通りすがりの淡いぬくもり。

わたしはあまりいい人間ではないし、世界に対しても優しくないのに。それでも世界は優しくしてくれたんだなぁ……と布団の中で考えていた。昔、いつか自分も優しくできる人間になりたいと思っていたような気がするけれど。もしかして、もらうだけもらって、返せないまま終わってしまうかもしれない。それを責める人たちではもちろんないだろうけれど。

御免なさい。どうも有難う。どうかあなたたちに、よいことや素敵なこと、しあわせなことがたくさんありますように。世の片隅で祈っています。



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