2002年10月26日(土)<<<1万円
今日はお買い物をしたよ。 1万も使っちゃった。 洋服かって、靴下とインナーかって、ベルトも買った。 マルイでバッグとマフラーをみて、ほしくなったけど、 どれにしようか悩んでるうちにバイトの時間になってしまった。 でも、あのバッグは絶対買いたいな・・・。 もう消費する快感が忘れられない。 消費だけが快感のような気がする、今、私に与えられるだけの。 ほかになにがあるというの? こんなに寒いのに。 どんなに、どんなに、あったかな服を買っても、買っても、買っても、 ふるえてしまう私の、その目の先に映るのは、 手をつないで歩くカップルだったりするからだめだね。 あの、手の、体温を思い出して感覚のない冷たい手を握りしめると。 買ったものの袋が、急に重くなった。 心も、暗くなった。
だいぶ前だけど香水を買った。 町田のルミネのボディショップで、2番人気っていうやつ。 デューベリー、っていう。 なんか匂いが、カクテルで言うとカシスオレンジっぽい(笑) さわやかでお気に入り。 元彼と付き合ってたとき、彼からもらった彼の香水。 そのにおいをぬいぐるみにつけて、抱きしめて寝たりしてた。 たぶん、忘れないだろうその香りが悔しくて。 自分用にかった、新しい香水。 どうだろう、私に似合ってるかな、この香り。
こうやって買い物ができるのも、 バイトのお給料のおかげ。 お金って素晴らしい。
でも、バイト先、最近なんかちょっと居心地悪い。 でも、この居心地の悪さはどこの店でも同じかもね。 「バイト」として扱われる悔しさ。 責任をとらされることのない代わりに、信用ももらえない。 悔しい。 もう半年くらいになるのに、未だに新人扱いする本社派遣の人。 最近その人が、本社から派遣されてきたんだ。 そのせいで、居心地の悪さに拍車がかかった。 バイトの同期の人とか、前からいた人とかとは、結構仲良し。 みんなテンション高くて、話してたのしい。
でも、その人はだめ。
なんかいやなのは、たぶん、その人が私を嫌いだから。 ひしひしと感じる。 なんも、根拠はないけど、わかるよ。 最初から嫌われてることくらい。
「思いこみ」とか「被害妄想」とか言われそうだけど。 私は、 いやなほど自分への悪意に敏感だと思う。 その感覚は、間違ってないと思う。 で、 嫌われたくなくて、失望させたくなくて、 一生懸命になって空回りしてる私をみてるその顔の表情で、 私はその人の思いを感じて、さらに、不器用になる。 なんで?
笑えなかった昔の自分。 私の左頬が異様に筋肉発達してるのは、 筋肉を動かして鉄の笑顔を作ってたから。 右頬の倍は、発達してる。 広角をあげて目を細めれば、鉄の笑顔の完成。 鉄の笑顔の代わりに、自由な笑顔と、言葉を、失ったと思う。 昔は、 私も冗談を言っては笑ったり、笑わされたり、 なにより、 男子に「やいやい」とからかわれ 「キーッ」っとなっては追いかけ回していた。 その男子という存在が、恐ろしくなった自分。 男子の、同学年の男子の前では黙りこくる私がいやだった。 昔言われた悪意の固まりが、 今も心に重くのしかかって、どけることもできない。
もっと昔には親からの数々の言葉。 何気ない一言や動作に、私は自分をいらない子だと思った。 思いこみだろうけど、思いこみに決まってるけど、 そう繰り返し自分を納得させてきたけど、 未だに家族の前でも笑えない私。 もう、疲れる家に帰るのがいや。 心はどこで休めればいいの?
1万円の買い物をして、思い出した。
2万円で買われた自分。
でも男は「そんなお金はない」と笑って、 私はお金と自分をバーターする事もできなかった。 バーターしても傷つくという行為が、 それすらできなかった、裏切られた、そんなときはどうなるんだろう。 体だけがここにあって、心はどっかそのへんにういてそうだった。 存在が希薄で、痛みもなかった。 次には払う、そんな言葉を信じてしまう愚かしさ。 思い出せないけど、次にあいつはちゃんと払ってくれたっけ?
ただ、世界はこうゆうふうに回ってると思ったんだ。
いつも大人はしたたかで、子どもを食い物にして、 そのことに気づかないか、気にもとめていないかで。 そんな ずるい大人に勝つためには、 子どもの私もずるく、賢く、周到にならないといけない。 負けるわけにはいかない。 そんなのは、もういやだよって。 考えながら、バス代がないので歩いた、 駅から家までの道。 そしたら 向こう側から歩いて来たのはそのとき好きだった男子。 冗談じゃないよ。 神様は意地悪だ。 こんなのヒドイ。 そう思って無言ですれ違ったら、涙が出てきて。 しばらく歩いてしゃがみ込んで、やっと痛みに気づいて泣けた私。 体も痛かった、でも、どこかわからない何処かが あの男の体重で押しつぶされたように苦しかったね。
道の真ん中で、 思い出したらしゃがみ込んで泣きたくなったけど、 壊れた私の足は、しゃがみ込む行為すら許してくれなかった。
寒さと他人ばかりの群衆の中で、立ちつくしたら動けなかった。
なんで、 自分を埋めるための買い物で、こんな思いをするの? 一人でいたから? 自分を売ったラブホテルのある町での買い物だから? それとも今が、冬だから?
まだ許せない罪が、まだ私を苦しめて。 遠くないそのうち、自分がまたそれを繰り返してしまいそうで、 怖い反面、それが自分の生き方だからしかたないと開きなおる。
埋めて埋めて、埋め尽くさないと自分が怖くなる。 なにが怖いのか、わからない、漠然と茫洋とした怖さ。 子どもの頃あそんだ、 水に入れると5倍に膨れたザリガニの人形みたいな。 怖さが増せば増すほど、 ぶよぶよと不気味につかみ所がなくなる、怖さ。 私はあのザリガニが子どもの頃も、不気味で怖かった。
でも確実に違うのは、1万円。 それが 体をだいたい2時間自分から切り離して売った値の半分。 であったと同時に、 歩きっぱなしたちっぱなしで約5時間を3日働いた分。 であること。 同じ1万円でも、 後者の方が愛しく思える。 大切にしたくなる。
だから働く、そして消費する、快楽を奪う。
それがたとえ、 先を考えていない浪費であっても。 誰かに注意される使い方であったとしても。 私は 汚いとおもわずにはいられない自分を、 少しできれいに、見せようと、お金をかける。
今日買ったものを突発的にゴミに出したくなった。 でも、そんなことはしないよ。 明日遊ぶのに、着ていくんだから・・・
|