umityanの日記
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| 2015年11月02日(月) |
とっちゃん坊や達の旅(14)清流四万十川に心乱れる。 |
沈下橋を後にして、ツアーバスは一路、四万十川を目指して進んだ。日本最後の清流と言われるこの川。いかがなる川か、一度見てみたいと思っていた。僕は幼少の頃より球磨川に親しんできた。球磨川こそ最高と思ってきたんだが。
バスは船乗り場へ到着。三々五々と、船に乗り込んでいく。とっちゃん坊や達は一番最後だ。桟橋の前でビールを売っていた、我々が買わないはずがない。缶ビール4本を調達。船の中で昼食が出る。
既に食事の配膳がなされていた。四人がけのテーブルに座った。舟の先頭には、船頭さん、いやいや、ガイドさんかな?。中年のおじさんが、いろいろと説明をしてくれた。とっちゃん坊や達は、説明は上の空で、即、缶ビールの蓋を開け、乾杯。弁当をついばんだ。
湖面を見た。あたかも北海道の摩周湖みたいに水が澄んでいて、大小の川底の石が、輝いて見えた。皆の発する言葉は「なるほどねーーー、きれいな水だ。まだ、自然に人間の手が届いていない」である。確かにそうだ。湖面の両サイドを見ると、木立が一面を覆っており、民家等、一軒もない。船着き場の広場に、ちょっとした売店があるだけだ。
船頭さんが器用に舵取りをしながら舟は上流、上流へと進んでいく。この源泉はどこかな?。よほど、山奥に違いない。のび太君は愛用のカメラで、湖面や取り巻く木々を撮していた。ネズミ男君も、のび太君に負けずと劣らないカメラを湖面に向けていた。僕、ジャイアンは壊れたデジカメの代用で購入したカメラを、こそこそと、しめやかに、そっと、シャッターを切った。スネオ君は、我、感知せずで、ひょうひょうと湖面を眺めていた。
途中、別の遊覧船と出会った。いやーーー、我々以外にも観光客がいたんだと、大いに感激。むこうも手を振り、こちらも手を振った。こういう場面って、いいもんだ。お互いに、「楽しんでいますかあ?」という挨拶なんだろう。
「四万十川」ねえーー。僕はいつぞや、この名前を聞いたとき、回転饅頭を連想した。「万」という字が饅頭に思えたのだ。食いしん坊だからなあーー。
舟は片道30分。帰り30分の、ほぼ1時間のコースで走った?。「夏、この湖面で泳いだら、さぞかし気持ちがいいだろうなあーー」と思ったが、誰もいなくちゃ、寂しくてやってられませんぜ。恋人と二人きりなら、彼女は言うだろう。「わたし、こんな寂しいところはきらい。早く町に戻りましょう」って。そこで、男は考えた。「女性は自然の美を理解できない動物なんだ。いやまて、この僕を愛していないんじゃないかな?」と、疑心暗鬼になる。「のび太君よ、一度、シズカちゃんを連れてきて、彼女の反応をみてみたらどうかい?」と言いたかったが、や・め・た。
ともあれ、四万十川は確かに美しい清流だった。人の手に荒らされずに、ずっとこのまま、静かにたたずんでいて欲しいと思う。とっちゃん坊や達の心は皆、同じのようだ。ネズミ男君はこの清流を見て、振られた昔の彼女の事を思い出したに違いない。やけに静かだった。
おっと、今日の旅行記は、ちと、感傷的になった。この辺で止めておこう。
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