私は腕時計をひとつしか持っていません。
正確には、買いかえられないのです。
怖くて。
今から約20年前のお話です。 私の田舎は千葉県野田市という所にあって お盆や正月休みには必ず祖父母の家に行っていたのですが ジジババの住む所にはゲームなど 子供が遊べる道具のひとつもありませんでした。
しかも食事もジジババなので質素きわまりない。 (何食べたか覚えてないけど、全部茶色っぽいかんじ)
私は野田に着くなりすぐに飽きてしまい 横須賀に戻りたいとごねたものです。 母もダンナの実家ということがあって 家にいずらかったのでしょうか、よく私をつれて イトーヨーカドー(か赤札堂だったかな)に エビフライセットを食べに連れて行ってくれました。 (だから今だに「野田=お外で美味しい物が食べられる」のイメージがある)
ある時、母は私に腕時計を買ってくれるといいました。 流行の最先端デジタルウォッチです(笑)
私の目はドラえもん、キティちゃん、パティー&ジミーなどに 釘付けです。 「これがいい」とドラえもんを指差すと 母は「大人になっても付けられないでしょう?!ミッキーさんにしなさい」
と、ミッキーマウスの腕時計を一方的に買ってしまいました。 自分の想い通りにならなかった私はふてくされながらも 初めて身につける豪華貴金属(?)に小躍りしたものです。
それからミッキーさんは1日も休まずに時を刻みました。
20年休まず動いていたご自慢の時計。
電池1回も変えたことありません。 この20年。
別の意味での 恐怖です。
周りに話しても 「中に小人がはいってるんじゃないか」とか 「太陽電池なんじゃないか」とか言って信じてもらえず・・。
だから買い換えたくても変えられないんです。 あっ、なくなっちゃったー。と思うとどこからともなく 現れる恐怖の時計。
時を刻むたびに笑顔でウインクするミッキーマウス。
ところが、2002年末。 ソウルに帰国した途端、ミッキーさんに異変が起こりました。 うんともすんとも動かなくなったのです。 時折力なくウインクするのですが、再び目を閉じたままのネズ公。
さすがの私もちょっと切なくなりました。 韓国で電池かえればいいんだろうけど せっかくだから野田で変えてあげたいなと 思ったりもしています。 長い間おつかれさまでした。ミッキーさん。
うーん、ここまで使いこなしてると 新しいの買う気もしないんだよねー。
なんだよ、結局気にいってんじゃん(笑)
 時計のバンドだけは頻繁に変えました。 これは柏市(やっぱり千葉)の時計屋さんで購入。
母の言う事きいてミッキーさんにしてよかった。 この年でドラえもんはちとキツイがな(笑)
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