かめの日記

2002年11月30日(土) 京×ユキ一発目(砂吐くようなのを!!)

本日は上司がローテ調整して休ませてくれました・・・
人の情けが身にしみるやね!!

安静にと言われても、いい加減寝込みも三日めで
体も鈍ってだるくなってきたので
京×ユキ一発目、ぶちかましときますね!!!
コレが駄目な方は見ないでください。
警告しましたので読んでから怒るの無しですよ?

漸く京様への良心の呵責から逃れられます・・・。
もう、口から砂吐くか、血ィ吐くかってくらい
メロメロな甘ったるいヤツですよ〜!!
我ながら恥ずかしいが、風邪の熱の産物だからね!!
(責任転嫁です)
ってゆうか、コレで許して呪わないでください、京様(爆笑)!!

あ、またもや無駄ながら一応。
無断転載禁止で。
感想は要らないです・・・特に身内の皆様・・・よろよろ。
京ユキの方だけ、同志申告下さい(笑)
ではでは、京ユキ大丈夫な方だけ、どうぞ!!


〜唯一の、絶対な。〜

遠い空がゆっくりと熱を帯び、白光が暗闇を引き裂く。
瞬間、視界は開け、荘厳な太陽光線が全てを覆い。
夜の間息を潜めていた世界は、そうして光を取り戻す。
毎日必ず訪れる、当たり前の夜明け。
しかしそれは、もう随分と長い間味わうことの無かった
本来誰にでも与えられているはずの、平凡な日常の始まり。
不思議と・・・自分でも意外なほどに無感動なまま、
草薙京はその光景を眺めていた。

ネスツとの決着のKOFを終え、
何年か振りに踏みしめる、見慣れていたはずの景色。
同じように見えて、それでも何処かしら変わっている町並み。
「まぁ、当たり前って言えば、当たり前なんだけどな・・・」
苦笑混じりに辺りを見回しながら、京は呟く。

あの日から、離れていた。
ネスツの基地内で目を醒まし、
醜悪な自分自身のコピー共を目の当たりにして。
欠けてしまった力と、モルモットに等しい扱いを受けた
自らの立場を自覚した、あの日から。
精算と、決着を誓った故に。

大切なものから、あの薄汚い組織を出来る限り
遠ざけておきたかった、どうしても。
・・・指一本、触れさせたく無かったのだ、彼女には。
だからこそ、消息を絶ち、連絡一つ入れないままに。

奪われるかも知れない、という恐怖。
失ってしまうかも知れないという、底知れない絶望。
それを初めて京が覚えたのは、全ての根源ともいえるあの時だった。
草薙の剣、神器としての自分に、決着が付いたあの夜。
恐怖と絶望を撃ち払う為、ただ彼女を守りたいが為だけに戦い、
結果、それがオロチとの決着に収束していった、あの戦い。


「運命ってやつか?草薙、貴様の女にクシナダは転生していたんだよ」
無神経にも皮肉られたその言葉をふと、思い出す。

偶然であろうと、必然であろうと、運命だろうと。
そんな物は関係なく。
それまで誰かの為、などと思って戦った事など、一度として無かった。
けれどもあの戦いだけは、他の誰の為でも無く、彼女を守る為のもので。
何故こうまで入れ込む相手が彼女なのだろうとか、
そんな疑問など入り込む余地が無い程に。
彼女が無事で無ければ、自分の方が・・・駄目なのだと。
もう二度と、彼女を危険に晒す恐怖と絶望を味わう事だけは
御免だと思った、だからこそ――――――。

そう、意図して離れ続けていたのだから・・・仕方ない。

自分ではそう納得してはいたものの、
待たせている相手が同様の納得をしているかという点は
・・・正直、自信が無い。
ただ、彼女が自分を待っている、
京はそのことに対しては揺るぎない確信を抱いていた。

日本に着いた飛行機は最終便で、実家に辿り着いた時には
時刻は深夜を通り越していた。
それでも、大会前の決意と・・・更にそれ以前の約束通り会いに行こうと
母親との再会もそこそこに家を飛び出してはみたものの。
離れていた時間の長さにかえってバツが悪くなってしまい、
結局彼女の家の方向に足を向けられないまま、
今こうして朝日を拝んでしまっている。

夜明けと呼べるごく僅かな時間はあっという間に過ぎ去り、
既に視界は朝へと切り替わっている。
車の騒音、新聞配達のバイクの音に人の気配が周囲に満ち始め、
不振そうにこちらを見る通行人の視線に、神経がささくれる。

「あー、クソ!!」
ぶんぶんと頭を振って、京は叫ぶ。
「ヤメだ、ヤメ!此処で悩んでたって、仕方ねえ!!」
そう、胸を張って、誇れば良いのだ。
彼女の元に帰ってきた事実を。
その為の戦いと、彼女にとって残酷な真実を伝える事は無くとも、
その運命を乗り越えて戻ってきた、今の自分を。
意気込んで、一歩を踏み出した、その矢先。
視界の向こうに、確かに。

鼓動が、跳ねた。

遙か遠く、小さく、けれど確かに感じる、その存在。
坂道を駆け上がる、華奢な体躯の疾走。
縺れそうになる足を必死に動かして。

間違いなく、彼女が。

自分が彼女の存在を感じるのと同様に、
彼女もまた自分を感じ取り、今此処に向かっている。
ようやく帰ってきた自分を迎える為に。
自分を信じて待ち続けていたことを、誇る為に。
・・・だた、待つだけの日々を終わらせる為に。

京の口元に、意地の悪い笑みが浮かぶ。
ちょっとは余裕がねえと、格好つかねえよな?
両手を広げて、にんまりと、余裕の笑みを見せてやるよ。
だから、今までの分、泣いて喚いて、俺を困らせてくれればいい。
お前の機嫌が直るまで、今度はいくらだって側に居るから。

足音と共に、だんだんと近づいてくる、気配。
日に透ける生来の明るい髪が、綺麗な白い額の上で踊る。
まっすぐ自分だけを見つめる大きな瞳。
息をきらせて、声にならない声で、呼んでいる、その名は。

もう何度も・・・夢にまで見た、彼女。
息をきらせ、最後の力を振り絞り、
自分めがけて大きく地面を踏み切って。
・・・飛び込んでくる、腕の中。

「京ッ・・・」

世界中でたった一人、本当に自分に届く声をもつ者。
いつだって、最後の一瞬には自分の心を独占するであろう、唯一の。
―――絶対な、特別な存在。
その、彼女を、今。
万感の想いを込めて彼女を抱き留め、そして。
夢ではない、確かな現実だという腕の中の存在に
幸福のあまり眩暈すら覚えながら。
―――そして、京はにんまりと笑って、囁いた。

「ただいま・・・ユキ」

END


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岸本かめ [MAIL]

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