■2004年07月17日(土)
レクイエム
「ヒナちゃん、こいつがガキの頃走り回ってた家だよ」
幼少時代から高校時代までの牙の思い出が詰まっているというその家は、
畳が抜け、押入の天井が抜け、長い年月をかけて沈着した埃の匂いがしました。
開かなくなった縁側の扉を見つめる牙を、
私は何故か一歩も動けずにぼんやり見ていました。
しばらくそうしていたら凄く悲しい気分になり、
10分程でその廃屋を後にしました。
牙に壊してもらえるなら、あの家も本望だろうな。