ひとりごと

2003年02月17日(月) どうなるのだろう

わたしが大学生のとき、小さな個人輸入の会社コールモアでバイトをしていた。
そこの社長は、日本テレビの海外特派員で活躍されていたけれども
喘息をこじらせ、チアノーゼで何度も救急車で運ばれ、特派員の激務を諦めて、
小さな会社を作ったという経歴の持ち主だった。

その年は、記録的な冷夏で、本当に寒い夏だった。
そのうえ、9月に4日間続けて、東京では震度4の地震があった。
寮では、ミーティングで、関東大震災が起こったと想定しての非難措置の
プリントが配られ、みんなで心から震え上がっていた。

今から、20年ほど前の話だ。

ある日、コールモアの社長がわたしに言った。
『今、一番怖いものはなんだと思う?』

「地震です」即答するわたしに社長は言った。

『違うよ。戦争だよ。今、一触即発…戦争になったら、地球はほろびるよ。』

わたしは、そんなものより、地震のほうが絶対こわかった。
四谷はまだしも、寮のある新宿は…と考えると、夜も眠れなかった。

けれども、ずっと海外で取材をしておられた社長は、
『世界は常に戦争の危機にある。地震は一国のことだけれど、戦争になったら、核が飛び交う・・・』
とつぶやいた。

のん気な大学生だったわたしにとって、戦争は遠い遠いところの話。
核だと言われても、ぴんとこなかった。

あれから20年と少し…今度こそ、世界を巻き込んだ戦争なのだろうか。
日本を離れていると、戦争が近くに感じる。
戦争が始まっても、夫の出張がなくなるとは思えない。

あの9月11日の週の週末でさえ、彼の仕事はキャンセルにならなかった。
本社は駐在員の飛行機での移動を禁止しているにもかかわらず
特例で、夫の仕事は、キャンセルにならなかった。
2週間後にはアメリカにも行った。
そこまでしなければいけない仕事ってなんだろう。
わたしから見れば、ただのお遊びなのに、何故、キャンセルできないのだろう?
巨額の金額がかかわっている。キャンセルすると、キャンセル料が何億にもなるという。
だけど、もし、そこでなにかあったら、会社はどうしてくれるのだろう。

今の仕事は夫の小学生の頃からの夢でもあるから、
そして、やっと手に入れたポストだから…本人は本望なのだろうか…

いや…日本にいても同じだね。どこにいても、今の世の中、安心しては暮らせない。

でも、せめて、努力で回避できるものなら、なんとか平和的に解決して欲しい。
「戦争はこわい。」コールモアの社長の言葉を急に思い出した。
彼は今、どこでどうしておられるのだろう…
わたしは、多分あの頃の彼と同じくらいの年齢になろうとしている…


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