| 2001年10月24日(水) |
佐伯泰英「瑠璃の寺」は原点か。 |
佐伯泰英「瑠璃の寺」は原点か。 佐伯泰英「瑠璃の寺」(角川春樹事務所1999.2)を読了。筆者の初期の時代小説だ、といってもまだおととしの作品である。しかし、失礼な言い種だがこの後急速に洗練され一気に時代小説の名匠になったことがわかる。豪快な物語の展開はこの240ページちょっとの長さでは十分ではなかった。この倍は必要だった。この通吏辰次郎の物語はシリーズものになったら他のシリーズ以上のスケールと波瀾万丈が期待できる。主人公のスケールが江戸の街一つに収まらない器量の設定になっているからだ。 また他のシリーズの種や共通点もあり、その意味で筆者のその後の物語作りの原点といえるのではないか。 中村真一郎「小さな噴水の思い出」(筑摩書房)の第9章は「私が勧める恋愛小説の古典」で、「ダプニスとクロエー」(ロンゴス)「源氏物語」(紫式部)「クレーブの奥方」(ラファイエット夫人)「危険な関係」(ラクロ)「赤と黒」(スタンダール)それぞれに3行程度の評がついている。 さて、また3日間ほど旅に出るので27日まで追加できない。 今日購入した本。 佐藤正午「Y」(ハルキ文庫)単行本で一度読んだが文庫本でも読んでみたくなった。
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