| 2001年12月08日(土) |
読めないときには風変わりなエッセイを。板東眞砂子「身辺怪記」(角川文庫) |
読めないときには風変わりなエッセイを。板東眞砂子「身辺怪記」(角川文庫)に手を出す。「本の雑誌」などで評判になった「死国」が本屋を何件か回っても見つからなかった昔がなつかしい板東眞砂子のエッセイ集である。表題作の「身辺怪記」から「村社会のエキゾチシズム」「台風銀座育ち」「方言の壁は文化の砦」「死者の書」「妖精の悪戯」「古都の魔力」まで七編読んだ。確かに子供のときは台風や猛吹雪の真っ只中に出て行って妙な嬉しさや興奮を覚えたものだった。普段見たことのない大嵐の威力を実感して何かしら楽しく仕方がなかった記憶は今でも残っている。あの感じは一種のセンス・オブ・ワンダーだったか。三つ目のエッセイ「台風銀座育ち」を読みながらそんなことを考えた。本のタイトルは風変わりだが中身は現・作家としての自分のルーツをたどるようなしっかりした文集であった。最近のエッセイ集からはちょっと飛んでる印象を受けた。題名とは異なり、これは正調エッセイ集である。
|