読書日記

2003年01月14日(火) 池宮彰一郎『遁げろ家康(上)』(朝日文庫)

池宮彰一郎『遁げろ家康(上)』(朝日文庫 2002年2月1日 第1刷発行 600円 325P)
隆慶一郎亡き後時代小説の屋台骨を支えているこの著者は新しい徳川家康像を創り出した。
若い時から臆病で小心な家康は「遁走」を得意とし危機一髪を常に際どく回避し、その都度大きな存在になっていく。
その逃げっぷりや怯えぶりを独特の見方で描き見事に成功している。「欲深」と表現されるユニークな家臣団とともに逃げながらも徐々に天下に近づいていく逆説的な家康に妙に魅力がある。
この上巻では桶狭間の合戦時19歳から本能寺の変直後41歳ころまでの家康を描いている。


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