読書日記

2003年01月20日(月) 宮本昌孝『ふたり道三 一』(新潮社) 

宮本昌孝『ふたり道三 一』(新潮社 2002年12月20日 1600円 335P)
全4巻のうちの1巻目。当然、次巻に思いを接がせる終わり方をしているが、この巻のみでも傑作である。
巨大な石柱の頂きに立つ獣じみた者の奇妙な振る舞いから始まる下克上の時代の物語は凄まじい迫力と緊張感に満ちた大傑作。この著者は傑作といえる作品をすでに十分と言える数ものしている。この作品はそれらを凌駕する優れた時代小説である。
残念なのは帯の宣伝文。先の展開や謎を考えながら解きながら読んでいくのが大きな喜びの一つなのに、帯の文章が親切にも教えてくれてしまうのだ。
傑作は目をつぶって買え。教訓である。映画がそうだが前宣伝はほどほどに、またはもっと工夫しよう。
『ふたり道三』というせっかくの意味深題名は作者の読者への呼びかけかつ問いかけであるはずだ。
それが読む前にわかってしまってはもったいない。200円ほど安くしよう。
とはいってもこの作品は、大傑作。この調子で残り3巻が続けば宮本昌孝は恐ろしい。
繰り返すと、この1巻だけでもこの1巻に対して私は第1回ガワイセ大賞を贈る。
ああ驚いた。


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