馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2008年03月22日(土) 恩師の愛はいつだって満開

桜の開花が宣言されましたね。
春本番です。

袴を着た女の子をよく見かけます。
卒業シーズン真っ只中。

稲葉が大学を卒業したのは2003年。
5年前のことになります。

そんな時期に、久しぶりに大学の恩師に会ってきました。

ただし、喪服を着て。

   ◆

『サンダーバード』でジェフ・トレーシーの吹き替えをされています。
年に一度、朗読会を催され、昨年11月も元気にやっておられたそうです。

大学では演技、主に朗読の指導をされていました。
稲葉も3年間みっちりと教わりました。

恩師、です。

「外郎売」という朗読の基礎ともいえる4分くらいの長口上があります。
1年生の初期の授業のころ、1人ずつこれを読んでいくんですが(もちろん全部覚えて)、手振り身振りを付けて踊るようにやったんですね。

「朗読」なのに。

やり終わったあとに「やりすぎた?」と思って先生を見やると難しい顔してます。
怒られると思って身構えていると、「それでいい」ときたもんです。
「楽しもうとするその姿勢を忘れるな」と、むしろ褒められました。
なに、この肩透かし。

低く渋い声に加えて、滅多に相好を崩さないものだから、慣れないうちはとても怖そうなんだよね。
でも上のこともあって、稲葉はすぐに好きになりました。
慣れてしまえば怖くはないけれど、それでも厳しい先生でした。

   ◆

久しぶりに見た恩師の顔は、やっぱり笑ってくれていなかったけれど、それでも穏やかなものでした。
色つや以外は教わっていた頃とそう変わりなく、それがなんか嬉しかった。
81歳、にしては若いんじゃないかしら。

夏だろうが秋だろうが。
いつ死んだって悲しいのは同じ。
なんだけれど、桜の咲いた卒業の頃に恩師を失う、というのはよりいっそう身が痛い思いがします。

喪服で卒業式。
そんなきぶんです。

同級生や他の先生方とも再会。
場が場なら底抜けに騒ぐんだけれどね。

ま、それでも同級生との会話は楽しいものでした。
次は違う形で会いたいな。
みんな変わってなかったのには安心しました。
誰も結婚していないのには、皆で安心しました。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2002年1月28日『稲葉の大切な人・演技コース小沢重雄先生』
2002年2月11日『稲葉と演技コース、恩師を送る』


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