2007年02月02日(金) |
わすれてしまったこと |
すっかり冬、 もうすでに如月。
久しぶりの寒い風とちらら舞う雪。 梅もほころび始めて。 ふくらんだ木蓮のつぼみ。 ふわふわとまだ固い。
秋にはすっかり葉が蟲に食われて まるで枯れてしまいそうだった古い桜が しっかりした芽を伸ばして。
そのくせ、並んだ桜並木の一本は ……クルマにでも当てられたの、 半ばから裂くように、折れて。
ねえ、わすれてしまったこと 何か思い出せたかな。
去年の春のこと、 3年前の秋のこと、 10年前の冬のこと、 君の生まれた夏のこと。
星がひとつ瞬いて、 円(まどか)な月が沈んでいって ひそかな言葉は空に溶けて 過ぎる時間に編みこまれてゆくけれど。
もうすっかり冬、 そして春はいつでもその目の前。
折れた桜は朽ちるだろうか、 凍えたサギは飛ぶだろうか。
わすれてしまったことは 太陽の光とともに降ってこないだろうか…
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