小学生の頃、 「なおとちゃんはなんでも人のものを欲しがるからヤダ」 と言われたことがある。 子供ながらに(?)衝撃の一言だった。
わたしにとって、 「わあすてき!いいなあ、わたしも欲しいなあ」 というフレーズは、まあ、ちょっと大げさなほめ言葉だったのだ。 本当に欲しかったわけではない。 けれど、たぶん、そのノリの延長で 「いいなあ、ちょうだい!」 などとも言っていたようだ。 もちろん、本当にもらえるなどと思っていたわけでもない。
相手も子供ながらに、いやな絡みをしてくる奴だと思っていたんだろう。 すまないことをした。はは。
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けれどまあ本質的なところはいまも変わっていなくて、 本当に、芯からわたしは「うらやましがり」だ。いつも他の人を羨んでいる。 いつもいつも。
この年になるとある程度のモノは買えるし、買えないものは欲しがらない派なので問題はない。 とりあえず今はパートナーもいるので他人のパートナーは気にならない。
ただただ、 ……他人の性格と生きざまがうらやましくて仕方ない。
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人に好かれる性格がうらやましい。 明るい笑顔が素敵でうらやましい。 少し話をしただけで惹かれてしまうあの人のひととなりがうらやましい。 うまく話をまとめられる機敏な頭脳がうらやましい。 やわらかな物腰がうらやましい。 自分のこだわりを貫くのがうらやましい。
うらやましいというか、「そういう人生もある」と憧れる。 私はいつも誰に対してもどこか憧れている。 変身願望があるんだと思う。それも、とても強く。 そういえばいつだったか、“憧れるだけで憧れになれなかった”って、 Spitzの歌詞を引っ張り出してきたことがあったっけ。
自分も憧れになりたいなとは思っている。 けれどそれはきっと自分の憧れではないのだろう。 憧れの成就は自己満足にしかならなくて、憧れになったとはきっと思わない。 せめて誰かの憧れでありたい、とは思うが どうしても自分が誰かの憧れであり得るなんて想像もつかない。
夢想する自分像というのは、ある。 けれど現実は理想・夢想のようにはいかないというのが真実。 夢想はリアリティがなくて、具体的でないほうがよくて、 そのほうがきっと現実が夢想に近づいていくのではないかと考え直し、 思うようにならない毎日の中でのんびり構えている。
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