あなたをあいする ということは あなたをいとしいと 思うことは
いつも言葉はそこで途切れてしまう いつもそこまで言葉が口をついて出る
あなたをこいしく思うことは あなたをせつなく思い返すことは
何になる 誰のしあわせになる
ああ だけど それ以外の言葉では何も始められない
あなたが あなたに あなたを
あなたと
鈍色の空から風が吹く 雪のにおいがする 寒さが無口にする町だね と あなたはしずかに笑った
踏みしめる足下はどこまでも白く 街灯の影はうす蒼く伸びて 鞄を持つ手が凍える 息を吸うたび透明になる
つめたくなった耳を 後ろからそっと覆った その手の大きさと体温も いつも笑いを含んだ声も瞳も そのすべてが白になれば 塗り込めてしまえれば
春にならなければ良い この思い出と共生できる迄は そんな日が来る気もしない
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