2004年02月27日(金) |
結局のところ、悪人って。 |
悪い人間に成りきるのは難しいです。 あらゆるものを拒絶するのは困難です。 断絶するのは痛くて、なにより怖いです。 あえてその道を選んだとして。 時折どうしようもなく胸が苦しくて叫びたくなるのは。 人の熱をかきむしって堪えるけど。 忘れた筈の事を、きっと覚えているから。 傷付けて、裏切って。 私の事を忘れてくれるように。 私の事を忘れてしまえるように。 たとえ私が忘れられなくなったとしても。 押し込めて生きていけるから。 まだまだ大丈夫だから。 結局あの時の涙は人の為の涙じゃなかった。 でも、自分の涙でもなかった。 彼女の押し込められていた負の感情。 それに私が押し込めてきた負の存在がシンクロしただけ。 振り絞った言葉も、零れ落ちた涙も。 彼女の為でも自分の為でもない。 あれは、涙と呼ぶべき物ではなかった。 泣けたと喜ぶ間もなく悟ってしまった。 その後は、ただただ笑うだけ。 でももし全部を取り払う事が出来るなら。 一番の奥の奥の奥に隠れてる心が解放出来るなら。 もうあるかどうかも解らない心を解き放てるなら。 それを可能に出来る人が現れたなら。 もしかしたら自分の為に泣けるかな。 その人の為に泣けるかな。 今度こそ本当に泣けるのかな。 この体から涙が流れるって事実だけじゃなくて。 自分の心で泣けるかな。 本当の心で本当に泣けるかな。 心と体が一つになって泣けるかな。 その為には、何が必要なんだろう。
掃き溜めのような場所がある。 私の心の中の何処かに。 隅っこなのか、真ん中なのか。 奥底なのか、そもそも心自体がそうなのか。 はっきりと場所は特定できないけれど。 存在は確実に感じ取れる。
銀河を飲み込む混沌。 そんな飾り言葉は虚しくなるだけ。 所詮は掃き溜め。 笑っちゃうくらいにグチャグチャの場所。 アスファルトにこびり付いたガムみたいな。 雨の日に轢かれた薄ら白い蛙の屍骸みたいな。 どこまでも汚い場所。 ゾクゾクするほど汚い場所。
そんな中に潜り込んで、悠然とそびえ立つ人。 グチャグチャを掻き分けて入り込んで来る人。 いつの日か夢に見た、自分ではない自分。 決して成り得る筈の無い自分。
自分の顔を直接は見る事が出来ないような。 そんな、もどかしさ。 見る事は決して出来ないのに描き出される情景。 そんな、掃き溜めのような場所。 今日は少しだけ、近くにあるような感じがした。 あの自分が少しだけ、近くにいるような感じがした。
かわしながら、のらくら生きる。 生き苦しい人生には少し、疲れてしまった。
疑問を。 矛盾を。 過ちを。 豪語して、豪語して、豪語して。 少し、疲れてしまった。
いずれ、元に戻るのだろうけれど。 私には約束があるから。 だけど今は。 だから今は。
疑問を。 矛盾を。 過ちを。 抱きつつ、感じつつ、知りつつ。 その視界から、閉め出して。 この視界すら、絞め出して。
いっそうの息苦しさを覚えて。 世界が揺れ出して。
だけど、だから。 そこにある嘘も少しは見ずに済む。 だから、だけど。 ここに在る嘘という名の水に住む。
私に纏わり附く水。 私が纏い続けた嘘。 そして私は。 生きやすい世界で息苦しく生きていく。
大嫌い、大嫌い、大嫌い。 どんなに繰り返しても最終的に同情する私。
最初に攻撃を仕掛けるのは自分。 傷付いた人を最後に哀れんでいるのも自分。
傷つけた事を後悔するわけじゃない。 でも、結局は死なせてあげられない。 その全てが本心。 だから、一番卑怯なのは自分。
真綿で首を。
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