- 2007年03月17日(土) 創作文
コンタクトをした猫。 いわゆる近所の悪ガキ的な中学生に悪戯された可愛そうなネコ。
名前は普通にタマ。 でも、目が見えすぎて頭を痛めている。
「嬉しかったのは最初だけだな…。」 今日もまた、屋根の上から隣町のネコを覗きながらつぶやいた。 彼女の名前はまだ分からない。
タマはいっつもその娘を見ているんだけど、会いに行くには遠すぎるんだ。 何度か出掛けてみたけど、2日経っても3日経ってもやっぱり距離は縮まらない。 だからいつも、見てるだけ。
そんなある日のこと。 目の前に彼女が引っ越してきた。
ところが今度は近すぎて、やっぱり何も見えない。 無我夢中で目玉を触ってみるけども、コンタクトは外れない。 どうにも困ってしまい、タマはまた旅に出た。
毎日、毎日。 彼女に会いたい一心で遠くへ、遠くへと。
ようやく彼女を見る頃、そこで旦那さんと子供がいることを知る。 無我夢中でやったことが、実は何の意味もなかったことを後悔するタマ。
やがてコンタクトは涙とともに流れてしまい。 気がつけばひとりぼっち、闇の中。
それからタマは夜になると世界中を歩き回ったんだ。 猫が闇夜でも目が利くようになったのはこれが始まりなんだって。
…なんて、話を作ってみたりして。 いかが?
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