27日
東京は青山の”スパイラル”まで問屋さん主催の着物の展示会を見に行きました。まだ取り引きしたことのない初めての問屋さん、初めての商品を自分の目で確かめずにお客様に勧められないので、今回は見るだけ〜。お客様は招待せず、妻と2人で出かけて行きました。・・・で、どんな着物かというと”ジュサブロー”。そう、あの人形師の辻村ジュサブローさんデザインの着物です。結論から言うと着物は感覚的に私たちが共感できる感性で作られており、そのコーディネイトに関するコンセプトはまさに当店と同じ(と言ってもいい)でありました。着物も素晴らしかったけど、今回それよりも有意義だったのはなんと言っても”特別企画”。
会場に着くと特別企画の”太夫道中”が始まるところ。問屋担当者の前説明では本物の”太夫”さんがショーを見せてくれるとのことで、ちょっと興味はあったものの”太夫”と”花魁”の区別が全くつかなかった私、どうしたものかと思っていたのだけれど京言葉のナレーションがはいり、「なるほどー」と見入ってしまいました。
太夫は高々と結い上げた自毛の日本髪にきらびやかな髪飾り、30キロもあるという豪華絢爛な衣裳を身にまとい白い素足に三足(履き物)を履いて”内八文字”といわれる歩き方で優雅に歩を進める。 やがて舞台に到着、あらゆる照明器具は消され、2本の蝋燭の炎のみ。 そして太夫は胡弓を弾きはじめたのだ。 一瞬にして青山スパイラルホールの空気は安土桃山時代に遡り、もの悲しい胡弓の響きは観る者の魂を惹きつけて離さない。 舞台はそのあと幻想的な舞へと続く。一連の「芸」が終わり、来た道を”内八文字”で帰る太夫を会場のすべての目が固唾をのんで見守り、最後にくるりと客席に向き直りゆっくりとお辞儀をする太夫。その瞬間、「ほぅー」というため息とも感嘆の声とも付かないどよめきと万雷の拍手。ひとりひとりが魂を込めて拍手をした。
長かったのか短かったのか、そもそも時間というものがあったのか解らなくなるようなそんなひとときでありました。
一通り着物や帯を見せていただき、そのあと近くのカジュアルなレストランへ。おいしいイタリア料理の前菜を各種オーダーし、それをつまみにワインを飲みました。あまりにおいしい料理とワインにまた感動。2人でデキャンタで赤白各1本を飲み干してしまいました。うぃ〜〜。
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