着物屋という仕事なのにいままであまりにも和という物に親しんでこなかったなぁとあらためて思ったのが去年。やっぱりいろいろ体験してみた方がいいんじゃねぇかと言うことで、考えていたところへある日女房が1冊の本を買ってきた。どれどれ?と見るってぇと「野村萬斎」なんて名前が書いてある本だ。
「ふーん?なんだおい、こんな本買ってきやがって。」 「こんな本とはなんて言いぐさだろうね、この人は」 「だってそうじゃあねぇか、日本の文化って言ったら、ほかにもっとあるじゃねぇか、え?歌舞伎とか文楽とかさ。なにもマンザイの本なんか読まなくったてテレビでしょっちゅうやってるじゃねぇか」 「やだねぇこの人は、漫才じゃなくて萬斎!狂言の野村萬斎だよ」 「え?ダバダーー、違いのわかる男の?」 「やだねぇまったく、古いことをお言いだよ。それは万作。萬斎はその息子なの!」 と言うわけで野村萬斎の狂言の本を読んですっかり狂言に興味を持った二人はちょうどタイミング良く隣町で薪能があるってんで早速見に出かけ、非常に感銘を受けて帰ってきたのでありました。 こんな具合に去年は狂言と歌舞伎を体験。あ、それと”太夫道中”なんてぇのもありましたな。そして今回は文楽(人形浄瑠璃)を見に行きました。それと、この文が落語調なのは最近落語のCDを妻が買って、ちょいと落語も良いかな?と、そんな感じなんでありますな。
初めて見た文楽ははじまる前に人形と扱い方の説明、三味線や義太夫語りの説明と簡単なストーリーの説明があり、初めてでもわかりやすかったです。
1体の人形を3人がかりで動かします。メインの人形使いの方は頭と右手を受け持ちます。左手は別の人、足も別の人。 お辞儀の動作、驚く動作、笑う動作、泣く動作、どれも人形が自分の意志で動いているようにしか見えません。6体の人形が出ている場面では18人もの人が狭い舞台セットの中でひしめき合っているわけですが、見ている目は人形に吸い寄せられ、人形しか見えてこなくなるから不思議です。 そして、圧巻なのは義太夫語りと三味線の迫力。PAも通さず生の音、生の声であれほどまでの空気を作り出せるとは!まさに火花を散らすような技と技のせめぎあい。いや、びっくりしました。
私も妻たかちゃんも着物で行ったんですが、当然男の着物姿はほかには誰もいないんで目立ってました、わたし。第1部と第2部の合間には近くのショッピングモールでピザ食べたり食品売り場をうろついたりして。 女性も着物は妻のほか2人だけ。うーむ、完全にマイノリティーですなあ。
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