読書日記

2003年06月30日(月) 趣味は読書。

斎藤美奈子『趣味は読書。』(平凡社)は、超絶技工の腕前といえるほどで、あっと言う間に読めてしまうくらい読みやすい。もうこの分野ではライバルはいない。しかし、この手のものではもうテーマがもうない。
次にどんな本を書くのかが楽しみ。うま過ぎる。



2003年06月21日(土) 村松友視『ヤスケンの海』(幻冬舎)

村松友視『ヤスケンの海』(幻冬舎)は、読みやすいのが欠点。あの安原さんの生き方はもっと難解で激しかったのでは、と思いつつもこの一種の再現ドラマを結構夢中になってよんでしまった。
安原さんの本をまた読みたくなる効果はあった。
本の雑誌7月号と本とコンピュタ夏号を拾い読み。



2003年06月16日(月) 長部日出雄『まだ見ぬ故郷(上下)』など。

昨日までの本。
長部日出雄『まだ見ぬ故郷(上下)』(新潮文庫)は、戦国時代の武将高山右近の生涯を主とした時代小説または歴史小説である。しかし、その影は薄く、主人公としての輝きは結末に至るまで弱い。織田信長、荒木村重の二人の存在感が驚くほど鮮やかである。言い負かされた方が死に直面する宗教討論とでも呼ぶべき場面がいくつかあり、迫力があった。
クリフォード・D・シマック『愚者の聖戦』(ハヤカワSF文庫)は、懐かしのSFとしか言いようがないもので、幼稚でどうしようもないかと恐る恐る読んだが、満足。
この全6篇の中・短編集はすでに絶版のようだが、ファンタジィ全盛期のような今なら化粧直しして売り出せば、結構読まれるのではないだろうか。
小島剛夕・小池一夫『子連れ狼』を後半部分を再読。列堂が米をとぎ、一刀が薪を割るシーンが記憶に残る。
佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』最新の5巻まで一気に読んだ。軟弱な精神の持ち主にはつらい読み物である。6巻が出て読む気になるかどうか。
アレックス・カー『犬と鬼』は爆弾。考えられる分野にわたって今の日本がつぶしてきたものを詳しく解説している。どういう立場にあっても残すべきものが消えていることは否定できないのでは。
大崎善生『将棋の子』(講談社文庫)は、奨励会制度の酷薄さが人間を地獄に落とす話。前作『聖の青春』同様強靱な精神を持つ作者が華麗な技法で地獄を描いているのである。ノンフィクションというより小説としての完成度がさらに高くなった。
ウオシャワスキー(?)兄弟『マトリックス・リローデッド』は2時間強のSFアクション映画。メインイベントの連続で一区切りつくとほっとする。笑うしかない荒唐無稽アクションはそれとなく『ルパン�契ぁ戮寮こΔ鬚瞰牌覆箸気擦襦�やはり笑うしかない。面白く楽しいことは間違いない。噴飯物と言えなくもない。



2003年06月09日(月) 日垣隆『ご就職』(郷土出版社)読了。

日垣隆『ご就職』(郷土出版社)は今から5年前の本。筆致は今と変わらず明解でちょっと辛口。以前に「第7章誰にでもできる情報整理術」と他の部分を拾い読みしていただけだったので反省してしっかりと読み直しをした。
メール・マガジンだけでは日垣文への飢えを十分にカバーできないのでつまり一気にいっぱい読みたいので前に読んだ本をひっぱりだすことになってしまう。
出版予定は結構な数あるはず。しかし、出て来ない。文庫化のみ。
この本の副題は「大倒産時代を生きる知恵」。就職を目前にした二十代の人を対象にした本だとしてもこの「知恵」は得難い。



2003年06月07日(土) 長部日出雄『まだ見ぬ故郷』を始める。

長部日出雄『まだ見ぬ故郷』(新潮文庫)を読んでいる。全く予期せぬことで、何気なく買い、読み始めたら止まらなくなった。副題が、高山右近の生涯。去年のNHK大河ドラマ『利家とまつ』を見たせいか、信長は反町である。



2003年06月02日(月) 大崎善生の本など。

大崎善生『パイロットフィッシュ』『アジアンタムブルー』(共に角川書店の本)を続けて読んだ。
風俗雑誌の男性編集者の回想談であり、人生論。
相手の都合も考えずに深更でも電話を掛けてくる友人。
十九年ぶりに突然電話してきたかつての恋人。
親友の夫や恋人と関係してしまう女性。
やさし過ぎて身も心も病んでしまう風俗の女性。
お伽話のような美しい恋や出会いが繊細な文体で描かれ、なんとも言えぬため息を生むが、じきに次々に失恋や死となって主人公を襲う。
流麗華麗な文章とエピソードの積み重ねが読み終えることを強制する。
『聖の青春』(講談社)と題材は異なるが奥底に死への凝視を感じさせる点では共通性がある。
これもまた現代日本の大人のための幻想童話。
福田和也『作家の値うちの使い方』(飛鳥新社)は眉唾で接したが、意外にも面白かった。毀誉褒貶のあった『作家の値うち』を読み、わたしもこれはどうかと思った。しかし、辛口の書評集的本として読めばどうと言うことはない。見解の相違こそ読むかいがあるというもの。
いわゆる純文学とエンタテインメントの二つに分けて百点満点で評価するのはいまさらとしても、膨大な作品を読み上げ、点数をつけて整理していくという「作業」自体たいへんだが、面白い試みだったのだと考え直した。
先週は、石川達三週間と位置づけて見事失敗。『蒼氓』の一ページ目を開いたり、古い文庫本を何冊か買ったり、で終わった。
10ページ読書をする。
対象は『飛行少女』『奇偶』など。
今週は、獅子文六週とする。


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