なべて世はこともなし
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2003年04月25日(金) また出た!Bank of Irelandの人智を超越したいい加減なお話

家に帰ってくると郵便が届いていることが多いです。来ない日もあったり複数の郵便がまとめてくることもあるからおしなべて考えると一日平均は0.8通とかになるかなあ…と思っています。


がその郵便のほとんどすべては機械で打ち出された

「クレジットカード利用明細」(これを見るのが一番恐い)
「電気代請求書」
「ケータイ電話の利用明細」(毎月ほとんど基本料金のみ)


等々。一言で言って歓迎されないものばかり。世界1周無料航空券とか、1億円の小切手とかそういうものを送ってくれる奇特なお金持ちはいないのだろうか(いない)。


で、また例により窓付き封筒で味も素っ気もない手紙が届いた。「ん?今月の請求書は一通り出そろったはずなのになあ…」などと思い封筒を開けてみると



Snigel様

あなたの学生アカウントは6/1から一般アカウントになります。

Bank of Ireland



ハァ?

なんじゃこりゃあ?



もうかれこれ7年前、そう、7年です。7年前の1996年4月。アイルランドに語学留学にやってきた私はアイルランドで銀行口座を開くことにした。当時のホストマザーが「銀行は一番大手のBank of Irelandがいいよ」というものだから、何も疑わずにBank of Irelandの町中にあるあの支店に口座を開きに行きました。その昔国会議事堂だったことがあるという由緒ある建物を使っているあそこです(もうどこかお分かりですね)。あの「一見さんお断り」といった趣のあるドアを開け、口座を開こうとしたのです。


今じゃ、Current Account、Withdraw、Bank Transfer、Mortgage、Beneficiaryといった銀行の用語もほぼ問題なくわかりますが(当たり前か)当時の私にはそういった語彙は絶無。日常会話すらまともにこなすことはできませんでした。かくして

Hello

I want to open bank account. I am a student and I am studying English here. I have XXXyen and I want to lodge this.


(↑文法的な誤りはわざとですので突っ込まないように)なーんて紙に書いてしかもそれをホストマザーに見せてから銀行に向かう気の小ささ念の入れよう。当時今ほどガイジンが多くなかったこともあってか、やれ公共料金の明細を見せろだのなんだの言われることもなくけっこうスムースに銀行口座が開けた記憶があります。


あれから7年(途中数年のブランクがありますので7年間ずっとここに住んでいたわけではありません。念のため)。ずっとおかしいなあとは思っていたんです。何をやっても手数料を取られない。他の人がお金の動きがあるたびに40円程度の手数料を取られているのに私にはその手数料がまったくかからない。たまに外貨の両替に行くと「あなたのアカウントは学生アカウントだから手数料は免除です」なんて言われて、よくは分からんが得した気分になっていた。で、今日になってやっと謎が解けた。


私のアカウントは、ずっと学生扱いだったのね。


そりゃアイルランドじゃすべてがいい加減だと日記に書き続けて来ましたよ。実際いい加減だと確信を持って言えますよ。だけどねえ、私の口座を7年も学生口座のまま放っておくそのいい加減さはもはや人智を超越しております。


…どうせなら生涯学生口座のまま放っておいてほしかった。


さてさて、4/14の日記で「就労ビザの発給基準が厳しくなった」というお話をさせていただいたのですが、読者さんからこんなツッコミを頂きました。


「あの話、新規の申請のみで更新時には適用しないんじゃないの?」


ふむ。あの話の流れを根本から否定することになりかねない素朴な疑問です。実は噂ではこの方のご指摘のようにあの新基準は更新には適用されない「らしい」です。が、どっちにしても確証はつかんでおりません。労働省、実は私らが質問をしても電話を取り次いですらくれません。ゆえに質問することもできず、ホームページは隅々まで見たつもりですがどこにもそのことは書いてありませんでした。かくして真相は謎です。確かに私も更新には適用されない説を採った方が話がすっきりしてわかりやすいと思うのですが。


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2003年04月23日(水) 世界で唯一作者が気に入っているナイトクラブのお話

ドイツに行ってもネタにしない時の方が多いです。理由は簡単。読者の皆様はどちらかといえば私の不幸な話を期待しているフシがあり、作者のシアワセな話など読みたくないと思われていると思われるので。ましてや作者の身の下話など読みたくもないでしょ?(書きませんよ。念のため)


なんということはないだらだら日記なら書けるけど、ネタになるようなことは(行き帰りの道中を除き)あまりないんですよねえ(おい、そこ「いつもだらだら日記じゃん」とか言うな)。が、今日はひとつだけ「だらだら」をネタにさせていただきます。数日前と同じ口上だけど警告したんだから後で文句言うなよ


今回の滞在中に、どうしても行きたかった場所があります。たとえどんなに遠くとも、たとえどんなに金がなかろうと。それはここ。





写真だけじゃあ何も分からないですね。ここMobile(「モーバイル」ではなくドイツ語的に「モービレ」と読むのが正解)は作者が世界で唯一また行ってもいいと思っているナイトクラブです。もう何度も書いているとおり、作者はアイルランドのナイトクラブなるところが大嫌いです。この5年以上近寄ってもいません(実話)。あの異様な暑さと汗臭さ、げろ込みでみんなが考えているのはわいせつ行為のみ(かなり穿った見方と怒られるかもしれませんが)…というあの空間、私の性にはまったく合いません。


が、このMobileは、中のセクションは3つ(入口近くのビリヤードがある部分、バー、そしてダンスフロアー)に分かれており、中は決して混みすぎていないから暑すぎない。そしてバーセクションなら音楽もうるさすぎないので声を張り上げずとも話ができる。そして何よりも客が変に着飾っていたりはたまたわいせつ行為ばかりを考えていると言うわけでもなさそうな雰囲気(少なくとも私が見る限りではね)。


音楽も、くだらないヒットソングや音楽なんだか雑音なんだか分からないテクノなどからは一線を画したなかなか渋いいい選曲をしてます。私の数少ない経験から言わせてもらえばここは世界でいちばん楽しめるナイトクラブです。そんなもんがドイツの片田舎にあるというのは驚きの限りですが。(余談ながらこれらの写真はオフィシャルサイトから勝手にパクってきてるのでバラさないように)


問題はですね、このいとしのMobile、ついにそのドアを閉めてしまう(営業を終了する)らしいんですよ。愛された人ほど早死にする、美しい月下美人の花はかくもはかないなどなど陳腐な例えを出すまでもなく、素敵なものほど先になくなり残るのはどうでもいいものばかりというのは全世界に共通してある問題かも。


で、それだけなら無理して行くほどのことはないと私も思います。が、私にはこのMobileにはそれだけではないひとかたならぬ思い入れがあるのですよ。
その理由

ここMobileは3年前にMausiと私が出会った場所

…でもあるのです。


上に書いたような理由でナイトクラブなどと呼ばれる場所が嫌いな私。そんな私が旅行(ハノーバー万博を見るだけのため)で訪れただけのドイツで偶然にもナイトクラブに行き、で、偶然にもドイツからほとんど出たこともないようなもろ地元の女の子と出会ったことはまさに奇跡以外の何者でもないような。


毒食らわば皿までということで、書きかけた以上最後まで書いてしまいますが、この3年までに訪れたMobileのダンスフロアーでひときわ輝いていたのがMausiでした。これまた奇跡以外の何者でもないのですが、普段の私からは考えられないことに彼女をダンスフロアーからバーセクションに招きまして、ビールを片手にカウンターの椅子に腰掛けいろんな話をしました。これが私たちの出会いです。


この時に座った席も未だそのままに残っているのですが、それももう長くなく私が次回ドイツに行った時にはこの席はおろか、このMobile自体なくなってしまっているのです。…私が無理をしてでもMobileに行きたかった理由がお分かりいただけたでしょうか。


かくして、再び訪れたMobile、再びカウンター席に腰掛けていろんな話をしました。そしてMausiはダンスフロアーへ。そこで見たMausiは、3年前に輝いていたMausiと同じ…ある意味ではもっと輝いていました。


…こらこらこら、そんな大きな石を投げるな。ましてやブロックを投げるんじゃないよ。ね?なんで私がドイツの滞在日記のネタにしないかわかってくれたでしょ?こんなのろけた彼ばか自己満足日記が続いたらそりゃ誰も読んでくれんわな。


でもやはり寂しいですよ。思い出の場所がなくなるというのは。噂では経営者が代わって存続…という説もあるようなのでぜひとも少なくともあのダンスフロアーとバーカウンターだけはあのままで残っていてほしいと思います。かなわぬ希望でしょうが。




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2003年04月22日(火) おさかな地獄で顰蹙を買う昼休み

昨日のお昼休みの話。ドイツから帰ってきたばかりということも手伝って、家の台所には私の食べ物がほとんどなかった。かといって、たかが500円程度の外食をする金も惜しかった最貧な私は、ひでかすの消費期限の切れたパン、さらにはひでかすがALDIで推定5個250円程度で買ってきた調理済みのハンバーグを勝手に冷蔵庫から拝借して、バターもつけずに野菜もなくただ寂しく食べていた。ちなみに朝ご飯は貧乏につきパス。


ああ、28にもなった男がこんなことでいいんだろうか。


…かくして結婚することになりました…などと話が行くはずもなく(結婚したら誰かがいつもご飯を作ってくれると思うのは男の勝手なおめでたい期待だよね…たぶん)、私はとにかく食生活を改善すべく、勤務時間後にジムに行く予定を急遽変更。M50の有料の橋を渡る金(たったの160円)すらないのでM50に沿って下道をぐねぐねぐねぐね走り、45分後にたどりついたはSwordのThe Pavilions。ここのここのSuperquinnでおいしい食材を買って帰ろうと思ったわけ。


だいたい貧乏ならSuperquinnなんてちょっとお高くとまった(当然お値段もお高くとまっている)スーパーになんか行かなきゃいいのにとも思うが、最近Tescoの特に野菜のあまりの質の悪さにとことん愛想を尽かした私はちょっとくらい高くてもSuperquinnで(比較的)まともな食材を買おうとしているわけ。安くても関係のないもの(例えばゴミ袋とか塩とか)はドイツ系のスーパーLidlと最近の私はスーパーを完全に使い分けている。


で、苦節45分かけてたどり着いたSuperquinn…。なんとまあ、なぜかは知らないけどぜんぜんモノがない。あっても連休前に仕入れたんじゃないかというようなしなしなの野菜や明日賞味期限が切れるような肉とか、なんだか苦労してやってきた私の苦労をあざ笑うかのようなお寒い品揃え。いつもいるヨーグルトやワインの拡販のおねえさん(ここで言う「おねえさん」はかなり拡大解釈しており日本で言う「お昼のお嬢さん」も含まれます)も今日はいない。お客もいない。完全にやる気なし。


かくして何かを作る気力はあったものの、何も買いたいものがないというアイルランドでは非常にありがちな状況に陥った私。仕方がないので、出来合いのHaddock(タラ)のKiev(ガーリックバターなんぞと一緒に揚げたもの)を買って帰る。(注:写真は「こうだったらいいな」という作者およびメーカーのの希望であり、グーテンバーガーの見本写真と実物くらい似ても似付かぬものです)。ちなみにこれを買ったのは、賞味期限切れ直前で半額だったからです。


そして今日のお弁当は、壊滅的に悲惨な野菜のコーナの中でも比較的まともだった(でもぼったくりに近いくらい高かった)ブロッコリーを茹で、ついでにご飯まで炊くというまさに手間暇かけたお昼ご飯(でもHaddockのKievは出来合い)を持参した私。


まずは会社のキッチンへ行き(「社員食堂とかいうしゃれたものはありません」お弁当箱からHaddockのKievとご飯とブロッコリーを皿に盛り電子レンジに入れます。


台所に何ともいえない強烈な魚のにおいが漂いはじめます。で、その匂いはますます強くなるばかり。…ちゅうか、食えるのか?これ?というくらいの匂い。


食べれるかどうかなんてのは問題じゃあありません。問題はお腹を壊すかどうか。お腹を壊すかどうかは食べてみないと分かりません。という訳で、3分後に「チーン」と鳴ったレンジから皿を取り出して、そのまま隣の部屋へ。隣の部屋には丸い5―6人がけのテーブルが5−6脚。中はお昼時ということも合って結構混んでます。


私は匂いを気にしたので遠く離れたテーブルに座ろうとしたのですが、アイリッシュのMaria(本名…だけど何の問題もないわな)が


「Snigel、何でそんなところにひとりで座ろうとしてるの?こっちにおいでよ」


と呼んでくれる。


私は仕方なく呼ばれたテーブルに行ったのだが、テーブルの会話が一瞬止まる。そして全員の視線は私の皿に集まる。そう、まだ、すごい匂いがしてる。すごいおいしそうな匂いではなく、食べれるのかどうか不安なすごい匂い


全員:「それ、何?」
私:「HaddockのKiev。日本人なんだから魚を食べて当然でしょう!日本には『おさかな天国』っていうわけのわからん歌もあるんだぞ!」(←半ば自棄になってます)



食べはじめます。お腹がどうこう言う前に、視線が…痛い


沈黙を破ったのは、同僚のTracy。


Tracy:「ねえ、Snigel」
私:「何?」
Tracy:「悪いけど後ろの窓開けて…



…Haddockでこれなんだから私が納豆を持ってきたりしたらたぶん食堂から人が消えるなあ。だいたいこのHaddockのKiev、アイルランド産なんだけど…。
明日からまた何を食べようか、困ったもんです。



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2003年04月21日(月) 借金取りついに自宅に参上!それでも逃げおおせるフランス人とは?

あれは忘れもしない…ええと…たぶん去年の夏頃のお話。うちに1ヶ月か2ヶ月程度フランス人の女の子が住んでました。ヘビースモーカーなのがタマに傷でしたが、結構かわいいし性格もフランス人にしてはとか人種差別的なことを書いてはいけませんねいい。というわけで、密かにSnigelのお気に入りの女の子でした。


(資料写真。本文と写真は一切カンケーありません。ないんだってば)


で、彼女去年の夏にフランスに帰ってしまいました。帰り際に彼女は空港で私の手をしっぽりと握り、


彼女:「Snigel、私宛てに来た手紙は捨ててね。私は過去にとらわれない女なの。そして私のことも忘れてね」


と言ったというのは言うまでもなく私の妄想ですが、ただ、本当に


彼女:「Snigel、私宛てにはどうせ請求書しか来ないから開けてもいいけど捨ててね」


と言ったのはれっきとした事実です。


そして数週間後から、某ケータイのプロバイダーから請求書が忘れた頃に届くようになった。最初は私も封筒に


Not known in this address. Back to the sender


なーんて書いて送り返していたけど、あまりにしつこい!しばらくしてからは完全に放置。


で、今年になってもまだしつこく督促状を送ってくるので、ついに私は封筒を開けてみた。


ををっ。結構な大金を踏み倒してるじゃん


そして、ついに、昨日、最後の手紙が届きました。





そう、手紙の送り主はもはやケータイのプロバイダーではなくCollection Agency。そう、借金取りのための専門機関


弊社の多大な努力にも拘らず、貴殿は上記の負債を返済していません。弊社は従って貴殿の地元の集金人に48時間以内に自宅に自宅に集金に向かうよう指示を出しました。


ををっ!ついに自宅に集金か!


…ってあなた日本の某放送局の借金取りの魔の手から5年間逃げ仰せた私。借金取りが家に来るくらいじゃあびっくりしませんよ。(ってあれは借金取りじゃあないのか)

ん?待て待て。この手紙の日付から48時間って… もう過ぎてるやん!


だいたい手紙を投函してからそれがうちに着くまでに最低24時間。下手したら48時間かそれ以上(何せアイルランドのことでございますから)。つまり、郵便と同時に借金取りが表にいたりして。このことからしてもこの48時間というのは単なる脅しにすぎないことがわかる。


もっと言えば、家族や隣近所に借金取りが言えまで押しかけたことをアイルランド人は恥じるだろうか?あまり気にしない人種のような気がするなあ。人種に関わらず借金を恥じる人は、こんな最後通牒が来る前に借金を払ってる気がするから、どうも本気だとは思えない。


あのー借金取りさん、うちに来られるのは勝手ですが、Rebecca(仮名)はもういませんよ。去年の確か9月あたりに出ていって、それ以来音信不通でございます。私が知るのは彼女がパリ近郊に住んでいるということだけです。冗談ではなく、彼女のメールアドレスすら知りませんので諦めてください。どうしてもっていうならフランスに行って地道に探してください。


ちなみに、これって帳簿上で帳消しにする前のポーズにすぎないと思うんだよなあ。だって、以前にうちに住んでいた人間もやはりこの手紙をもらったけど結局逃げ切ったもんねえ。本気だったら書き留めか内容証明郵便(んなもんがあるかどうかは知らんが)で送ってくるような気がする。


はい。この督促状はクシャクシャポイ。さーよーおーなーらー。


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2003年04月15日(火) エルニーニョ万歳!+フォトエッセイ更新のお知らせ

最近掲示板等大変に静かで本当に誰かこの日記を読んでくださっているのかちょいと不安なSnigelです。こんにちは。


それにしても昨日(火曜日)と今日(水曜日)の暖かさはほとんど異常です。今日の気温も20度を越えたそうな。いったいどうなってんだか。それとは対照的にスペインの天気が悪いそうな。実はこれ、ここ数年の傾向らしく、スペインの天気よりもアイルランドの天気のよい日がけっこうあるそうな。この原因に囁かれているのがエルニーニョ現象。中学校のとき理科には全く興味がなかったのでよくはわかりませんが、要するに、アイルランドはこのエルニーニョ現象によっていい影響を受けている数少ない国らしい。


そんなことはどうだっていいんです。本日は久しぶりにエッセイのコーナーを更新いたしましたのでそのご報告です。


フォトエッセイどっちやねん?!2(直リンク)
電話回線の方
高速で快適にネット接続されている方

そうそう、日本に遅れること数年、私が住む某地区にもADSLがやってきました。でも基本料金のみで55ユーロはとても払えないので、しばらくは昔ながらの電話回線になりそうです。



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