なべて世はこともなし
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2003年07月09日(水) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(7)

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さて話は翌日曜日。金曜日から病院にいるから3日目ということになる。やはり朝6時30分にみんな起きだして来て、7時30分頃になると看護婦が検温および血圧測定。体温36度。血圧上が95の下が65。「低血圧気味。もっと水を飲みなさい!」と怒られる。別に今始まったことじゃないのに。


それから先は昨日と全く同じ。時間は昨日と同じようにゆっくりと流れてゆく。唯一の違いは午前11時30分にスーツ姿の女性がやってきて、


女性:「XXをされますか」

と聞いてきたこと。「へっ」と思い「それ何?」と聞くと、何やらキリスト教の宗教上のことらしい。ちなみに私はキリスト教とではないのでパス。なんたらかたらと言ったかと思うと2センチくらいの「何か」を口に入れた。後で聞いたところによれば、これ「パン」なんだそうな。


そして今度は12時過ぎに医師がやってきた。たった一度2分しか私を診ていない私の主治医ミスターアイルランドではなく別の医師。


医師:「どうですか?調子は?」
私:「絶好調」
医師:「痛みは?」
私:「ない」



ない。ときっぱり言い切る。何せ本当にないんだから。


医師:「そうですか。では退院としますか」


と私は彼が言うと固く信じて疑わなかった。ところが彼の口から出た言葉は…
次回に続く。








…とか無駄に引き伸ばすと石が飛んできそうなので続けましょう。すると医師は


医師:「そうですか。調子はいいんですね。じゃああと一日調子を見ましょうか」


なんですと?


この期におよんでまだここにいろというんですか?私はショックで寝込む…というかふて寝する。


昼食は昨日とほぼ同じメニュー。はっきり言えば、まずい。まあフツーの病院は古今東西未来永劫飯がまずいと相場が決まっている。考えてみれば飯がうまくて部屋がホテル並みでしかも治療費が政府や保険会社から支払うとなれば病院に住もうという輩が出てくるに違いない。


それにしても病院での時間は流れない。あまりにゆっくりとはがれていくので流れているのかどうかもわからなくなる。そうなると昨日見えなかったいろんなことが見えてくる。


たとえばこんなちょっとした発見。日本の学校では教師のことを「先生」と呼ぶが、アイルランド(あるいは英語圏全般)では「teacher」とは呼ばない。ゆえに、日本では看護婦さんを「看護婦さん」と呼んでも英語では「nurse」と呼ばないのではないかと思っていた。


間違い。みんな「ナース!」って呼んでる。でそのあとも患者は「XXしてくれ」と完全に命令口調。まさに主人と家来の関係。それでも看護婦は嫌な顔一つせずにもくもくと仕事をこなす。これじゃあ男がころりと(以下略)。ただし、「ナース!チョコレート食べるか」なんてこともしょっちゅう言っているようだが。


さらに別の発見。私の右腕には金曜日の夜に血液検査のために刺された針(というか極細のチューブ)が刺さったまんま。この針を使って点滴をしたりしてうまく再利用している。これって普通なんだろうか。



昨日のニュースによればアイルランドの失業率は目にみえて上がる見込みだとか。こうなるとますますわれわれ外国人労働者の立場が悪くなりそうです。いったいこの先どうなるんだか。


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2003年07月08日(火) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(6)

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前回の日記から大分日が空いてしまいました。続きものですので、過去日記からご覧になっていただけると嬉しいです。


午後12時30分。昼食。メニューは私をして唖然とさせる「典型的アイルランド」。チキンキエブ(要するに鳥肉をガーリックソースをはさんで揚げたもの)にマッシュドポテトそして豆。さらにはフルーツの盛り合わせ。さすがに量こそ多くはないが、それでもこれ食って一日ベッドにいたら…どうなるんだ?この国の人間は「食事療法」とかいう言葉を知らないのだろうか。さすがの私もフルーツ以外はほとんど手をつけずに残す。食べたくなかったというのもあるが、それ以上にこんな重いものをぺろっと平らげたらまず間違いなく「ニセ患者」扱いされそうだったから。ま、もとよりニセ患者には違いないのだが。考えてみるとニセ患者とエセ医者、いい勝負です。


その後。…時間は流れない。病棟からの外出は認められていないので、結局病室に居ざるをえない。最初の数時間は読みかけの本を読んでいたけれどだんだん飽きてきた。他のベッドには土曜日ということも会ってか家族とおぼしき見舞い客がやってきて見舞いの言葉をかけている。あー、お見舞いって来てくれると嬉しいもんだろうなって、入院してみて初めて気がついた。


午後3時。退屈に堪えかねて、「20分」という限定つきで病棟の外へ。千波にここで紙と鉛筆を買ってきて実はこの日記、全くの同時進行で書いていたりします(打ったらさっさとタイプしてあぷすればいいようなものを)。


午後4時30分。夕食。…早い。早すぎる。知る限りでは日本ですら午後5時30分とかなのに。夕食はサラダにフルーツと昼食に比べ軽め。夕食を食べた時点で全く無意味な点滴は外される。今まではトイレに行くのにもこの点滴のスタンドをもって出かけていたので気分だけは重症患者だったのだが、この時点で本当のニセ患者になってしまう。


午後6時。ひでかすが見舞いに来る。


ひでかす:「手術はどうだった?」
私:「してない」
ひでかす:「いつするの?」
私:「わからん。しないかも」
ひでかす:「…じゃあお前ここで何やってんだよ?」
私:「……………わからん」



…確かに何やってんだか。


午後8時。今度はお茶のサービス。ビスケットや希望によってはパンももらえる。…よくできてるというか患者をそのまま肉屋に売り飛ばすつもりなのか。で、9時ごろ再び検温・血圧測定。注射を1本刺されておしまい。


ところでこの6人病棟には入口のドアの上に20インチくらいのテレビが一台釣り下げられている。もとよりテレビなど全く見ない私にはどうでもいいことなのだが、テレビのリモコンは、この病室の重鎮と思われる70代の男性がいつも握っていて離さない。


彼をはじめ暇を持て余した私を含む6人全員がこの日見ていたのはおりしも行われていたスペシャルオリンピックの開会式。「日本にも中継されてます」なんて言ってたけど、日本でどの局がやったかは知らんが(BS第2あたりが怪しいかな)、夜中の3時とかにこんなものを見た酔狂な人はほとんどいないでしょう。とはいえ開会式で誰かが言った「talk about ability, not disability」という言葉。アイルランドの病院の病室で右足の膝から先のない車椅子に乗ったオッサンの隣で見ていると、妙に重みのある言葉に響いた。


さてさて。アイルランドの病院ではいつ頃消灯時間かが興味のあった私。結論から言うと、特に指定はなし。電気は50代のオッサンのひとりが消したが、テレビはスペシャルオリンピックが終わってしばらくして午後11時過ぎまでつけっぱなしだった。それでいて朝の6時30分に起きるというのはなんとなく入院しているという事実に関わらずこの人たちは元気なんじゃないかと思わせる。


元気といえば先ほど書きかけた50代の比較的若いオッサンが70-80代のじいさまを助けているという事実について。私の場合、さらに若いし元気そう(というか実際元気)だし何かしなければいけないと思った反面何をしていいのかいまいち分からない。というのもあまりしつこすぎてもいけないと思ったから。隣のじいさまが何かするたびにいちいちかまってきたのでは多分じいさまにもストレスになると思う。かといって放置しておくのも悪いし…判断が難しかった。


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2003年07月07日(月) とことん行きます地の果てまで。スコットランド旅行記(2)

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かくして期せずして「ハリーポッター撮影ツアー」をした私たち。スコットランドのこのあたりを総称してHighlandと呼ぶらしいのだが、そのHighlandで最大の町Fort Williamへ。ちょっとした買い出しをしてLoch Nessへ。こうやって横文字で書くとなにがなんだか分からないけど、早い話がネッシーですっかりお馴染みになったネス湖。ネッシーは捏造だと暴露した輩がいてネッシー騒動にはピリオドが打たれたわけだが、なるほど、なんだか知らんが不思議なオーラを出している湖には違いない。




…ちゅうか、ネッシーがなくてもいい感じの湖じゃん。



で、さらに北上。北に行けば行くほど、だんだんイナカ度が増してくる。私は今回は助手席でふんぞり返っていることに決めていたので、ひでかすに運転させつつ、私は助手席のダッシュボードに足を乗っけて偉そげに風景を楽しむ。



そんなこんなで本日の宿に到着。ここ、ひでかすが「どうしても泊まってみたかった」といういわくつきのユースホステル。ビンボー人のくせしてユースは嫌い…という私も、このアイディアの前には私の考えを曲げざるをえなかった。そんなユースホステル。いったいどんなホステルなのか?


答えはこれ。




お城?




…お城ですなあ。確かに。


たぶん世界中探してもそんなにないと思われるお城のユースホステル。中は上の写真を見てもらっても分かるとおり、お城の趣を残しているものの、どことなくユースホステルとなり管理が行き届かなくなった気もする。考えてみたら、このお城の歴代の主はここがユースホステルになってしまったことを本気で嘆いているに違いない。とはいえ、ここ、ユースホステルにしては破格の一晩14ポンドという値段を取ります(ただし朝食付)。この値段を払えばドミトリーではないB&Bに泊まれることを考えるとかなりお高くとまってます。ま、腐ってもお城ですからね。


ちなみに部屋は7人の何の変哲もないドミトリーでした。もし、このユースホステルに泊まってみたいという奇特な方がいらっしゃれば、このページをチェックしてみてください(英語)。ここ、車がないとちょっとたどり着くのは困難かも。最寄り駅から徒歩10分程度ですが、そこ、一日に5本とかしか列車がない。






列車と書いたついでに駅を紹介すると、…こんな感じ。駅にたどり着くためにはこの誰がどう見ても廃道というか私有地入口という感じの道を入っていかねばならない。


私が何より驚いたのはこの駅。なんと、「リクエストストップ」なのだ。リクエストストップ。バスではよく聞くけど列車でリクエストストップ?リクエストストップとはバスを考えてもらうとわかりやすい。バス停に誰もいなかったり、また降りる人がいなかったらバスはそのバス停を当然通過する。これを列車でやろうというわけ。つまり乗降客がいなかったら列車はこの駅を通過してしまう。ひでかすの解説によるとスコットランドにはそういう駅が結構あるらしいが少なくとも私には充分カルチャーショック。



ついでに書くと、この駅にたどり着くまでの道がまたすごい。この鉄橋の脇に取りつけた橋がユースホステル側の対岸から唯一の道なのだが(これを渡らないと車で15分ほどかかる別の橋まで大きく迂回しなければならない)、この橋、私のへっぽこ写真では伝わらないだろうけど、またとんでもないところにかかっている。水面から50メートルくらいはあるのではないだろうか。それなのに橋の表面はこんな感じの網目状の鉄板。恐い。



恐いといえばこのユースホステル。出る…らしい。まあ古城にユーレイはつきものなのだが。かくして、夜10時ごろ、ひでかすと二人でユースホステル内のゴーストハンティングに出発。…午後10時といってもまだ外は薄暗い。というかスコットランドの北の果てという高緯度の場所のせいか一晩中完全には暗くならなかった。



なかはなかなかにして不気味だったが、残念ながらユーレイを見つけることはできなかった。以上がスコットランド一日目。

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2003年07月03日(木) Droghedaバイパス、勝負じゃ!

DroghedaとSwordにあいついでバイパス(高速道路)が完成しました。土地カンのない人のために解説すると、DroghedaもSwordsもどちらもBelfastに向かう幹線道路N1(国道一号線)沿いにあり、Swordはダブリン空港から北へ2キロほど行ったところ、Droghedaはさらに50キロくらい行ったところです。高速道路の距離はどちらもたぶん15キロ程度。たぶんDroghedaの方が長い。


これ、私にとってかなりの朗報です。というのも、月に一度の割で「Newryビール買いだめツアー」に出る私。そう、いつぞやの日記で書いた記憶がありますが、北アイルランドは何はともあれビールが安いアイルランドのほぼ半額


で、いつも目が回るような数のRoundaboutと渋滞で泣かされるSwordsと、これまたいつも大渋滞で抜けるのに30分近くかかるDroghedaが一気に高速道路でパスできるというのは非常にありがたい話。しかもDroghedaとSwordsの高速道路の完成により、信じられない話ながら、なんとこのアイルランドにダブリンからダンドークまでおよそ80キロにわたる途切れのない高速道路が完成してしまったわけ。これ私が96年にアイルランドに初めて来た時、高速道路の全長がアイルランド全体で50キロとかだったことを考えるととんでもない大進歩と言っていいと思う。


かくして、「便利さ体験Newryビール買いツアー」に出た私はやっぱりアホタレですかね?


参考までに今までのNewryまでの所用時間は最短で1時間30分。いや、これはかなりいいほうでDroghedaで渋滞に巻き込まれようものなら、下手をすると2時間近くかかることもあった。それがどうなったか。


自宅を出て、ダブリン港トンネルの工事で忙しいM1を北上。空港から新しく完成したSwordsバイパスへ。で、そこから数年前に完成したBalburygganバイパスそして今回開通したDroghedaバイパスからDandalkバイパスを抜けてNewryへ。驚愕。わずか1時間で(あるんだかないんだかわからない)国境まで着いてしまった。Newryまでの所用時間は1時間15分。早くなったわ。


ただ、問題が一つ。アイルランド政府は「今後開通する高速道路は受益者負担の原則から金を取るけんね」と宣言している。今回開通したDroghedaバイパスもこの原則にのっとり乗用車は1回につき1.5ユーロの通行料金が必要となる。かくして料金所がバイパスに設けられている。


こうなると、「フリーライダー」なる輩が問題になる。いえ、何も難しい話じゃありません。要は通行料金を払わずに通行しようというアホタレが出てくるわけですよ…私のような。とはいえ「無料通行宣言書」なるものを手渡すとかいう法に触れるようなものではなく、ただ単に料金所を避けて通ろうという方法。


ご近所の有料道路とかにありませんか?入口で通行券をもらい出口で通行券を係に渡して料金を精算するのではなく、途中に1個所だけ料金所があってその区間を避ければ通行料金を払わなくていい…という道路。


わかりにくい?(ここ、下の内容を理解していただくために面倒でも読んでくれると嬉しい)例えば4つインターチェンジがある高速道路。入口から順に1・2・3・4番とします。料金所は2と3の間にあるだけなので1から2まで高速道路を使い2から一般道に出て3までの区間を通行。で、3から高速道路に戻って4で降りる。こうすればたしかに1から4まで通行するより多分時間はかかりますが、1から2と3から4の間で「無料通行」ができるわけで。しかも合法的に。これ、例えば東京の八王子バイパスやQ州では(地元の人でもない限り誰も知らんだろうけど)福岡県の椎田道路など、地元の人ならだれしもが知っているやり方です。


そこで私は考えた。この方法でDroghedaバイパスも無料通行できないだろうかと。はい、私はどうせせこいケツの穴の小さな人間です。たかが1.5ユーロ。されど1.5ユーロ。払わなくていいならそれに超した方法はない。


実はDroghedaバイパスも4つのインターチェンジがあります(正確には3つのインターチェンジと出入りの方向が限定された2つの「ハーフインターチェンジ」ですがこの際細かいことは無視します)。で、ダブリン方向からインターチェンジの番号を1・2・3・4とします。で料金所は1と2の間にあります。で、Droghedaの市街は2と3の間。つまり、1から2の間を一般道で通行して2から4を無料通行できるのではないか…と踏んだわけ。


帰りに実験してました。4から1へ行くのに4から2までの区間を無料通行できんだろうかと。


4から3のインターチェンジへ向かうと「12キロ先料金所。(支払いは)ユーロのみ」の表示。「へっへっへっ、2のインターで降りればいいんだもんね」と思いそのまま2のインターチェンジへ。


2のインターチェンジ。本線料金所はまだ数キロ先。「よっしゃー、ここで降りれば料金は発生しない!さすがアイルランド政府。やることが抜けている!」と思い2のインターで降りた。そこには


料金所が待ち構えていた。


そう、アイルランド政府、私のようなせこい人間が出てくることを見こして、本線料金所とは別に2の出口にしっかり料金所を作ったわけ。


Snigel、フリーライダーになる作戦、見事に玉砕。


せ、せこいぞアイルランド政府!


…ってお前がいちばんせこいんじゃないのか?ちなみに4から3の間は確かに無料通行できますが…しても意味がない。


なお、金曜日から日曜日まで作者お出かけのため日記の更新はお休みです。ご了承ください。


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2003年07月01日(火) まだまだ続く。アイルランド入院体験記(5)

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病室のほかの5人が朝食を食べているのを横目で見つつ、窓から見えるSuttonとHowthの丘を見ながら時間を潰す。腕の点滴がぽたりぽたりとゆっくりと流れ落ちてゆく。時間もこの点滴と同じくらいゆっくりと流れていく。こんなふうにぼーっとしてたら、「ああ、あの最後の葉っぱが散ると僕も死ぬのかなあ」なんて考え出すのは当然のような気がしてきた。


食事が終わると、退屈をもてあましている5人はどうやら新入りの私に興味を持ったらしくぼそぼそと話しはじめる。特に向かいのベッドの例の右足の膝から先がないおじさんが聞きもしないのに膝から先がなくなった理由を話しはじめる。


おじさん:「俺の右足のここから先は立った数日前に切ったばっかしだよ。原因?タバコ。俺なあ、12の時からたばこを吸いはじめてすげえヘビースモーカーだったんだよな。で、気がついたらそのせいで血管が詰まって足が腐っちまった。切る前にいろいろバイパス手術とかしたんだけどだめでなあ。たぶん左も切る羽目になるし早かれ遅かれ両足なくなっちまうんだろうなあ。お前タバコ吸うのか?吸わない?そうか。俺はタバコを吸っている奴みんなに言いたい。俺みたいになるからやめろって」


…そんなことがあるのかなあ。アイリッシュお得意のフカシが入っているんじゃないか(タバコの話ですしね)とか一瞬思ったが、そういえばむかし一度オーストラリアの政府筋が作ったビデオを見たことがある。タバコを吸っている人のたぶん気管支と思われる部分をぎゅっと絞ると、脂肪のような白いものが歯磨きこのチューブを絞るようにぎゅーって出てくるのを。あ、喫煙者の皆様気分を害したなら陳謝。


そんな話をしていると、今度は医師がやってきた。インド人でもなければフィリピン人でもなさそう。よくは分からんがインドネシア人ってこんな顔をしているんだろうか。ともあれ彼は友好的ながらとってもよく分からない英語で…


医師:「キミは、ここで何してんの?」
私:「よー分からんのですが、なにやら…」



「盲腸の疑いで…」と言おうとすると、彼はそれを遮り、


医師:「ああ、SARSか?」


またくそ寒いギャグを飛ばしてきやがって。いくらアイルランドがいい加減でもSARS疑いの患者を一般病室に入れるわけないだろうが。


私:「SARS患者が、一般病棟にいるとは思わないのですがねえ」


で、例によって触診をしておわり。昨日ほどの痛みはない。…というか昨日もほとんど痛みがなかったからほとんど無痛になったというほうが正しい言い方か。前にも書いたとおり、私は風邪薬をもらいに近所の医者に行き、そこでまさに青天のへきれきで盲腸を疑われて病院に来たわけで、けっして激しい腹痛に襲われて病院に担ぎ込まれたわけではない。


で、今度は別の医師が昨日の医師をつれてやってくる。この医師は白衣姿ではなくスーツ姿。いわゆる専門医の「ボスキャラ」であることが容易に想像できる。この40くらいの黒ぶちの眼鏡をかけたオッサン。誰かに似ている…。だれだっけ。うーん。


このMr Irelandというジョークのような名前の医師。この医師が去ってから誰に似ているか気がついた。ディルレヴァンガーだ。(あ、「誰それ?」という方。知らぬがホトケとはこのことです。Googleで検索をかけたりすると後悔することになるのでしないほうがいいです。ゆえにリンクも貼りません)。

で、このディルレヴァンガー改めミスターアイルランド(改めも何もこっちが本名なんだけどさ)、ひととおりのおざなりの検診をして、


医師:「しばらく様子を見よう。お腹は空いたかね?」
私:(涙目で)「はい」
医師:「よし、食事をしてもいいよ」
看護婦:「先生、この点滴はどうしますか?」
医師:「ついでにもう1本やっとけ」


今にして思えば「ついでにもう1本」とはなんだ?というツッコミどころだが、「メシが食える」という喜びでそこまで頭が回らなかった。


数分後。トースト2枚とお茶が出てくる。この時のトーストのおいしさは忘れられない。で、その数分後の10時30分。今度は「ティータイム」とやらでお茶とビスケットが出てくる。さすがはアイルランドといいたかったが、このお茶のまずいこと。ミルクをたっぷり入れないと飲めない代物だった。


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