なべて世はこともなし
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2003年07月25日(金) アイルランド北部で発掘した超越B&B

先日の日記に書いた通り、私、アイルランド北部を2泊3日で旅行してきました。この時に考えられない超越B&B体験をしたのでそのお話です。


場所は例のオススメ国道56号線沿いとしか言えない。いえ、秘密にしてるわけじゃなくて標識全部が全部ゲーリックで書いてたし、しかも助手席のナビゲーターが任せておいたらイスカンダルにワープしてしまうような使えないやつでして…つまりは覚えてないんですわ。覚えているのはドネゴール空港から車でレタケニーに向かってたぶん30分くらい走ったかなあという場所。


ともあれ、昼ご飯を抜いていた私たちはお腹が空いて空いて仕方がないという状況でN56を走っていた。時刻は午後6時。たぶんレタケニーまではあと最低1時間はかかるだろうが、そこまで食事を我慢できる状況ではない。かくして、


私:「よし、次の村でB&Bを見つけて、見つかったらメシにしよう」


と決めた次第。


で、次の村というのがまた名もない村でして。村の規模としてはガソリンスタンドが1軒。銀行がAIBとBOIが各1軒。よく分からん店があり、B&Bは2軒。そんな村にもパブだけは4軒もあった


で、B&B、村の中心に近いところのは外から見ても汚いしとても入る気にならない。で、もう1軒は、村の中心から少し離れており(と言っても100メートルくらい)あまり新しくなく、かつきれいでもなかったが、ま、いっかというわけで取り合えず中を見せてもらうことにした。前庭にはB&Bのマークはあるが、シャムロックのマークはなし(シャムロックのマークはアイルランドの政府が決めた基準を満たしているB&Bに発行される。つまり政府のお墨付きなわけね)。


前庭から入り、玄関のドアをノック。


無反応。


もう一度ノック。


無反応。


ドアノブに手をかけてみると…開いている


ドアを開けて今度は大声で


「ごめんくださーい」


無反応。


もういちど


「ごめんくださーい」


…どうやらお留守のようです。そう、アイルランドのイナカは、未だに家の鍵をかけないところがあるのです。「鍵の数だけ不幸の数」という言い得て妙なことを誰かが言ってましたが(鍵ってのは他人が信用できないからつけるのであって、この世に善人しかいないなら鍵なんて必要ないでしょ?)そういう意味ではこの地域の人はシアワセな人のようです。


で、誰もいないので諦めて車に戻る。で、車を動かそうとすると、お、誰かが裏庭のガレージに入っていった。


で、もう一度車から降りると、イナカの素朴そうなばあちゃんがいた。


ばあちゃん:「部屋?空いてるよー」


考えてみると、あと1分ここを早く去っていれば以下の経験はできなかったのだが。


で、見せてもらった部屋は、なんというか狭くてダブルベッドと洋服ダンスをむりやり力ずくで入れた感じ。これで50ユーロは高い、他を探したかったが、何せ空腹で死にそうな私たち。部屋は諦めて妥協することに。


で、そのベッドルームはバストイレ付とかいうしゃれたものではなく、バス・トイレは共用。共用って言っても良く見ると、ここ以外の部屋は全部家族用。つまりひと部屋だけB&Bに使っているらしい。つまり、ここの家の家族と共用


で、バスルームに行くと、そのおばあちゃんのセクシー下着が洗濯物のカゴの中に転がっているわ、洗面所の流しの上の棚にはおばあちゃんの水虫のクリームにいたるまで全部置きっぱなし。そう、イナカのおばあちゃんちに遊びに行ったらたぶんこんな感じだろうなあというのを想像してもらえばわかりやすいかと。


で、恐いもの見たさで洋服ダンスを開けてみると、案の定といえば案の定、洋服ダンスはおばあちゃんの素敵な冬物のコートとジャケットで一杯。


で、翌朝、朝ご飯を食べにキッチンに行くと、これがまたすごかった。私の座った場所からはキッチンの一部が見えたが、このおばあちゃんが出してきたアイリッシュブレックファーストはなんと冷凍もの!さすがにそれじゃ悪いと思ったのかどうかは知らんが、レンジで解凍したアイリッシュブレックファーストをわざわざ油たっぷりのフライパンの中でちょっと炒めてさらに油まみれにしてくれる。私は嬉しくて涙が出そうになる。


他方、私の連れはアイリッシュブレックファーストはパス。おばあちゃんは気にして


おばあちゃん:「スクランブルエッグでも作ろうか」


おお、いいとこあるじゃんばあちゃんと思った私はバカだった。私をして目を真ん丸にさせたこと。このばあちゃん、タマゴを3つばかし割ってかき混ぜたかと思うと、それをフライパンに入れるのではなくなんとそのままレンジでチン!頃合いを見計らって取り出してもう一度かき混ぜてさらにチン!あーら不思議、タマゴは見事にスクランブルエッグに。


わ、技だ!


呆れるやら驚くやらでした。


今日の教訓:スクランブルエッグはレンジでも作れる…じゃなくてB&Bはちゃんとシャムロックマーク輝くところに泊まりましょう。


ちなみに最初の日はドニゴールに泊まったのですが、この日は本当にきれいなB&Bだったのですが、隣りの部屋の中年夫婦がそりゃもうねっとりとした激しい交尾をされてまして(しかも長い間)、これはこれでうんざりしました。しかもオーナーの女性はすごく冷たかった。なかなか素敵なB&Bにたどり着くのは難しいようです。


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2003年07月23日(水) アイルランド北西部のオススメスポット紹介

数週間前の金曜日、計画的に病欠を取り会社を休みました。理由。2泊3日アイルランド北部ツアーに出るため。白状しますとこの話、日記のネタにする予定はありませんでした。ところが掲示板で「オススメの場所を教えてくれ!」というリクエストがありましたので急遽ネタにした次第です。ともあれ、ネタにするつもりがなかったので写真もあまり撮ってません(ボートツアーはネタにするつもりがあったので写真をかなりたくさん撮った)。かくして端的に要所要所を箇条書きしたメモスタイルとしましたのでご了承を。


アイルランド北西部オススメスポット1 Marble Arch Caves


平たく言えば鍾乳洞。規模としては山口の秋芳洞の方が100倍でかい。ここのポイントはふたつ。


(1)アイルランド・イギリスでは当たり前だがガイドツアーのみ。ガイドさんにあたりはずれはあると思うが知的好奇心をかなり満足させてくれると思う。


(2)ツアーの最初がボートで始まる点。鍾乳洞のツアーをボートで始めるというのはなかなかオツなもの。




写真をご覧頂いてわかるとおり、日本の数ある鍾乳洞に比べて鐘乳石がかなり若い感じがします。そういう意味ではわざわざアイルランドくんだりまで来て鍾乳洞ツアーをする価値はないと言い切れるかもしれない。ちなみに場所はEnniskillenから西へ15キロ程度。車がないとつらい。ツアーバスがEnniskillenからあると思われるが真偽は不明。


アイルランド北西部オススメスポット2 Lough Navar Forest


これまたEnniskillenから北西におおよそ25キロ。ここのポイントはLower Lough Erneという湖を一望できる展望所。



いい感じでしょ?ここもまた、車がないと着くことは困難と思われます。


アイルランド北西部オススメスポット3 N56(国道56号線)


DonegalからLetterkennyまでのおおよそ150キロの二級国道。この地域、アイルランド西部のご多分に漏れず未だにゲーリックを日常語として聞ける地域。だからと言って…



標識までゲーリックで書くことないでしょう?
(この写真、来月の「今月の写真」に転載させていただく予定です)


おかげで自分がどこにいるかわからなくなったりして。



で、地の果てまで行きたいという奇特な方はSt John’s Pointという岬に行くとビーチで日光浴をする牛という冗談としか思えない光景を見ることもできます。ちなみにこの写真を撮る直前に牛さん二頭が交尾をされてました。Sex on the beachという決定的瞬間を撮り損ねました(←こらこら)。



で、このN56から2キロ程度離れた村にあったBurtonportという村にあったシーフードレストラン、かなりいい感じだったが道理かかったのがちょうど食事時でなかったのでパス。今度ぜひ行ってみたいと思っている。名前?覚えてないけど(←もう一度こらこら)、大丈夫、村にたったひとつしかないレストランだから見逃すはずはない。


で、このN56のハイライトは何と言ってもBunglass Cliffです。Malin Moreという村から根性を出せば歩けます(推定5キロ程度)。このBunglas Cliffは実は「ヨーロッパ一高い崖」だそうな。高さ600メートル以上。つまりCliff of Moherの3倍。こういうふうに考えるとなぜBunglass CliffよりCliff of Moherの方が有名なのか私には分からない。違いを無理に挙げればCliff of Moherは崖の上から海を見れるけど、Bunglas Cliffは写真のように崖を反対岸から見る点。崖にたどり着くまで例え車で行っても歩くことになるのでピクニックがてらに最適。





アイルランド北西部オススメスポット4 Carrick-a-Rede Ropebridge


ここ、かのGiant's Causewayから東へ10キロちょい(つまり根性があれば歩ける)。詳細は写真を見ての通り。






アイルランド北西部オススメスポット5 Torr Head


ホムペに載せるつもりがなかったので写真なし。この岬にたどり着くまでの岬の周遊路がすごい。崖っぷちの急坂はほとんど海にまっさかさまに落ちる感じ。しかも離合困難なくらいな狭い道なので怖さ倍増。


個人的には南アイルランドより北アイルランドの方が旅行しやすいと思ってます。たとえば公衆トイレ。まあアイルランドにいる限りはパブを公衆トイレに使えばいいという説もありますが、ともあれ、公衆トイレが整備されてるのは北アイルランド。北の方が旅行していても安心感があります。

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2003年07月21日(月) 嗚呼、事実は日記よりヒサンなり。ぎっくり腰その後の悲劇

さてさて、7/20の日記でたかがスピードボートツアーでぎっくり腰になり、救急車でBermount Hospitalに運ばれたヒサンなInverの話をしましたが、その続報です。


御存知の方も多いでしょうが、アイルランド、イギリスあるいは推定ですがヨーロッパの多くの国で救急車はタダではありません。日本のようにタクシーがわりに使うなどもってのほかです。私の知る限りたとえばイギリスの某地区では救急車を一回呼ぶと140イギリスポンドかかります。


ひるがえってアイルランド。某保険会社に勤める私の友人によるとアイルランドでは救急車一回につきなんとおよそ300ユーロかかるそうな。ちなみにレスキュー隊はそれはそれで別途請求だそうな。つまり下手をするとInverの手許に600ユーロだかのとんでもない請求書が届く可能性があるわけ。


今回の事故の場合、素朴に考えればボートツアーの主催会社がInverの医療費を払うべき。だけど実を言うとInver、今まで大問題になったことはないものの実は腰に持病があったらしいのだ。逆に言えば腰に持病がなかったらたかがスピードボートごときで救急車の世話になることはなかったはず。つまり、ボートツアーの主催会社が彼の医療費を負担するかどうかは微妙なところ。まあ、ツアー出発前にそういう問診表を書かせなかったとか誓約書を書かせなかったとかなんだかんだで万一裁判にでもなったらボートの主催会社が負けそうだが。


ともあれ、Inverの様態は極めてよく、かれ、翌土曜日に退院できたそうな。むろん家に這って帰ったことは言うまでもないと思うが。で、家の階段を這って登っている時に足を踏み外してそのまま階下にドスン


ふたたび腰を痛めたInverはそのまま病院直行。


ウソだと思う方。信じていただかなくてけっこうです。が事実は日記よりもヒサンなり。これ、本当なんだから仕方がない。ましてや、実は彼のパートナーが今週出産予定だとか言っても誰も信じてくれないだろうなあ(でも事実)。


さて、ついでですので最近頂いた病院ネタに対する読者様からのお便りをちょっと紹介させてくださいな。


私、本日体調がすぐれずちょいと病院に行ってきました。(風邪が完治していないらしい?)本日は検査の為「採血」されたのですが(採血、大嫌い!)その時、Snigelサンの日記を思い出したので看護婦さんに血液検査のために刺された針の再利用について聞いてみました。

お返事は・・・
「採血に利用した針をそのまま点滴に利用するのは大丈夫よ」
との事でした。ただし、一度抜いた針は再利用する事は不可能との事。(当り前ですね)

この時点で私の採血は完了してましたが、本日は検査用に2本も採血された(涙)
私の採血に使用した針を目の前にかざして看護婦さんが「このチューブと本体(血を入れる所)を分けて、なんたらかんたら」等と長く説明をしてくれました。

がっ、私には今しがたの自分の血がついているチューブしか目に入りません。私「採血大っ嫌い!苦手です!」ちょっと目の前がフラフラしました。

看護婦さんから聞いた話なので「正確な情報」だと言えるでしょう。



ほうほう。体調の悪い中わざわざ聞いていただいて恐縮です。針の再利用は当たり前なんですね。覚えておこう。


採血、私も嫌いですが、針がブスッときてもあまり思ったほど痛くないなあと思います。で、いつも私の血が出て行くさまを「おー、出てるよ出てるよ」と妙に冷静に見ています。


で、こんな投稿。


病院ネタでもうひとつ。DUBLINを出たあとイギリスの田舎でボランティアをしていました。その時他の日本人ボランティアがひどい湿疹のために病院に行くことになりました。彼女はイギリス人に I'm going to a hospital. と言ったらすごく驚かれて心配されてしまいました。近所の診療所に行く程度ならsee a doctorというのだと間違いを直されてました。日本は「診療程度」でも大学病院に行く人もいてごちゃ混ぜな感じがしますけど、HOSPITALは入院を必要とするところで SERGERYは総合診療所、目的が違うんですね。


そうなんですよ。たとえばうつ病とかそういう心の病でもまずは近所の医者に行き、そこで紹介状を書いてもらうことになりますです。私も会社内で「SnigelがHospitalに行った!」とちょっとした騒動になったらしいです。無用な混乱を避けるためにもここの使い分けには気をつけたいですね。


Snigelサンが日記に書かれていたキリスト教の「パン」の事ですが、あれは「ホスチア」です。(日本語では「御聖体」と言います)
あっ、もうすでに誰からかこんな情報聞いてますか?もっと詳しく知りたければお教えしますが(笑)本当に「パン」にあたる物なので、一応信者さん以外の人が食べても
(食べ物としては)問題無しです。(Snigelサンは食べたのかな?)

私が気になるのはスーツ姿の女性が来て
「××をされますか」と言った事です。
その×に入る言葉は何だったんでしょうね?
その女性はシスターだったのでしょうか?(謎)


シスターだったかどうかはわかりません。シスターってそれっぽい格好をしてるんじゃないんですか?この女性はスーツ姿でしたから。ただ、病院というところは生老病死を嫌でも感じるところですから、こういう人も働いてるんだなあと思った次第(もしかしたらボランティアの方のかな)。

ちなみに私は「お作法」が分からないしキリスト教とでもないというわけで謹んで辞退させていただきました。ついでに何と言ったかはわかりません。宗教関連のボキャブラリが乏しいもので...。

皆様の投稿、いつでもお待ち致しております。


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2003年07月20日(日) 電気の修理は男の仕事なんて言うつもりは毛頭ありません...が...

うちのドイツ人住人Samantha(仮名)が5日くらい前から文句を言い続けてる。


「部屋の電気がつかないわ」


で、だんだんその文句はエスカレートしてきまして


「電気が4日も点かないのにだれも直してくれないわ!」


だいたい電気の修理は男の仕事という発想こそ前世紀に忘れ去られた過去の遺物のような発想のような気がするのだが、彼女はそうは思わないらしい。どうやら私・もしくはひでかすが直すというのが彼女の中では当たり前だと思えるらしい。


で、状況を聞いてみると、部屋の天井の電灯は点くものの、壁のソケットから電源を取っているラジオやベッド脇の電灯が点かないという。そう、まっとうに考えればブレーカーが落っこちたわけですな。



アイルランドすべてがそうかは知らんが、うちのブレーカーは日本のそれと違って落っこちたブレーカーを指一本でぱちんと上げればいいというものではない。写真右の6つの球状のものそれぞれがヒューズになっていてそれを取り替えなくてはいけない。つまり部品がいる。ややこしいことにはヒューズの大きさはまちまちでして、6つのヒューズの大きさ実はひとつではなく数種類に分かれている。あーめんどくせー。


で、どのヒューズが飛んだかよくわからないので数種類のヒューズを買って、取り替えてみるものの直らない。


うーん、どうしたものかと思ったが、ヒューズが原因でないとなると文系学部卒の私にはお手上げ(関係ないか)。で、翌日、理系は電気学部卒のひでかすがヒューズを触りはじめた。ちなみに日曜日の朝の話で私は部屋で日記の更新をしておりました。彼がヒューズの交換をしてるなんてつゆ知らずに。


日記をそろそろ書き終わるかという段階になって突然切れるコンピューターの電源。そう、ひでかすが私の部屋のヒューズを外したわけ。


不注意なひでかすのケツを蹴っ飛ばすため私は階下へ。ひでかすとSamanthaは私が昨日したのと同じようにすべてのヒューズを交換してる。結果はやっぱりだめ。私はふっと気がついた。そういえばコンセントそのものにもヒューズがついてるからそれがぶっ飛んだ可能性もあるなあと。



かくしてSmanthaの部屋へ行きコンセントがどこにあるかと聞く。ベッドの向こうだそうな。でベッドをゆっくりどけると、唖然。


ひでかすを手招きで呼び、ひでかすにその様を見せる。で次の瞬間、ひでかすと私はSamanthaをSamanthaの枕でタコ殴りの刑に処す。


その唖然とした光景とはこれ。



コンセントが抜けている。


それだけ。



そりゃコンセントが抜けりゃあ電気も点かなきゃラジオも鳴らないわな。ま、この事実に昨日の時点で気がつかなかった私も十分アホタレですが。


で、Samanthaは私がこのホムペを持っているのを知ってるから、


Samantha:「また、これホムペのネタにするの?」
私:「ああ、そのテがあったか。毎日おおよそ200人の人が見に来てくれてる日記に載っけてあげるね」
(はあと)

ただいまSamanthaファンクラブの会員を広く募集しております。ご応募はふるって作者まで。

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2003年07月18日(金) 本当の冒険シーサファリツアー

<謹告>今日の日記、「Snigel行くところ事件あり」という説を見事に裏付けるものになってます。こういう事件がある限りこのホムペは永遠に続きます。


3/6の日記で会社のSport and Social Committeeなる組織にキレた話をしたかと思います。で、この後、このSport and Social Committeeから抜けれるかと交渉したのですが、結局「(雇用契約時の)契約書に明記してある」とかでSport and Social Committeeから抜けることもできず。毎月10ユーロだかを給料から天引きされて貴重な金を無駄にしておりました。


いつか元を取ってやると思っていたところ、突然こんなメールがやってきました。


各位

7/19にMalahideのマリーナからスピードボートツアーをやるよん。興味のある人は申込んでね。

Sport and Social Committee




よっしゃー。元は取ってやる!


と言うわけで金曜日、Malahideの村のハーバーにやってきました。今まで来たことはなかったのですが、個人用のボートが係留されており、なかなかいい感じ。それはいいんですが…


午後7時の出発なのにどうして午後6時50分にだれも来ていないのよ?


暇なので、スピードボートの事務所に行ってパンフレットをゲット。あ、いい加減Sport and Social Committeeのこと、そんなパンフレットは当然配られてません。


シーサファリ


…なかなかいい感じじゃおまへんか。



パンフの中もなかなかのものです。


「スリルシーカー。最高時速72キロでIreland's Eye、Howth、Bailey Lighthouseを見てまわります。所要1時間。」


なかなか面白そうじゃない。Sport and Social Committeeさん、初めてまともな企画を立てましたね。


そんなパンフに見入っていると、同僚がぽつりぽつり集まってくる。で、午後7時30分。ライフジャケットに防水服という完全武装で出発。出発前に荷物はすべて預けられる。私はカメラをそっと防水服のポケットに忍ばせる。それ以外はすべて預ける。



10人乗りのボート。マリーナの中はゆっくり走っていたものの、マリーナを出るやいなやダブリン唯一のヌーディストビーチ(んなもんがあるなんて私はついと知らなかったが)を横目に、ボートはスピードを上げる。水飛沫はまともに全身にかかってくるし、ボートは跳ね回る。そんなに波が高かったわけじゃあない。だけどボートはこれでもかと跳ねるのだ(写真をご覧頂けば分かると思いますが、船首はこれでもかというくらい上がってます)。


…なのに、このボート、各席にシートベルトがついてない。


もしかしたら万一転覆した時にシートベルトがついていない方が脱出しやすいとかそれなりの理由があるのかもしれない。だけど、跳ね回るボートの上で私(を含め全員)はしっかり目の前の手すりにつかまるを得ない。そんな状況下で写真を撮った私はこのホムペのために命を張っていると威張ってもいいかもしれない。ちなみに上の写真、2隻のボートで出発したので私が乗っていない方のボートを撮ってます。



そんなこんなでたった10分ほどでIreland's Eyeに到着。Howthのハーバーから見るとおそろしくちっぽけなIreland's Eyeも近くで見ると意外にでかい。



さらに、勝手に無人島だと思い込んでいたのだが、実はこのように建物もある。なんでもどっかの銀行のオーナーがこの島を所有しており、「私有地につき立入厳禁」なんだそうな。まあひところに比べて落ち着いてきたとはいえ地価狂乱のダブリンで何と贅沢な。


かくして上陸できないIreland's Eyeの岸に沿ってボートは進む。ここではボートは動物観察の目的も兼ねてゆっくりと進む。




見てくださいよ。これ。Howthからたった数キロ沖合いの島に住む動物たち。ダブリンの交通渋滞の中で毎日ケンカしながら、猫の額のような狭い家に住む私にとって、ダブリンからたった数キロのところにこんな「聖域」があるという事実自体が大きな驚き。ダブリンに5年も住んで初めて知った事実。


かくしてカンドー的なIreland's Eyeを見物してボートは一路Howthへ。島の反対側にくると、沖合いに出たせいか波はひときわ高く、ボートは振り落とされるんじゃないかというくらい激しく上下する。ボートがすーっと波の谷間に落ちるたびに大きな歓声(というか悲鳴というか)が上がる。私はもはや写真を撮る余裕もなくなり、カメラを必死に右手で防水服の中にしまいつつ、左手で目の前の手すりをしっかり握る。


折りしも襲ってきたシャワー。雨粒が顔を叩きそれも痛い。でどんどん顔が濡れているのは波のせいなのか雨のせいなのかわからなくなる。


するとひときわ大きな波がボートを襲う。海水をもろに被ると同時に感覚としては2メートルくらいボートは落っこちた。再び上がる歓声と悲鳴。ところがその歓声に紛れて


Stop the boat!!


という苦しげな声。後ろを見ると、私の真後ろに座っていたIT担当のInver(仮名)がひっくり返っている。


緊急事態発生。


…と今は無き「電波少年」ならテロップが流れるところ。賢明な読者さんならもうお気づきと思いますが、Inverはボートの上下運動に耐え切れず腰を痛めてしまったわけ。しかもInverの真っ青な顔を見る限りではシャレにならない事態。Inverは絶対に子供だったら泣いていただろうという激痛に歯を食いしばって耐えている。船長(というか操縦士)の若い兄ちゃんは、


船長: 「大丈夫?」


と心配顔。たぶん、Inverの様態よりも自分の過失の方が恐かったのではないかと推察。くだんのInverの顔はますます青くなるも改善される兆しは無し。船長の判断でボートはそのまま「微速でMalahideに戻る」ことに。船長はひとこと


船長:「誰か痛み止めを持ってない?」


…お前が荷物は全部置いていけと言ったんだろうが!


Malahideへの帰路。これがまた長い旅でして。時速70キロで進んだところを時速15キロで進めば当然5倍近く時間がかかるわけで。取り合えず船は揺れないが、シャワーと時折襲う波のおかげで顔がずぶ濡れになりながら所要45分でMalahideに戻る。


で、到着後、問題発生。


Inverが動けない。


わかりやすく言えばぎっくり腰の状態です。私はなったことはないものの、経験者によると動けないほどの激痛だそうな。Inverも何とか船から下りようとするものの動けない。この日記を書いている時点ではまだわかっていませんが、たぶんぎっくり腰よりももっと深刻だと思うのですが。


船長判断で救急車を呼ぶことに(ここから先の写真、暗くなってきた上にこんな緊急事態時にフラッシュを焚いてアホ面をして写真を撮っていると顰蹙を買うというきわめてまっとうな判断からフラッシュ無しでこっそり撮影してます。ゆえに写真は暗くて見づらいですがご勘弁を)。


救急車を呼ぶくらいだったら沖合いから救急車を呼んでいればマリーナに着くなりにInverを搬送できたのではと思うのは結果論でしょうか。



ともあれ、驚いたことに連絡からおよそ15分で救急車到着。アイルランドのことだから1時間は来ないのではないかと思っていた私には素朴に驚き。救急隊員は2名、ゆっくりと走ることなく歩いて船へ。…ポーズでもいいから走れよ。お前ら。


他方Inver。彼は救急車が到着するまでに根性で船から降りる。がそこで力尽きマリーナで四つんばいになって動けなくなっている。世にも情けないポーズ。ま、本人じゃないからそんなふざけたコメントができるのだが。



で、彼が動けないという事実にようやく気がついた救急隊員(さもなきゃおまえらなんか誰も呼ばんというのに)は担架を持ってくる。そんなことをしていると別の緊急車両のサイレンの音。



…しょ、しょ、しょ、消防車まで来たー。


どうやら動けないInverのためにレスキュー隊が呼ばれたらしい。その頃すでにInverは最後の力を振り絞り担架の上に。そう


お呼びでない。こりゃまたシツレーいたしました


…状態なわけで。


かくして、Inverは、私が数週間前にお世話になったBermount Hospitalに運ばれていきました。


ねえねえ、Inverさん。今日の事故。非常に不運だったというかなんというか。心から同情する。でもさあ、今回のボートツアー


あんたが幹事


じゃなかったっけ。こういうのを自爆テロっていうんだよ。たぶん。


で、いつもの日記ならここで終わるわけですが、今日の日記は映画よりも見事な多段オチになってまして、さらにもう一つオチがつくわけです。


救急車が去り、取り合えず解散…という状況になり各自が車に向かっていると


ああぁぁぁぁぁぁ


という情けない声。声の方を見ると、同僚の車は



駐車違反で輪留めをつけられていたそうな。


かくして一部の人にヒジョーに高くついたSport and Social Committeeのイベントでした。この本当の意味でのアドベンチャーが楽しめるシーサファリツアー、御興味のある方はオフィシャルサイトからどうぞ。

<謹告>今回のシーサファリツアー、とんでもない内容になってしまいましたが、船長いわく「初めての騒動」だそうで、通常であればこのツアー、本当に楽しいらしいです。私も機会があればまた参加しようと思っているくらいですのでオススメできます。ただ、Snigel行くところに騒動ありというわけで私が行くとこういう騒動になってしまうわけです。

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