なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2003年09月20日(土) |
ダブリン家がある(5) |
続き物です。(1) (2) (3)(4)をお読みでない方はそちらから。
午後8時の約束のところ、前の家で話し込んでしまい、最後の家に着いたのは約束より15分遅れの8時15分。ひでかすも私も200ユーロ高いという理由からほとんどといっていいほど興味なし。何せここ、今まで訪問した4軒と同じエリアにありながらなぜか200ユーロも家賃が高いというのは納得できない。別に新築とか、それに近いと言うわけでもない。
着いてみると中から夕飯のいい匂い。見ると、私ぐらいの年齢の女性と男性、それからその父親と思われる男性がいる。…ん?家を間違えたかな?誰がどう見てもこれから家を貸すとは思えないのだが。
中も今までの物件のように最低限の家具があるだけではなく、洋酒を入れたら映えそうなサイドボードやテーブル、さらにはガレージがあり、その中には死体の一つや二つ平気で入りそうな巨大な冷凍庫(別の例えはないのだろうか)さらには先ほどの家ほどまではいかないまでも広い庭。そしてリビングルームとレセプションルームは続き間になっており、大きなパーティも問題なく開けそうな気配。
なんでも聞けば、この家族、現在ここに住んでいるそうで、でも最近奥さんが亡くなって、ついでに子供(と言っても私くらいの年齢なのだが)も自立するとかでこんな大きな家がいらなくなったので、この家を貸して、自分は田舎に引っ込むつもりらしいのだ。で、なんと家具は例のサイドボードはもちろんデジタルテレビ用のチューナーや果てはコードレスフォンにいたるまで全部置いていってくれるそうな。つまり、ホームステイの家がまるまる借りれるような感じ…と言ったら分かっていただけるでしょうか。
で、二階に上がると、そこには2つのダブルベッドルーム、そしてシングルルーム(俗称「ボックスルーム」推定狭くて正方形のことが多いからこう呼ばれているのではないかと)、確かにこれだけでは3ベッドルームハウスなのだが、なんとこの家にはロフトがあり、そのロフトがツインベッドルームになっている。というわけで、この物件は4ベッドルーム(2ダブル、1ツイン、1シングル)巨大キッチン、ガレージ、広いリビングにレセプションルーム付という優良物件。強いて難を挙げればトイレが1ヵ所しかないことか。確かに1600ユーロと強気に出ているのも分かる。
で、例のロフトルームに上がると、
ををっ!注射針が見える!
注射針とはいわずと知れたGPOの前にある何の意味があるのか分からないモニュメント。こんなところから注射針が見えるとは素朴に驚き。その注射針がダブリンの夜景に混ざってライトアップされている。なんだかいい感じだぞ。
とここで30分ほど話し込んで帰宅。
で、「疲れたー」と言いつつビールを開け「家族会議」。私としては一番最初の改装中の家も捨て難いが、やはり最後の家が一番いいような。で、うちの同居人のドイツ人2名(女性)は完全に最後の家に惚れ込んでいる。ひでかすもどちらかといえば最後の家が気に入った模様。かくして最後の家が交渉の候補に残ることに。
で、結論から言うと、この家、借りることになりました。私としては家賃が200ユーロ高くちょっと生活が苦しくなるのではないかと心配ですが、まあ何とかなると…。
で、翌日がまたトホホな日になるのですが、これは明日の日記にて。
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2003年09月19日(金) |
ダブリン家がある(4) |
続き物です。(1) (2) (3)をお読みでない方はそちらから。
と、Beaumont Woodの美しい家に後ろ髪を引かれつつ次へ。次のアポイントは午後7時30分で時間に若干の余裕がある。どうしようかと思っていると絶妙のタイミングでケータイに電話がかかってくる。
相手:「Johnだけど、今なら家を見に来れるけど来るかい?」
…どのJohnだ。こら!と思いつつも平静を装い…
私:「ハローJohn、えーっと、正確な住所を教えて」(←やたらと友好的な声)
…とあたかもJohnからの電話を心待ちにしていたような雰囲気を醸し出すよう努力して住所を聞き出す。なんのことはない。Beaumont Woodの目と鼻の先。行ってみるとガテン系の妙に威勢のいいオッサンが待っていた。

家の中は何の変哲もない4ベッドルーム。特に古くもないかわりきれいと言うわけでもない。キッチンはわりにでかいが殺風景。3年前なら「まだ空いてるの?ここにしよう!」と自分を見失って叫んでいたところだが、だんだん目が肥えてきた私にはどうにも魅力的には映らない。家賃が最初のリフォーム中の家と同じ1400ユーロというのも気に入らない。だったらあっちの家のほうが広そうだし、採光も良さそうだし、ついでに日本でコンビニに行く感覚の距離にスーパーもあるし…いまいちだなあ。
で、この家の致命的な欠陥は表通りに面していること。目の前は信号つきのバスも曲がる交差点。家から徒歩50歩ぐらいでバス停に着くという魅力はあるが、なにせうるさい。で、窓も防音にこだわっているというわけではなくフツーの古そうな窓でうるさいだけでなく冬寒そう。
アイルランドで家や部屋を探す方に私がひとこと助言するとすると、窓をよく見たほうがいいです。一部のアイルランドの家は悲しいくらいに隙間風が入って来ます。今の家も外から見ると結構いい感じの家なのですが、実は隙間風が多い。窓辺に近寄ると窓をしっかり閉めていても風の流れを感じます。…ま平たく言えば冬に暖房が効かないんですわ。まあ風の流れがあるということはガス中毒で死ねないというメリットも確かにありますが。
そして午後7時30分のアポはそこから徒歩2分。車で30秒のところ。
この家、見た瞬間に「いまいちだな」という印象を受ける。

今度は裏通りなので静かなのだが、まず間口が狭い。ということはきっと中も狭いだろうと思いつつ中に入ると…やはり狭い。リビングルームのソファーもソファーではなくアームチェア(肘掛けが木製の椅子。つまりソファーじゃないのねん)。ベッドルームも余り広くなくキッチンが4畳半程度しかなく致命的に狭い。で家賃はやはり1400ユーロ。ここまでそろいも揃って1400ユーロという値段を提示されるとこの辺には「大家組合」だかなんだかがあって、そこで家賃を談合して決めているのではないかという気すらして来る。
ともあれ。この家には、とんでもない特長があった。

庭が広い。
広いなんてもんじゃない。家の床面積の軽く4倍はあるのではないだろうか。
のみならず、ここの大家のじいちゃんがとんでもなくいい人なのだ。なんでもこのスーツに身を包んだじいちゃんいわく、前の住人はフィリピン人の目の前の病院で働く看護婦さんたちだったそうで、彼女たちが「寒い」と文句を言うからとなんと窓枠を全部二重窓に変えたそうな。それからもし私たちが希望すれば階段下の倉庫(ちょうどハリーポッターの最初の映画でハリーが寝ていたあそこ)もトイレに作り替えても構わないという。つまりなんでも喜んでやってくれそうな大家さん。
うーん、家自体にはまったくといっていいほど魅力はないが、広い庭と優しそうな大家さんがそのマイナスポイントを見事なまでに打ち消している。うーん、心が動く。
とか何とか言っているうちに次のアポの時間(午後8時)に。本日最後。で、ここに関しては「ちょっと見てみるだけ」というあまり期待していない状況。なぜならここの家賃、1600ユーロと他のところと比べて200ユーロほど高いのだ。
(続く)
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2003年09月18日(木) |
ダブリン家がある(3) |
詐欺集団による催眠商法なんてのが話題になったことがあります。「何とかセミナー」と称してどこかの会場に被害者を呼び出し、軟禁状態にて商品をしつこく売りつけ、判断能力が弱まった被害者がついと商品を買ってしまうという。
その被害者の気持ちがよーく分かります。
あーた、5軒ですよ。5軒。一晩に5軒もの家を見ると、ほとんどどーでもよくなってきます。もーどーでもいいよって。そんな訳で、この文章もふだんあまり使わない「ー」を多用してます(ふだんこの日記では「どーでもいい」ではなく「どうでもいい」と表記します)。まー聞いてくださいよ。
この日も午後4時ちょうどに会社を脱出。最初のアポは、午後4時45分にArtane Castle(自称ショッピングセンター=でも実質TescoとPenniesしかない)から歩いて数分のところにある4ベッドルームの家。

まあここがすごい状態でして。今まさにリフォームの真っ最中。床のカーペットは引っぺがされ、壁という壁は「ペンキ塗りたて」。この状態じゃあ何がなんだか全然分からない。ただ、家自体は大きく、リフォームが済めば住みやすい家になりそうな気配。4ベッドルームで1400ユーロなり。
で、次のアポまで時間があったのでEvening Heraldを買い、電話攻勢。2軒のアポを取る。ここで驚愕の事実発見。結局6軒のアポを取ったのだが、なんと6件中5軒の大家(あるいは不動産屋の担当者)の名前はJohn。誰もかれもみーんなJohn。ケータイが何度も鳴ったが、かかってくる相手みーんなJohn。こうなるともとから人の顔と名前を一致させるのが大の苦手の私。ましてや顔の見えない電話ではどれがどのJohnなんだか全然分からない。ちょっと苦労した。
で、Johnと電話でアポを取る。何度も書くけど、3年前とは全然状況が違う。電話をかける先、どの家もまだ借り手が見つかってない。「借り手市場」とまでは行かずとも、大家と対等に渡り合える状態になっている。別の家に電話するがちょっど話を知っているJohnが不在らしく、折り返し電話の約束。ま、かかってくるわけはないですが。
閑話休題。今度は例のBeaumont Hospitalの隣りにあるBeaumont Woodへ。物件に着くが誰もいない。窓から中を盗み見ると、リビングルームにはコンポなどが置いてあり誰かが住んでいそうな雰囲気。10分ほど待つがだれも来ない。ひでかすがひとこと
ひでかす:「あれ、ここ違う通りじゃん」
そう、違う通りの全く関係のない家を4人で敷地に入り込んで中を覗いてました。一歩間違ってたらケーサツ沙汰だったな。
で、このBeaumont Wood。まだ建てられて5年くらいしか経っていない家でして、まずきれい。で、各部屋の大きさは古い家よりやや劣るけど、水まわりが優れている。すなわち、なんとトイレ・シャワーが3つもある。他のところはひとつなのでこの違いは大きい。採光なんかもうまくできてるから住んでいて気分がいい。家賃も1400ユーロと最初の家と同じ。が、ここにはひとつ致命的な欠点があった。
3ベッドルームしかない。
古い家にはリビングルーム以外にReception Roomと言って要するに予備室がある。で、この予備室もベッドすら運び入れれば立派なベッドルームになる。つまり3ベッド+Reception Roomというのは実質4ベッドルームとみなすことができるわけ。かくして3ベッドルームの物件でも実は4ベッドルームに化ける可能性がありだめもとでアポを取ったのだが、この物件の場合Reception Roomがないのでそういう芸当はできず結局ボツ。
なにせこういうBeaumont WoodやCollins Woodなどの新興住宅地に住むのが私たちの夢だったのだ。他の家と比べてみるとよく分かるが新興住宅地は家がきれいなだけではなく周りの雰囲気もいい。「住んでいて楽しく」(ひでかす談)なりそうな家なのだ。かくしてこのBeaumont Woodも私としては気に入っていたのでイコンが残る。
そしてこの日の後半の話は翌日へ続く。
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2003年09月16日(火) |
ダブリン家がある(2) |
ドキュメント:ダブリンで新たな家探し(第2日)
午後3時。会社の例の「コスト削減方法」を検討する会議が始まる。 午後3時45分。マネージャーに頭を下げて早退。 午後4時40分。Beaumontの物件に到着。4時30分のアポのはずが誰も来ていない。
午後4時50分。エージェンシーに電話。
私:「誰も来ていないぞ(怒)」 担当者:「今日行けないから午後12時30分に電話した」 (昼休みでケータイを持ってなかったので電話に出なかったが直後にかけ直した。が担当者がいなかったのでメッセージを残した) 私:「だからかけ直してメッセージを残した」 担当者:「聞いてないね」 私:「電話した」 担当者:「何時ごろ?」 私:「1時ごろ」 担当者:「ありえないね。僕はその頃会社にいたもん」
…と、うそつき呼ばわりされ私はキレる。私としてはそちらがウソつきか泣くまで問い詰めたい。明日アポを取ったが仕返しにすっぽかしてやる予定。
午後6時。夕刊紙Evening Heraldを買い帰宅。広告から電話攻勢。約4軒に電話。驚いたことにどこもまだ取られていない。
3年前の典型的会話。
私:「あのー、新聞を見て電話したんですが」 相手:「もうなくなったよ(ガチャ)」
という状況から考えるとまさに雲泥の差。
で、2軒にアポを取る。また、エージェンシーからは午後10時に電話折り返しの約束を取る。
午後8時。Collins Woodのアポ。
家はきれいだが、狭い。家賃3 ベッドルーム(2ダブル+1シングル)で月1300ユーロなり。シングルルームはビジネスホテルもびっくりの狭さ。愛川欣也(欽也?)が心の中に現われてひとこと
「はい消えたー」
午後8時30分。
Beaumontにある4ベッドルームハウス。1400ユーロ。Collins Woodよりも古いぶん、家は広い。が駐車場なし。キッチンが猫の額ほどに狭い(写真は主寝室)。決して悪くはないが決め手に欠ける。
明日最低2軒は見てくる予定です。この続きはまた明日。以上です編集長。
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2003年09月15日(月) |
ダブリン家がある(1) |
9/30に現在住む家の契約が切れます。つまり、あと半月。今までやれ仕事が忙しいだの、何だかんだでずっとこの問題を先送りしてきましたが、そろそろ放っておくにも限界のような気がします。かくして本日地元の不動産屋数軒に行ってまいりました。
物件多数。
…3年前。読者の皆様はご記憶でしょうか。やれ「金を払わねば物件は見せない」とか最上段でほざいていたくされエージェンシーや、家に行ったら行ったで30人もの人が行列を作っていただの、ようやく見つけた家はスラムのど真ん中で隣りの家はヤクの売人だっただの、そういうものはすでに過去です。「永遠に去らない」とされたCeltic Tiger景気が去り、ようやくまともな状況で物件を探せるようです。
とりあえず、4ベッドルームの一軒家を探しています。シティセンターからバスでおおよそ北に15分程度のエリアに月1500ユーロくらいでけっこうあるようです。こうなると欲が出てくるもので、あと100ユーロくらい余計に出して高級住宅街に住みたいだのいろいろアホなことを言ってます。
かくして明日、第一の物件を見に行きます。結果は明日ご報告します。
ところで、今の家、約4年住んでます。これって恐ろしい話です。毎月およそ1200ユーロの家賃を払っているので、1200x45で54000ユーロ。つまり700万円ほどの大金を知らず知らずのうちに払っているんですよね。…ま、だから家を買おうとは冗談にも思いませんが。
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