なべて世はこともなし
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2004年08月06日(金) ドイツ北部最高峰の山the Brocken。その山頂で見たものとは?

Harz National Parkという国立公園がドイツ北部のLower Saxony県(「州」と訳す方が正しいんですか?)にあります。私はかねがね一度行きたいと思っていた。なぜなら、そこには山があり、山の上からの風景は息を呑むような絶景に違いないと思ったから。…それだけです。


バカと煙は高いところが好き…などと馬鹿にされても気にしません。私は「そこに山があるから」登るのです(そう書くとかっこいい)。ただ、なーんの事前情報も得ずに、お気楽に山登りに出かけたわけです。


今回目指すのは、the Brockenというお山。高さ1141メートルって、全然高くないじゃん。…ただそれでも、ドイツ北部としては最高の高さなんだそうな。Mausi(御存知のない方のために注:Snigelの奇特な彼女の名前=仮名)の物知りお父さんによると、このthe Brockenという山、その昔は旧東ドイツに属してたとかで、旧ソ連が建てた、監視用の塔とか訳のわからん遺構があるとのこと。私が知っていたのはこれだけ。


で、高速を飛ばし、ふもとのBad Harzburgから一気に車で山を駆け上り、たどり着いたのはTorfhaus。ここからトレッキングは始まるわけです。Mausi父によれば、「なーに、ものの2時間もあれば着くよ」とのことで、まあ、私としてもお気楽な山登りの感覚だったわけです。ちなみに、山頂には売店もあるとかないとか。




Torfhausに着いてみると、目的地となる、旧ソ連の遺構が見える山は確かに遠いですが、すでに見えてます。しかも、どう見ても「丘」レベルで、難易度の高い山登りにはまったく見えません。うん、確かに2時間あれば余裕で攻略できるわ。


かくして、てくてくと歩き始めたはいいが、私は致命的なミスを犯していることに気がついた。それは、。某私の嫌いなRoches Storeで投げ売りをしていた靴、使わないからとMausi宅に放置しておいて完全に存在すら忘れてました。今回タンスの肥やしから晴れて復活したはいいが、山登りの鉄則「履きなれた靴を履け」というのを全く無視してしまっていた。数歩歩いただけですでに靴擦れの予感。




こんな感じの森の中の小道をじわじわと標高を稼ぎながら進みます。ハイキング感覚としてはもう最高。自然と鼻歌も出てきます(なぜか出てきたのは山本コータローの「岬めぐり」…本当になぜだろうというか、Snigelのトシはいくつだ?)。ただ、慣れない靴を履かされた足はすでに悲鳴を上げてましたが。




途中、こんな感じの「死の森」を抜けます。ここthe Brockenはさっきも書いた通りドイツ北部で最も高い山。この山にぶつかって工場からの排煙だの車からの排気ガスだのそういう汚染物資が酸性雨となって降ってくるわけ。そして森は死んでいきます。


ああ、なんて素晴らしい休日なんだろうと思う。私がこうやって山歩きをしても、地球環境には何らの悪影響を及ぼさない。暑けりゃエアコンをすぐにつけ、ちょっとの外出にも車を使う。こんなんじゃ、環境は悪くなるばかり。たとえ公共交通機関があったとしても歩くくらいの反骨精神があってもいいと思う。




へっぽこ写真で何も伝わってきませんが、ここ、かなりの急坂です。ちなみにこのコンクリートは、冷戦時代に戦車が通れるように設置されたものだそうな。現在は、皮肉にも格好のハイキングルートになってますが。




この急坂を登ると、突然出てくる、線路。聞けば、山頂までこの線路は延びているとのこと。


そんな楽なもんがあるなら、なんでそう最初に言わん!


…って自分で突っ込みますが、さっきの反骨精神うんぬん発言はどこに収めるんですかね。批判とか、偉そうなことを言うのはすごく簡単なんですが、「じゃあお前はどうやねん」と突っ込まれると、たいがい黙るしかないんですよね。


で、線路に沿ってしばらく歩いていると、地響きのような音が背後から聞こえてくる。




ん?これはもしかしてSL


後でひでかすに聞いたところによあると、ここ、the Brockenはけっこう有名なSLに乗れる観光名所らしい。




なるほど。やたらと長編成の客車、デッキまで人があふれてます。


途中でT字路になり、山頂方面は左折。ただ、この左右の道のほうが本線らしく、クルマでも十分行き来できそうな舗装されたきれいな道。舗装の上を歩くと、靴擦れした足がかなり本気で痛い。




ひとり八甲田山を演じつつ、足を引きつつ1100メートル地点を通過。山頂まであと少しだ。事前情報によると、山頂には売店もあるらしい。うまくすれば伴創膏のひとつでも売っているかもしれない。それがあれば少しは楽に歩けるかも。何せ、行ったからには引き返さなければならない。ちなみに、SLに乗ると、麓の全く別の方向に降りるので、乗れない。ゆえに意地でも歩かねばならない。


そして、出発から2時間45分後についに山頂到着。




って別に、息を呑むほどの絶景というわけじゃあないなあ。


それにしてもここはなんですか。あれだけ、自然あふれる森の中を歩いてきたのに、山頂にはなんと、



博物館はあるは、





ホテルはあるは、挙げ句の果てには



ビアガーデンまであるわ。

要は、金に物言わせたブルジョワジーどもが、SLで大挙してやって来て、山頂付近を1周して、それだけじゃ物足りないから、博物館に行き、ついでにビアガーデンでのどを潤すというわけですか。ちなみに「ブルジョワジーども」と侮蔑ともとれるようなひがんだ言い方をするのには理由がありまして、このSLの運賃、ただ山を登るというだけで、片道14ユーロ、往復22ユーロもするのだ。高い。足元見過ぎだよ。これは。


そんなことはともかく、足が痛くてたまらない私は、売店に行き、伴創膏を売っているか尋ねるが、…売ってない。救護室があるからそこに行けと言われるが、…開いてない。自棄になった私は、博物館の入場券売りのオバサンに聞くと、どうやら、私のようなアホタレは他にもいるらしく、缶入りの巨大な伴創膏をタダでくれた(ありがとう)。こうして、楽に歩けるかと思いきや、すでに皮が完全に剥けてしまっており、焼け石に水。結局、足を引きずりつつ、下山。


今日の教訓:登山のときは、履きなれた靴で


常識だと言われそうですが、常識ゆえに、それを外すとえらいことになるというお話でした。というか、すべてを靴のせいにして、自分がオッサン体になりつつあることを隠そうとしているフシもあるような…。


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2004年08月03日(火) 次は緊急着陸?トホホSAS事件簿(上)

掲示板、および、メール、完全放置プレー入ってます。お返事、メールにいたっては1ヶ月経ってます。お返事は必ず書きますが申し訳ない限りです。理由(言い訳):ドイツに行っていたから。


…まあ月に一度のペースで行っているから言い訳にもならないんですけど、いやー今回はネタ的にはおいしかった。


ちょっと、「指さし」の編集者さんが書いた 著者紹介…つまり、Snigel紹介を引用させてもらいましょう。


「彼が通るところにはかならず笑いが湧き起こる、陽気な28歳」


もう29歳になった…とかいうのは置いておいて、ともあれ、私がヒコーキに乗るたびに「かならず笑いが湧き起こる」のです。もう、ネタにするまでもないと思い書いてませんが、前回の結婚式でドイツに行ったときも事件は起こりました。詳しくは書きませんが、ロンドンからハノーバーまでのヒコーキ、最初30分「技術的理由により」遅れました。で、ようやく機長が「お待たせしました離陸します」と言った直後、機長は…


「申しあげづらいのですが、離陸のための書類に不備があり、離陸できないことが分かりました。ただいま会社より書類を取り寄せております」


という意味不明なアナウンス。結局フライトは意味不明に2時間遅れました。


そう、これくらいは日記のネタにするまでもない話なのです(←充分ネタになるような気もするが)。


ここからが本題。


今回、生まれて初めてAward Travelと言うものを使ってみました。そう、マイレージカードのマイレージを使う無料の旅行。「無料」と言っても税金は自己負担なので、4000円程度払いましたが。ともあれ、私が大好きなSASでコペンハーゲン経由でハノーバーに行ったわけ。SAS、いいですよ。特に、コペンハーゲン=ハノーバー間はいわゆるコミューター機(デハビラントQ400>マニア向け)を使ってまして、個人的にはプロペラ機って大好きなんですよ。飛ぶ高度が低いから下界の様子が良く分かるし、プロペラを見てると、「ああ、飛んでるんだなあ」とわくわくするわけです。


ともあれ、ダブリン=コペンハーゲンは定時運行。1時間の待ち合わせの後、コペンハーゲンからハノーバーまでプロペラ機での飛行。これまた定刻通りに運行されまして、しかもヒコーキは乗客20人以下とほとんど空。かくして私は窓からの風景を楽しんでました。すると機長のアナウンス。ただし、この機長、ぼそぼそ話す人で、プロペラからの雑音も手伝ってほとんど聞き取れない。


機長:「………無線…………コペンハーゲン……………」


そう聞き取れたのはこれだけ。なんだか妙なことを言っていた気もするが、とりあえず、気にしない。


ヒコーキは定刻通り、ハノーバーへの最終の着陸体勢に入る。…と思ったら、何かが変。ハノーバーは内陸のはずなのに、なぜか海が見える。きっとハンブルグあたりを飛んでいるんだろう…と自分を無理矢理納得させるが、今度はコペンハーゲンとマルメを結ぶÖresund Bridgeとしか思えない橋か私の視界に入る。で、着陸すると見えるヒコーキはぜーんぶSAS。目に入るロゴもぜーんぶSAS。


あのー、ここってもしかすると出発地のコペンハーゲンじゃあないですか?


そう、1時間飛んだ挙げ句にコペンハーゲンに戻ってきたわけ。引き返しというやつです。この引き返しの理由がまたふるっている。


機長の無線のヘッドフォンが片方聞こえなくなったから。

そう、それだけの理由で引き返したのです。まあこの事実を好意的に捉えると、少しでも安全運行に不安があるなら引き返しも辞さない…というのは非常に正しい選択だと思います。ヒコーキの事故が車に比べてはるかに低いのは、少しでも問題があったら無理をしない…という点に尽きると思う。たかがヘッドフォンされどヘッドフォンというのは本当に正しい選択だと思う。ただねえ、素朴な疑問として、


コペンハーゲンに戻れるならどうしてハノーバーに飛べないのよ?


この理由はまあ明らかなんですよね。コペンハーゲンはSASのハブ空港。つまり、SASの整備士がいる。それに対してハノーバーには整備士がいない。だからコペンハーゲンに戻るというのはとても正しい選択だと思います。


で、コペンハーゲンに着陸して、整備士が乗り込んできて、30分後に再び離陸。日もとっぷりと暮れて、下界に見えたのはハンブルグの花火大会。そう、花火大会を空から見るというこの上ない贅沢な体験をしたわけです。しかも、この辺が私をしてSASの大ファンな理由なのですが、普段コペンハーゲン=ハノーバーでは提供しない酒も提供してくれまして、酒を飲みながら花火大会を鑑賞した訳です。


で、帰りにも事件が起こるのですが、これは次回に続く。


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2004年07月27日(火) トイレの中にスッチーさんを押し込めるのは...やはりまずいというお話

数日前のニュースによれば、全日空のチャーター機の機長がおよそ30人の乗客をコックピットに入れ替わり立ち代り入れたとかで国土交通省から怒られたとか。この記事を読んで思ったこと。


え?全日空がダブリンに飛んできた?


このヒコーキが関空発ダブリン行きということに私は驚いた。だって、アイルランドから日本に行くのに、いちいちヒースローだのフランクフルトだので乗り換えるのって面倒ですよ。直行便があればいいなと何度思ったことか(利用者の数とか考えたら、まず、無理。何せダブリン空港には定期旅客便ののジャンボは飛んできてないのです)。ゆえに、チャーターとはいえ日本から直行便が飛んできたというのは驚き。


完全に論点がずれてますね。問題は、オタクが機長を刺殺したあとに禁止された乗客のコックピットへの立ち入りを認めたという点。まあ、これ、このオタクの機長刺殺事件とか9.11がなかったらニュースにもならなかったろうなあ。


これが事件になるならこっちはどうでしょう?アイルランドの例の格安航空会社は、全日空の社長をしてあきれ果ててアゴが外れるようなことをしてます。



(お約束のイメージ画像)


そう、新しいヒコーキからは窓のブラインドやシートのリクライニングを設置せずにコストを下げるだとか、ゆくゆくは乗客の預託手荷物から金を取ろうとか、まあ、


(ど演歌「浪花恋しぐれ」の節で)
♪ゼニのためならお客も泣かす
それがどうした文句があるか



という会社のお話なんですが、さすが、モラルもへったくれもないですね。



(数日前の夕刊紙の一面)


キョトーン。


この見出しをそのまま理解すれば、


トイレの便座を座席として使った


ということになります。


話の前提として、航空会社には「スタッフトラベル」というシステムがあるのを御存知でしょうか。私もよくは知りません…勤めてるわけじゃありませんから。しったかして続けさせてもらうと、これ、よくある「社員販売」とか「社員割引」のヒコーキ版。席が空いてさえすれば、格安の運賃(あるいは諸税の自己負担のみで運賃は無料)で社員は飛ぶことができるのです。ただし、「空いていれば」の話。空いていなければ乗れません。当然ですがチケットを持った(あるいはお金を払う意思のある)お客さんがいる限りそっちが当然優先です。


とはいえ、航空会社にはけっこう横のつながりがあって、例えばA社の社員でもB社のヒコーキに乗れたりします。つまり自社が満席でも他社に乗れたりするわけ(運賃が同じとは限りません)。ただし、「格安航空会社」と呼ばれる会社にはこの横のつながりがないのです。つまり、自社便が一日一便しかなく、それに乗れない場合、翌日まで無為に待つということになります。ちなみに、「スタッフトラベルで乗れなかったから今日は休む」というのは理由になりません。会社によっては懲戒の対象になるようです。これが話の前提。


以下、この記事および、それ以降の新聞記事、さらには私の勝手な憶測を入れて物語を再構築すると以下の通りになります。


場所はスペインのフランスの国境に程近いGironaという空港。某社はこの空港を「バルセロナ」と言っているらしいが、バルセロナまでは月ほども遠いらしい。ともあれ、この空港から夏はダブリンに一日1本の割で飛んでいるらしい。


夏のハイシーズンということもあって、この日は予約で満席。で、困ったのは、約2名のオフできていたスッチーさん。ふだんなら、no showと呼ばれる、予約をしたにもかかわらず空港に現れない人がいるものだが、今日に限っていない。予約をしたお客は全員やって来た。…つまり、満席で乗れない(ちなみに、この会社はオーバーブッキングはしないそうです)。


こういう時、他の航空会社での一部パイロットは、「オフのスッチーさんならジャンプシートを使っていいよ」という人もいるようです。とはいえ、基本は離発着時には「全員着席」していなければいけません。あの急加・減速時に立っているなど自殺行為ですから。ところが、パイロットが


Ah, that's graaaaand.
(意訳「だいじょうぶだよ」)


と言ったかどうかは知りませんが、こともあろうに、この満席で乗れないオフのスッチーさん2名を勤務中のスッチーさんが座るはずのジャンプシートに座らせ、で、席がなくなった勤務中のスッチーさん2名は離発着時に後部のトイレにいた…と言うのですから、もはや呆れて言葉もありません。上の「話の前提」に書いたとおり、これに乗り遅れると、翌日までヒコーキはないし、もしかすると翌日から仕事だったのかもしれず、どうしても乗りたかった...大方、当たらずしも遠からずだと思います。


で、彼らにとっては運の悪いことに、これをチクった乗客がいるようで。問題になります。この会社の広報の人もなかなか肝っ魂が据わってまして、言うことがすごい。これは確かに問題だと言いつつ、


「これは、オーバーブッキングの問題ではなく、スタッフトラベルの問題ですから」


と開き直る始末。そう、トイレに押し込まれたのは客ではなく自分のとこの社員だから良いじゃないかと言う理屈。「会社もいろいろ。社長もいろいろ」などと開き直って顰蹙を買った総理がどこかの国にいましたが、開き直り具合はそれをも越えてます。


まあ、これに世論かあるいは政府が黙ってませんで、結果、会社は関係者に離職の勧告を出しますが、パイロットを含め、全員拒否。結果、会社はトカゲの尻尾切りよろしく関係者を懲戒解雇しました。


私は言いたい。


この会社にはモラルがないんかい!


例え格安だろうとなんだろうと、機長をはじめ客室乗務員は乗客を安全に運ぶ義務があるはずです。そんなモラルのかけらも持っていないと思われる会社のヒコーキには…やっぱ乗りたくないですね。


かわいそうなのは、この会社のおかげで価格戦争に巻き込まれているアイルランドの国営航空会社。昨日、1300人のレイオフを発表した模様です。この会社も一生懸命セールをやってまして、9月の週末にデュッセルドルフ往復の航空券を買いましたが、往復80ユーロ(税金込みで)。安すぎると思うのですが、ライバル会社のページでは


「うちのセールはぼったくり国営航空会社のセールの半額だけんね」


とケンカを売られてます。この潰し合いとしか思えない価格競争は一体どこまで続くやら。どっちかの会社が大事故を起こすか潰れるまでやりそうだなあ。くわばらくわばら。

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2004年07月25日(日) ダブリンの隠れ極悪駐車場とは

昨日に引き続いて更新です。2週間も放置しておいて、説得力が全くないですが、いちおうこの日記「ほぼ毎日更新中」ですので。もっと白状するとですね、実は会社の方針が変わりまして、明日から残業ができなくなります。かくして、2ヶ月にわたる時給二倍というぼろ儲けももうできなくなるので、少しは日記や家事などにも力を入れることができるかと思います。


ここだけの話、うちの会社、アホですよ(もっとも全世界のリーマンの約8割が「自分の会社はアホだ」と思っているらしいですが>Snigelによる独自調査による)。うちの会社の業績、現在右肩上がりです。それ自体、慶賀に絶えないわけですが…


業績が右肩上がり→よりたくさんの仕事が入る→より忙しくなる→よりたくさんの人を雇う


という当たり前の構図が成り立ってません。つまり、最後の「よりたくさんの人を雇う」ことをせずに今いる人員で乗り切ろうとしてます。で、現在、例えば決算で一時的に忙しい…とかいうなら分かりますが、これからもずっと忙しく、あからさまに人手が足りないのを残業で補おうというのは、誰がどう考えても無理があります。


人を雇いたがらない理由は簡単で、要は人件費をケチってるんですよ。で、今月、私のいる部署約25人で総計550時間の残業があったそうです。で、時給2倍なので1100時間。…つまりこれだけの金を払えば7人の新人が雇えたわけで。そりゃ新人は即戦力にはなりませんよ。でもね、私だってずっと残業し続けるわけにはいかないのですが。


ともあれ、このとんでも人件費のおかげで残業は中止されるわけですが、こうなると、仕事、回りませんよ。一体どうやって対応するのか見物です。実は最近ついにヒラから肩書つきになってしまいましたが、こういう経営に関しては無関係なので高みの見物を決め込もうと思ってます。


かくして、土日、8時間づつしっかり稼いできましたが、そんな中、土曜日の夕方、きっちり髪を切りに町に行ってきました。特に土曜日など街には極力バスで行くようにしてます。道は混むし、駐車場は見つからないしとろくなことがないので。とはいえ、会社から直行しなくてはならなかった昨日は例外的に車で町に行きました。


私、いつも同じ駐車場に車を停めてます。Drury Streetの駐車場に。…どこだという方、South George Streetと並行するAsian Marketのある通り…と言えば分かっていただけるでしょうか。ちょうどGeorge Street Marketの直下あたりにある地下駐車場です。ここ、1時間あたりの駐車料金が2ユーロと破格の安さです。市内のパーキングチケット制の路上駐車が1時間2.5ユーロと言えば、いかに安いかが分かってもらえるかと。かつ、駐車場の収容台数が少ないので、出庫に時間がかかるということもありません。しかも、いつ行ってもスペースが空いてます。…こう書くといいこと尽くしですが、一つ致命的な問題があるのです。


狭い。


狭いなんてもんじゃありません。悪名高いダブリン空港の立体駐車場やTallightにある某病院の駐車場も真っ青です。ダブリン空港の駐車場、確かに(日本的にいえば)3ナンバーの車だと本当にギリギリですが、とはいえ、あの駐車場は腐っても駐車場としてデザインされてます。けど、この隠れ地下駐車場は駐車場としてデザインされていないのです。信じられます?通路を曲がるために切り返しをしなきゃいけないんですよ。


写真を撮ってこなかったのが悔やまれますが、そもそも倉庫か何か用に作られた地下室を力づくで駐車場にしているのです。柱の位置なんか、駐車場にすることなど絶対に考えてませんし(そりゃそうだ。あの辺の建物は築100年とかの世界)、柱という柱には擦り傷がついてます。何も知らずに迷い込んだドライバーが愛車を擦ったという悲話は数知れず(推定)。


この駐車場、かくして整理員が常駐しています。そう書くと聞こえはいいですが、むしろ、この整理員はいない方がいい。この駐車場、路面に線なんて書いてませんよ。というか、地下室の床そのまんまで凹凸だらけです。かくして、この整理員が駐車の位置を指定してくるのですが、これが数センチ単位で位置を指定してくるのですよ。無理もない話で、フツーの感覚なら柱と柱の2台分のスペースに無理矢理3台停めさせるのです。しかも前後の間隔もセンチ単位。文句無しでダブリン唯一の難易度★★★★★の駐車場…世界的に見てもかなりのとこまで行ってる気がします(でも安い)。


昨日もこの薄暗い、何も知らずに迷い込んだらそのまま逃げ出したくなるような駐車場に入庫しました。土曜の昼ということもあってこのくそ狭い駐車場はほぼ満車。で、整理員が指定してきた場所、私は見て泣きそうになりました。確かに幅はあります。でもそこに停めるには通路から直角に切り返さねばなりませんが、その通路にはすでに車が無理矢理並列駐車しており、切り返しはほぼ不可能。しかもその停まっている車が新車のBMWとなると、私じゃなくても泣きたくなると思います。


七回切り返しましたよ。


新車のBMWのどてっ腹まであと5センチまで近づき、怖いからサイドブレーキをひいて切り返すことの繰り返し。前に行きすぎると新車のBMWにダイブ。後ろはすでに100台以上がこすったと思われる柱。ただでさえ泣きそうな状況なのに、うら若き女性3人が私が泣きそうな様を見物してます(暇人め)。こうなると男としていいところを見せようと思うのは当然で、7回のきり返しの後見事に車をスペースに収めました。


拍手をいただきました(実話)。

地獄が見たい方は、ぜひこの駐車場を試してみて下さい。とはいえ車をこすっても私の知ったことじゃあありませんのであしからず。


蛇足ですが、この駐車場のすぐ近所に、怪しげな日本食レストランがオープンしてました。「カラオケボックス1時間25ユーロ」という謎の看板が下がってましたが、いったいどうなってるんですかね。行った方はぜひご報告ください。


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2004年07月24日(土) ドイツ式結婚行進曲(3=完結編)

ひでかすと私の会話。


ひでかす:「今日は何日?」
私:「23日」
ひでかす:「最後に日記を更新したのいつ…」
私: 「えへっ、忘れちゃった」
ひでかす:「…読者さんに見放されるよ」



…もう手遅れかもしれませんが、ほぼ2週間ぶりの更新です。この2週間、すったもんだがありました。川踊りに行ったとか、アホアホVodafoneとケンカしたとか、ネタは尽きませんが、ともあれ、結婚式の件を片づけましょう。


一次会は午後4時30分に終了。で、二次会は午後7時から。なんと2時間30分もあります。…というわけで、Herkules観光へ。




Herkules全景。どういう歴史があるか私はさっぱり知りませんが、ここに、毎週水曜日と日曜日に水が流れます。巨大な噴水。きれいですよ。





ここから反対を振り返るとこんな感じ。ヨーロッパのへそKasselが一望できます。


そして、およそ2キロの道のりを歩いてホテルに戻ります。




ホテルの裏庭で、新郎新婦の車を発見。お約束のカンをつけてます。それにしても、新婚旅行に行くのは、白いリンカーンかロールスロイスと決まってるかと思った。この辺がドケチ質実剛健ドイツ人といった感じでしょうか。


ホテルの中に戻ると、ディナーテーブルが用意されてます。





ディナーが始まりました。バンド、来てますよ。


バイキング方式のディナーが一段落つくと、ゲームが始まります。





ひとつひとつの風船の中にゲストひとりひとりが書いたメモが書いてます。お題は


「あなたは新郎新婦に何をしてあげますか」


例えば、「メシをおごってあげる」とか「映画に連れていってあげる」とか書いてます。で、その風船を割ったら、それが本当に起こるという。私は、


「ダブリンに来たら、観光案内と、部屋を提供してあげる(でも航空券は自己負担<はあと>)。」


と書きました。幸い、当たりませんでしたが。冗談か本気か、「オーストリア旅行」と書いてたやつが当たってましたが、一体その後どうなったか知りません。




シアワセそうに、ワルツを踊る二人(ざけんな。チクショー)。心なしか、新婦さんの目が逝ってます。


さらにゲームは続きます。今度は、「新婚さんいらっしゃいゲーム」(私が今名づけましたが何か?)。二人に、質問して、二人がどちらの名前を選ぶかというゲーム。え?よーわからん?要するにですね、こういう質問をするんですよ。


「二人のうち料理をするのは誰」


で、新郎新婦がおのおのの名前を選ぶわけ。ウケたのは、


「夜の生活を始めるのは誰」


…共通した意見として、新婦さんだそうです。でもいいのかな、コドモもいるのに。


その後、バンドが去ると、入れ替わりにDJが入ります。その後、パーティーは少なくとも午前2時まで続きました。「少なくとも」というのは、私たちはその時点で帰ったから。その後朝までパーティが続いたかどうかは定かではありません。

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