待ちかねた、加納さんの新刊。 どこでも評判は上々だったが、期待を裏切らない。 ハードカバーの装丁が実に良いから、文庫待つよというひとにも ぜひ見るだけみて欲しいと思う。 その絵が、このお話そのものだ。 だんだん主人公の回りになんだかんだと人が増えていき、 そのなんだかんだを繰り返しながら、すこうしずつ母の顔になって いくサヤ。 婆ちゃんたちとエリカさんの掛け合いは、実に楽しい。 そして、それぞれが抱える「痛いところ」は、実に・・・・切ない。 サヤの、夫への思いも。
ワタシが少し昔に体験した、赤ちゃんの母というのを思い起こす。 そう、母親に成り立ての頃は、そんな風に強迫観念にかられ、 あるいは育児雑誌に振り回され、出口のないかのように思える 毎日に疲れ果てているものなのだ。 しかし、今懐かしく思う・・・・あの頃は見えなかったことが、 今なら見える。 守るべきものを得たら、ひとは少しずつでもそのために強くなれ るのだから。 ユウスケの起こす最後の魔法をサヤが見るときの涙は、それまでの 涙とはきっと違うにちがいない。
急に、顔を見たくなった。 |
2001年11月16日(金) |
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