★加納朋子。 『ささらさや』

待ちかねた、加納さんの新刊。
どこでも評判は上々だったが、期待を裏切らない。
ハードカバーの装丁が実に良いから、文庫待つよというひとにも
ぜひ見るだけみて欲しいと思う。
その絵が、このお話そのものだ。
だんだん主人公の回りになんだかんだと人が増えていき、
そのなんだかんだを繰り返しながら、すこうしずつ母の顔になって
いくサヤ。
婆ちゃんたちとエリカさんの掛け合いは、実に楽しい。
そして、それぞれが抱える「痛いところ」は、実に・・・・切ない。
サヤの、夫への思いも。

ワタシが少し昔に体験した、赤ちゃんの母というのを思い起こす。
そう、母親に成り立ての頃は、そんな風に強迫観念にかられ、
あるいは育児雑誌に振り回され、出口のないかのように思える
毎日に疲れ果てているものなのだ。
しかし、今懐かしく思う・・・・あの頃は見えなかったことが、
今なら見える。
守るべきものを得たら、ひとは少しずつでもそのために強くなれ
るのだから。
ユウスケの起こす最後の魔法をサヤが見るときの涙は、それまでの
涙とはきっと違うにちがいない。

急に、顔を見たくなった。
2001年11月16日(金)
★今邑彩。 『時鐘館の殺人』

『時鐘館』と書いて、「とけいかん」と読む。
短編集で、各タイトルはかなり有名ドコロのパロディらしいのだが、
有名ドコロを良く知らないため、わからない。
気にかかることが三つある。
一つは、読んだ文庫の裏表紙に書いてあるあらすじ。
「締め切り直前の老推理作家が姿を消した」←確か本文中に四十六歳と
あったはずなのだが・・・後頭部はすり減っても、年齢まではすり減る
まいと思うのだが?
二つは、あとがきによれば、文庫に納めるときかなり手を加えたらしい。
もとネタがちょっと気になる。
もう一つは・・・・恥ずかしいけど言ってしまおう。最後の謎が解けない。
ヒントを求めてよそのサイトを回ったが、ひとつだけ「15分もかかって
しまった」というのを見つけただけに終わった。
ああー、ワタシは探偵にはなれない・・・・
え?探偵じゃなくても解ける?ああああそれをいわんといて。

表題作を含む6つの短編、ミステリとしては「黒白の反転」が一番
好き(怖い)が、一番怖いのは「恋人よ」、そしてストーリーとして
一番好きなのは「あの子はだあれ」(^-^)
2001年11月15日(木)
★島田荘司。 『確率2/2の死』

図書館のハードカバーって、どうしてこう古めかしく仰々しいのだろう。
(前に読んだ『御手洗潔の挨拶』もすごく仰々しかった)
吉敷刑事シリーズを読むのは、まだ2作目(^-^)
いきなり走っている吉敷さん・・・・目に浮かぶ。
ううーむ、これってもしかしてもう映像化されたのかしらん。
トリックというより、そのからくりが明らかになったとき、
今ひとつピンとこないのは、そういう世界に疎いから?
それとも小心者だから?(謎笑)
そこまで堕ちていくものなのだろうか・・・・
巻末についていたエッセイ?「吉敷竹史に見る日本人像」は読んでいて
なかなか感心した。
苦労したんだね・・・・島田さんという人は。ううっ。
今や新本格の流れを作ったと言われるスゴイ人なのに・・・・。
そしてさらに、その最後に
「島田荘司が歌う幻の名盤、CD盤にて復刻」
なんと!なんとそそるこの広告・・・・・き、聞いてみたいよう。

島田ファンの方は、笑って許してね。
ワタシまだシマダ初心者なんですわ。
2001年11月14日(水)
★佐藤多佳子。 『サマータイム』

よく見たら、上巻だった;^^)続きが読みたい。
とりあえず、上を読み終えた感想は・・・
「こんなお話がかけたらいいのにな」
あの頃の記憶。
自分にも確かにあった、夏の記憶。
こんな風にさりげなくドラマチックではないけれど、フツーの夏の日。
そして、「夏」は、少年少女そのものだ。

「彼の内側の光にぼくは感電する」
・・・・この言葉に痺れた。
2001年11月13日(火)
★今邑彩。 『金雀枝荘の殺人』

ずっと「金糸雀」(カナリヤ)だと思っていた。
違った。「金雀枝」(エニシダ)だ。借りるまで気がつかないなんて!
検索して調べたら、大きな花びらの黄色の豆科の木で、春にたくさん花を
つけるらしい。(ピンクもある)
いとこら6人が次々と、「おおかみと七匹のこやぎ」の見立てで殺し合う。
その謎を解こうと集まった、残りのいとこと居座った侵入者。

関係ないけれど、ウチにもある「おおかみと七匹のこやぎ」。
この見立て殺人の箇所を見たとき、なんだか違和感があったのだが
それは訳者が違うと訳も違ってしまうからだった。
「洗面器」に記憶がなかったので、調べたらウチのは「せんたくかごの
中」だったし、「ベッド」は「とだな」だった・・・;^^)
ううーむ、やぎも洗面器で顔を洗うのかな。

プロローグは、「序章という名の終章」。
読み終わってその意味が分かり、ふたたびプロローグへ戻ってきた。
こういうのってうれしい。
哀しすぎた真相は、過去から解き放たれるのだ。

2001年11月12日(月)
図書館の日。借りたのは4冊。

控えめである、四冊は。
最近性格が控えめなのかもしれない・・・というのは嘘。
週末にかけて風邪がひどく、本当ならオコちゃまに頼んで、
返却だけしてもらうことになっていたのだが、ちょっと調子が
戻ったので、行くことにしたのだ。
そういう経緯があり、頭はもうろうとして本棚の背表紙の文字が
全然頭に入っていかなかったので、控えめに4冊、という訳。
(われながらすごい言い訳)
ゴロゴロしていてヒマだったので、一冊はもう読んでしまった。
借りた本は以下の通り。

『金雀枝荘の殺人』←オススメしてもらっていたし、読みたかった。
『時鐘館の殺人』←上と同じ作者。並んでいたので。
『サマータイム』←この作者二冊目。期待。
『確率2/2の死』←シリーズものなので。
2001年11月11日(日)
◆月刊ガラスの仮面。第6巻。

以前も書いたが、もちろんコミックは持っている;^^)
今回は、ワタシが一番読みたくない、マヤが芸能界で失脚するシーンが
中心だ。
登るトコまで登って、めっためたに落とされて。
そこからはい上がっていく最初の場面、乞食の少女に扮して泥まんじゅう
食べるのだが、ほんとに食べたらまじで病気になりそう・・・
そして情熱が戻ったマヤが、一人で道を切り開いて認められていく
「女海賊ビアンカ」。
それにしても・・・・毎月雑誌を出していって、連載に追いついたら
一体どうなるのだろう?
今で半分くらいなのかなー・・・・・

美内すずえさんは、もともとホラー漫画が得意なので、その怖い怖い
ホラー漫画が巻末に少しずつ連載されている。
今回は「黒百合の系図」の最終回。こ、怖かったよう・・・・
ひとつだけどうしても家にオイトケないくらい怖かった漫画がある。
それがもしいつか載ったら・・・その回はきっと買えないだろうな(大汗)
2001年11月08日(木)
By ちゃいむ

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