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バスの中で。 70歳前後の女性が三人、近所の様子などを話していた。
その方達がおりる時 すぐ横に座っていた、これまた70歳前後の男性が一緒に降り 降り際に、何か言った。 大きな声で何か言ったが、滑舌が悪く 何を言ったのかはわからなかった。 が。 一言だけ、はっきり聞こえた。
「ばばあ」
その言葉に反応した、先の三人連れの一人が振り返り 「え?」と顔をしかめた。
その頃には、すでに4人ともバスを降りていたのだが 時間調整とやらで、バスが扉を開けたまま止まっていたおかげで ことの顛末が一部始終見て取れた。
どうやら、男性は「うるさい」と言いたかったらしい。
「ばばあ」に反応した女性が 「『ばばあ』って言ったって、おまえだって『じじい』じゃないか」と言い返す。 「何を!くそばばあ!ばかやろう!」と男性。
大した言葉も交わさぬうちに「ばばあ」「じじい」の応酬となり 最後には、それぞれが違う方角に歩き出していたにも関わらず 振り返りながら、大声で 「ばばあ!!!」 「じじい!!!」 と言い合っていた。
お年寄りは子どもに還るとは言うが どう見ても大人にしか見えない男性と女性が 大声で捨て台詞を吐き合う様は、ひどく滑稽であり悲しくもあった。
そんなやり取りを バスに乗っていたすべての人が気づいていたはずなのに 誰も、笑いもしなければ、何かを言ったりもしない。 「ばばあ!」も「じじい!」も聞こえないかのように 前を向いて座っているだけだ。 いかにもありがちではあるが その雰囲気が、何だかとても異常な気がした。
朝から、かずぴーが騒ぐ。
「ズボンがない!」と言う。 昨日、はいて帰ってこなかったのか? 試合会場においたままとか。
「そんなことはない!」と言う。 だったら、ないわけないじゃないか。
「それがないから、おかしいんだ!」と言う。 おかしい、って言われても、彼以外に知っている人がいるとも思えず。
昨日、帰宅して以来、彼以外には誰も彼の部屋に入っていないことは およそ彼もわかっているはず。 が、どこを探してもないので おかしい=自分には覚えがない=誰かの仕業かも という疑念を抱いているもよう。
予備のズボンをはいたはいいが、ベルトがないので ずるずるしながら出かけて行った。 雨が降りそうだったので「傘を持って行きなさい」と声をかけたら 「いちいち、うるせーな」と言われた。
何かと苛立っていたのはわかるが、そんな言い方は許せない。
玄関のドアを開け、走り去ろうとしている彼の背中に 「謝りなさい!!!」と怒鳴った。 近所の手前も何もあったもんじゃない。 こんな時はひるんではいけないのだ。 バス停まで追って来られたら困ると思ったのか 「ごめんなさい!!!」と怒鳴り返してきた。
ふん!と思い、彼も「ふん!」と思っていることだろうと思う。
そして午前中。 洗濯しようと思ったら、洗濯カゴの中のテニスウェアに混じって 丸まったズボンが出てきた。 犯人は君だよ、かずぴー。
毎週、日曜日の朝は新聞の折り込みチラシの求人広告を熟読する。 単に習慣化しているだけでなく 何か良さそうなものがあれば、面接に行く覚悟はある。 覚悟はあるのだが 良さそうなものが、なかなかない。
そして昨日。 ついに、良さそうなものを見つけた。
資格*インターネット・ワードの出来る方 時間*21:30〜1:30 場所*自宅から車で15分 時給*1200円
三年前に初めて職探しをして以来 私が待ち望んでいた条件にぴったりの職場だ。 深夜のちょっとした時間、家の近くでのPCを使ったバイト。 とうとう見つけた。 これなら、今の職場にも学校行事にも影響しない。
さっそく、あやぽんに相談すると 『いいじゃん。やれば。』 と言われた。 すっかりその気になって、履歴書を書きかけ電話を掛けかけたが 受付が翌日からだったので、とりあえず翌日から行動を開始することにした。
そして、昨日一日 あれやこれやと思いを巡らし、よくよく考えてみたら 条件がぴったりとは言え 今の我が家の状況(主にかずぴー)を思うと 夜の9時から深夜2時近くまで家を空けるのはいかがなものか という気がし出し、心配し出すと止まらない性分ゆえ 魅惑の職場をほぼ諦めつつも 未練たらしく、ふたたび、あやぽんに相談すると 『私は最初から、よくないと思ってたよ。 私だけならともかく、中学生の男の子がいるのに夜中に家を空けるのはさ』 と言われた。
いいじゃん、って言ってたじゃないか。 やれば、って言ってたじゃないか。 どっちなんだ。
『いや、最初からそう思ってたけどさ 行く気でいるみたいだったから、水をさすのもどうかと思ってさ』
・・・・・なるほど。
彼女は、今後、円滑な人間関係に恵まれ 就職後は職場環境も麗しく、穏やかな人生を送ることだろう。 親として、喜ぶべきことなのかもしれない。
しかし。 我が娘でなければ 私は彼女のような人を信用しない。
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