カウントシープ
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ボクは1度お気に入りができると、そればっかりしばらく続けちゃう性質だ。お気に入りの部門はあらゆる感覚に関することで、一番譲れないものは触覚。気に入ったバスタオルとかトレーナーとか、肌触りのいいものがあるとそればっかり手を伸ばしちゃう。靴だって、ジーンズだって、とにかく感触第一、お陰で服も靴もコートも沢山あるのに、着まわしているのはいつも同じ、ということになる。
それから味覚。コンビニで見つけた美味しいパンとか、飽きもしないでしばらく続けて食べている。飲み物もしかり。今のブームは紅茶とスコーン。買ってきたり家で相方に作ってもらったり、とにかくイギリスかぶれ。
聴覚ならあいもかわらず菅野よう子を中心に、カウボーイ・ビバップ&攻殻機動隊のサントラを毎日聞いている。家にいれば相方が毎日ヴァイオリン名曲集をかけるのでそちらも頭にしっかり浸透中。
とうとう抗癌剤が始まった。
抗癌剤を打つ前に色々説明を受けた。毎回診察のたびに、どちらかというとBADな情報が増えていくのだが、今回もまた悪い情報がひとつ追加で、転移は2箇所でなくて4箇所だった。13箇所とって調べたうちの4個、という率はやっぱり悪いらしい。 若い年齢の癌は進行も早いこと、今回の癌は同じ癌でも悪い細胞が集まっていて、周囲を食い尽くしていくタイプだということ、転移があることなど、予後を決める因子の殆どは再発のハイリスク・タイプだということ・・・
などと、おもーい話が終わって直ぐに抗癌剤を点滴してもらった。終わってから病院の中で一緒にご飯を食べてお別れしたけれど、仕事から帰ってきたらワリに元気にしていたので一安心。やれるうちにやっとこう、と相方は仕事をやってる横でボクはうとうとしていたら、やっぱり吐き気がしてきて辛そうになってきた。
とにかく何とか食べさせなきゃと、冷蔵庫を漁って料理開始!ボクだってやる時はやるんだぜっ、と思いながら、ちょうどサーモンの切り身を買っておいたのでそれをベースに和食を作ってみた。 明日のお昼とかも準備してあげなくっちゃいけないよな、と思うけれど、冷蔵庫にあるもので何ができるのか皆目検討つかない。
今日も友達が遠方からお見舞いに来てくれた。皆でご飯を作って(ボクは見ていただけ)皆で食卓を囲んで食べたらすっごく楽しい。明日からは抗癌剤が始まって、どうなるか解らないけれど、こんな風に楽しいことがあると、またこうやって皆でご飯を食べる日がくるんだと思う。
どうも考えが後ろ向きでいけないな、と思いつつ。最近誰にあっても、ボクのほうがまいっているように見えるみたいで、自分でもいけないなぁと思う。こんなときこそどーんとでっかく相方を支えてあげたいと思うのに、むしろ自分で精一杯な感じで大変に駄目駄目なのだ。
みんなが応援してくれて、元気を沢山貰ってきて。本当に2人だけだったらとっくに沈没しちゃったように思う。ボクの両親が相方を自分の子供と同じように応援してくれることも嬉しかったし、友達もみんな声をかけてくれて、病院の先生も一緒にがんばろうって言ってくれて、ボク達だけじゃないってことが嬉しい。
反面体が頑張るのは相方だけで代わってあげられない。相方の苦しみが柔らかなもので、そして色々な困難を乗り越えらるよう、今はそう思うだけだ。
ロビン
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