カウントシープ
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今日は息子(といっても犬)の誕生日だった。ちょうど1歳、人間でいうなら・・・何歳だろう?この犬は2,3歳になってやっと成犬になるのだから、今は人間で言うところの7歳くらいかな。
ボクはもともと人間の誕生日だってそれ程気にしないのだけれど、相方はきちんと祝ってあげる人なので、犬といえど誕生日を祝おう!ということで、夜の散歩がてら肉を買いに出かけた。ステーキを買ってあげようと思ったけれど、自分達でも食べないような高いものしか残ってなくて、隣で半額になっていた豚しゃぶの肉を買って帰った。
豚肉をしゃぶしゃぶしていても、犬は寄ってこない。犬は今までに食べたことがないものはもらえないと理解しているので、いくら美味しそうな匂いがしてもやってこないのだ。(逆に一度でも、一口でも貰った経験は忘れない)
初めて食べる豚しゃぶに犬達は真剣にがっついていた。今度から豚しゃぶの時、ガードをしなくてはならない・・・ということに、あげた後で気がついた。
去年のクリスマスに大きなテレビを買った。でも本当は相方にプレゼントするものは別のものを決めていた。プレゼントする予定だったのは、ヴァイオリンだった。
2年前、今の家に引っ越すときに、何か音楽を始めようかなと相方が言い出したので「ピアノにしたら?」と言った。相方は子供の頃にピアノを習っていたので軽い気持ちで言ったのだが、相方はさっと顔色を変えて「嫌だ」と言った。
そのときまでボクは、ピアノ・レッスンという世界の凄まじさを知らなかった。子供がやりたくなくても嗜みのひとつとしてやらなくてはならない時代だったのか?(ボクも同世代のはずだが)鬼と化した母親が傍に付いてのレッスン。発表会には子供のでき比べ・・・母親同士の水面下の競争がそこには見え隠れするドロドロの世界。
ボクはそれ以来、相方にピアノを弾いてみてとは言わないことにした。そして、ヴァイオリンを買ってあげようと思ったのだ。だがボク達の人生において、今までヴァイオリンに触れる機会など皆無。そもそもボク達にヴァイオリンが弾けるのか・・・?そうこう考えているうちにクリスマスは来てしまい、ヴァイオリンはテレビに化けた。
相方が入院しているとき、ヴァイオリンを買ってあげようと決めた。手術が終わって落ち着いた頃には、ヴァイオリンの動きもリハビリになるだろうし、何かに一生懸命になることは、きっと生きる力を増幅するだろうと思った。音が免疫細胞を増やしてくれるかもしれない。殆ど藁にもすがるような気持ちだった頃、そんなことを考えた。
主治医の先生に相談したら、是非と薦めてくれた。こうしてボク達のヴァイオリンの旅が始まった。
2005年04月16日(土) |
賑やかなサルとウサギ |
子供の頃、ボクの家(正確には親の職場)は、オモチャ屋の2階にあった。ボクは学校から帰るときにはその職場に帰り、親の仕事が終わるまでそこで過ごして、夜の8時や9時になるとバスに乗って自宅に戻った。
オモチャ屋の入り口にはいつも、2つのヌイグルミが並んでいた。ひとつはピンクのウサギで、口には笛、手には太鼓を持っていた。もうひとつはサルで、口には笛、手にはシンバルのおなじみのやつだ。兵隊帽子に紅いチョッキを着て、どちらも往来の埃に少し汚れながらも毎日せっせと働いていた、すこしセツナイ2匹だった。
子供の頃のボクはこの2匹がなぜか嫌いだった。どちらもそんなに好きじゃないけれど、ウサギのほうが余計に嫌いで、サルはそれよりマシだった。職場が近づいてくると、ボクは小走りになって、なるべく音を聞かないようにして階段を駆け上がる。とくに、笛の音が聞きたくないから、シンバルを叩いている間を見計らって、ドアに飛び込むのだ。
一体ウサギの笛の何が嫌だったのか、わからない。子供の頃に聞かされた、夜に聞く笛の音は悪魔を呼ぶ…が原因かもしれないし、音が嫌いだっただけかもしれない。その頃のボクには、聞いてはいけない音や、見てはいけないものや、嗅いではいけない匂いが沢山あったから、そんなに特別な“嫌”じゃないけれど、もうオモチャ屋もなくなってしまったから、小走りで逃げる必要もなくなった。
ロビン
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