カウントシープ
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虹が好きだ。
じゃあ、虹の7色って何色からできてるの?って言われるとさあ困った。好きだとか言ってるワリにすらすらと出てこない。赤・黄色・紫・青・・・緑なんてあったっけ? ということで調べてみると、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫 がその7色だった。藍色―インディゴ色もカウントするのか、と思ってみたけれど、この天然の色彩の組み合わせを好きな人は多いだろう。 虹や、(見たことがないけれど)蜃気楼、そしてオーロラのようなカタチなくして見える幻のようなものは、どこか神秘的な匂いを含んでいて、何処までも魅力的だ。
もうひとつは、消して手の届かないところに現れることだろうか。虹のたもとに辿り着けたらと、誰でも子供の頃には考えるだろうが、近づけば虹は見えなくなってしまいそう。また、どれも自然の条件が合わさってできる現象で、作り出すことができない。一体誰が、空に大きく掛かる半円状の虹を掛けることができかといえば、それはもう神様の気まぐれくらいじゃないかしら。
話が変わるが、子供の頃、祖父の家は山の裾にあった。祖父の家に車で近づくと、段々山が大きくなってくるが、いざ近づくと山は居なくなってしまう。自分達が山の中に入ってしまったからだが、子供の頃はこれが不思議でならなかった。 近づいた分だけ大きくなると思っていたからだ。
二年ちょっと前に今の家に引っ越したときには、ボク達はまだ植物のことをよく知らなかった。周囲に何か植えますか?と聞かれた時、そんなに手の掛からないものを少し、と答えたら、手は掛からないがどんどん増殖していく植物が植えられていた。
手入れの仕方がよく解らないまま、二年をかけて植物は伸びていった。冬には姿を消しても春になればまた芽吹き、随分賑やかになった、のはいいが、気がつけば庭は沢山の植物が絡み合う混乱状態に陥っていた。どうしたものか困り果てて、数ヶ月前、ガーデニングの設計をお願いすることにした。
ボク達に欠けていたもの、それは剪定をすることだった。ボクは、庭に生えてきた全ての植物を、葉や花を全部育てようとしていたのだ。いい植物を育てるためには、葉を切り落とし、間引いていかなければならないことに考えが及ばなかった。
庭に何を植えようか、友達に話した。友達が沢山か 「これからは、全部を助けようと思わないとよいかもしれませんよ」
そう言ってくれた友達の言葉が頭を何度もめぐった。
ずっと忘れない橋がある。
小さな頃、ボクは他所の家に預けられていて、その家のおばさんが、半分ボクの母親代わりだった。その時代のボクの思い出は、実の両親よりはそのおばさんたちと過ごした思い出が大半だ。 そのおばさんと、時々バスに乗った。田舎なので、バスに乗る時間も長かったが、いつも通る道は、大きな川と併走していた。
川には所々橋が架かっていたが、その中のひとつの橋は、両岸に橋らしきものが作ってあるのに、真ん中には何も掛かっていなかった。まるで真ん中だけ抜け落ちた橋だ。 ある日おばさんが、その橋にまつわる話をしてくれた。その内容は、
「ある大雨の日、1人の女の子が橋を渡ろうとした。端の向こうには女の子の家があり、家では母親が待っていた。 女の子が橋の中央まで歩いたところで、増水した川の水に橋が流された。音に驚いた母親が家から出たところで、娘が流されていくところを目撃したが、なす術もなく、数日後娘は遺体となって返ってきた。橋はそれから掛け直されず、残った部分も取り壊されることないままになっている、それがその橋だ」
それ以来ボクはその橋を必ず見るようになった。見ないといけない気持ちになったのだ。そして、その橋の中央に傘をさした女の子と、彼女を待っている母親を想像した。
今もうそのお母さんが亡くなっていたとしたら、母子は天国で再会できただろうか。
ロビン
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