| 2003年02月02日(日) |
松本賢吾『月の虹(ムーンボー)』(毎日新聞社) |
松本賢吾『月の虹(ムーンボー)』(毎日新聞社1800円 2002年10月15日印刷 10月30日発行 283p) 初めて読む作家。故・安原顯が折に触れて褒め上げている作家でこの作品も傑作と評価していたので読むつもりだったが、その褒め手の死によって早まった。 新宿歌舞伎町を舞台にした、いわば「仁義なき戦い」である。 もっと救いのない結末を恐れたが、最悪のケースでは終わらなかった。アンチ・ヒーロータイプのデカだけでなくそのほかの人物達の造形も見事で完成度が高い。褒める人が褒める人なので勘違いしたが優れた職人の腕前である。 生方利三、長田、辻村、松阪、星川などいい味出している役者が5人以上はいる。
| 2003年02月01日(土) |
本の雑誌社『本の雑誌 2003年2月号』(本の雑誌社 ) |
本の雑誌社『本の雑誌 2003年2月号』(本の雑誌社 530円 112p) 巻頭の「今日の1冊」から巻末の編集後記らしきものまで一気に通読した。 適当に拾い読みしてすべて読んだかどうか怪しいうちに次の号が出て、またちょっちょっと拾い読みして・・・・・・あまり完全読破する種類の本ではないが、今回は読んだ。 余計な、または手抜きと思われる文章がなく実に充実感を覚えた。読みごたえあり。 穂村弘の棒パン日常2「本を覗き込む」は現代日本男性成人の有りようの一面を見事に目撃していて、一読に値した。
| 2003年01月31日(金) |
恩田陸『ねじの回転』(集英社) |
恩田陸『ねじの回転』(集英社1600円 2002年12月10日 第1刷発行 444p) 未来の地球世界から奇病HIDSの蔓延を防ぐために、歴史を正しく再生するプロジェクトが組まれた。 その国の歴史にとって転換点となる時を選び、自覚的にその時を正確にたどり直させる。それが不思議な伝染病HIDSの発生を防ぐ方法なのだという。読んでみないと何のこった的話で雲をつかむしかないが、この病気についてはもしかしたらこの著者のオリジナルではないのではないかという気がしてならない。この病気に対する著者の一つの解釈がこの物語であって、HIDSそのものは借り物なのでは。 あの宮部みゆきも7年くらい前に同じ時の事件を扱ったSF風のものを発表して評判を得た。 続編を期待したい。長い割りには終わった気がしないので。
| 2003年01月30日(木) |
鷲田小彌太・中澤千磨夫・�標蕎耋臓ゞγ�『大江健三郎とは誰か(鼎談:人・作品・イメージ)』(三一新書) |
鷲田小彌太・中澤千磨夫・�標蕎耋臓ゞγ�『大江健三郎とは誰か(鼎談:人・作品・イメージ)』(三一新書850円1995年8月15日第1版第1刷発行 280p) 先だって読んだ『取り替え子』から大江健三郎に対する興味関心が高まっているところにそのものずばりのタイトルの本が出現。ノーベル賞受賞に当て込んだ本であるにしても自由にものを言っている面白さを感じた。三人の著者が北海道の大学の先生のせいか恐れるものがないらしく言いたい放題。文壇ゴシップの香りも高く大江健三郎とその作品を切っている。 どこまで本気なのかと眉唾状態で読み終わった後、それなりに大江健三郎のひととなりが形成されているのが怖いというか面白いというか。 巻末には三者三様の大江論・作品論を掲載。最後はまじめに決めている。さらに索引もあり。
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