| 2004年09月30日(木) |
青田恵一『書店ルネッサンス』青田コーポレーション出版部 |
青田恵一『書店ルネッサンス』(青田コーポレーション出版部)は副題の「進化・視察・未来/出版営業・電子ペーパー」でも明らかなように現代日本の書店の問題・課題に総花的または総合的に分析し、少しでもプラスの方向への道を見いだそうとする姿勢のうかがえる本である。 佐野眞一の『誰が本を殺すのか』を読んでから「本屋」「書店」「図書館」「古書店」などのテーマを扱う本に目を奪われるようになった。 書店の現在と未来を考えている人のための基礎資料となる、見通しの良い本である。書店復興のためには常識は通用しないことを言外に説く。
2004年8月発行 発売=八潮出版社
| 2004年09月29日(水) |
能村庸一『実録テレビ時代劇史(ちゃんばらクロニクル1953-1998)』東京新聞出版局 |
能村庸一『実録テレビ時代劇史(ちゃんばらクロニクル1953-1998)』(東京新聞出版局)はオールスター忠臣蔵のごときの大作だが、四八五頁中一頁もゆるみのない充実度で勝負。 好きなジャンルの文章はどんなに長くても集中していつまでも読める。 内容と文章が良いと尚更時を忘れる。
目次の紹介(大見出しのみ) はじめに PART��(昭和二十八年〜昭和三十九年)草創期のテレビ時代劇 PART��(昭和四十年〜昭和四十九年)テレビ時代劇の黄金時代 PART��(昭和五十年〜昭和六十三年)テレビ時代劇の曲がり角 PART��(平成元年〜平成十年)テレビ時代劇に試練の時 <昭和二十八年〜平成十年>テレビ時代劇放送記録 参考文献 写真資料提供・協力 企画協力 あとがき 装幀 川畑博昭
好きだった時代劇の話題には特に食いつきがよくなる。大瀬康一の「隠密剣士」栗塚旭の「用心棒」シリーズや「風」を見ていた記憶が甦る。やはり昭和四十年代には一口に時代劇とはいってもさまざまな切り口の時代劇が見ることができた。 暗殺シーンがリアルなせいで怖くて見たくなかったのが「幕末」という時代劇。「三匹の侍」のリアルさは殺陣の迫力を生み出すためにあったが、「幕末」の方はまじリアルで「痛さ」や切られたり突かれたりする「恐怖」がそのまま伝わってきていやだった。 巻末の「放送記録」の批評はできないが、まずこれは眺めて楽しいものである。 先の「幕末」が昭和三十九年で制作が記憶通りTBSだったことを確認できたし、スカパーでの放送を願っている昭和四十四年TBS日曜日午後七時放映の「妖術武芸帳」(佐々木功・月形龍之介)も再確認することができた。 1999年1月発行から遅れること5年にごめんなさいという気分。 このテレビ時代劇大長編評論はすばらしい。
| 2004年09月28日(火) |
メイ・サートン(中村輝子=訳)『回復まで』(みすず書房) |
メイ・サートン(中村輝子=訳)『回復まで』(みすず書房)を読んだ。 作家の66歳から67歳時の日記である。安穏と生きているわけではない独り暮らしの女性作家・詩人はシビアな現実に直面して心がうちひしがれた状態にあった。そのどん底から朝日のようにじょじょに明るく強くなっていく自己のこころを凝視し、語り、伝える作家の貴重な日記による記録である。 残念なのはメイ・サートンはすでに亡くなっていることと、この66歳日記の時が1978年から1979年という遠い過去であることである。 メイ・サートンは1995年に83歳で亡くなっているし、1978年といえば26年前ではないか。 日本では1991年に最初の『独り居の日記』が出て以来、1999年にやっと次の日記『海辺の家』が続き、2002年に今回の『回復まで』という順番で邦訳出版が実現しているのだから、もっと早くに知っていたかったというのは単なるわがままにすぎないのだが、知らなかったことが恥ずかしい。
「だれか作家仲間が階下で仕事をしている、と思う気分はいい。」(204頁)
これと同じような言い方は終盤にもあらわれ、詩人の孤独な魂が、いわば強くなりながら柔らかく平らかなものを獲得しつつあることを示している。 この文学は古いようで新しい。未来の文学である。
最近、最後の日記『八二歳の日記』(みすず書房)が出たが、訳者のあとがきによると『回復まで』のあと、『七〇歳にて』『発作のあと』『エンドゲーム』『アンコール』と書き続けての『八二歳の日記』だそうである。 読もうか読むまいか実に迷う。
夕刊で「海洋歴史小説・直木賞作家 白石一郎さん死去」を知る。72歳。 2002年に食道ガンの宣告があり、闘病していた。 私にとっては伝奇時代小説『黒い炎の戦士』シリーズの作家である。 徳間書店から発行されていたSF専門誌「SFアドベンチャー」に連載。その後、徳間ノヴェルス、徳間文庫で出版。残念ながら未完である。 山田風太郎の系列風の奇想天外で抜群に面白い一種の娯楽忍者小説としてその完結編の登場を長い間待ち続けていたので、そういう意味でも気になっていた作家の一人だった。 長男の一文さんと二男の文郎さん、ともに作家であることは今回はじめて知った。 双方に共通する白石という姓を結びつけて考えたことがなかったので驚き、少し興味がわいた。
|