白月亭通信別記
老い先短い残照の日々、
おりふしの所懐を、
とりとめもなく書き留めて…

2005年12月21日(水) 幻想即興曲

 昭和22~3年ごろまでは終戦後の混乱期で進駐軍による学制もくるくるかわって新制の祝吉中学も現在の農業高校の一部に併設されるというありさまだった。ある日の放課後運動場であそびほうけていた時、教室から妙なるピアノの響きが聞こえてきてその美しい旋律が耳に残って暮れなずむ夕日の中で一瞬遊びをわすれていた。そのメロディがわすれられなくなっていたが、のちになってそれがショパンの「幻想即興曲」ということがわかった。おそらくその曲を弾いていたのは女子学生だったのだろうがその人は誰だったのだろう。健在ならもう70歳の半ばをこえているだろうがもし会えるのなら会ってみたい気もする。しかし会う手だてなどなにもありはしない。


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