青いくもと白いそら
想い出 † きのう † あした
彼はまるで
深く 暗い
闇のような男だった
ソノ日は
昼間なのに
空は重く垂れこめた黒に覆われていて
まるで朝日が差し込むような夜だった
僕は彼を
細い路地裏で拾った
生きているかも解らない
それでなくとも自分以外の誰かを
自分のテリトリーに入れたのは
きっと
生まれたその日から初めてのことで
僕は自分自身にひどく困惑したことを覚えてる
彼は
三日三晩
死んだように眠りこけ
次に目が覚めたのは
桜舞散る 雪の日だった
目が覚めた彼は
僕の姿を認めると
唐突なまでにこう言った
『約束をしよう』
部屋の隅に置いたチャチなパイプベットは
彼の重みに悲鳴をあげてる
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