.....PAPER MOON |
.....HOME .....MAIL .....OLD .....INDEX .....NEW |
幸福は作家をダメにするか? 2001年10月30日(火) 某雑誌に、乙一が短編を書いていたので立ち読み。…しようと思ったけど、暗黒系の話らしかったのでやめといた(笑) でも、最後にあとがきみたいなエッセイだかなんだかが載っていたのでそれだけ読んできた。彼は大学を卒業して専業作家になり、穏やかな生活を送っているらしい。そして、そうなったら「せつなくてちょっといい話」を書きたい気持ちがなくなっているらしい。で、人間関係の摩擦を感じないとダメなのかなーみたいなことを書いていた。 なんか、そういう気持ちも、ちょっとわかる…。書くことって、自己救済の面が大きいから。書かないでも満たされてる時って、ある。(満たされすぎて溢れそうで書きたいということもあるけど) 特に彼の話は、まわりと上手くやっていけない人間が救いを見つける、という話だから。彼がそういうものを求める状況だったからああいうものが書けたっていうのはあるんだろうし。 栗本薫が「小説道場」で、小説書かずに生きられるならその方がしあわせだ、なんてことを言っていたっけ。この言葉、よく思い出すんだ。 それから、田村由美の漫画を思い出した。金持ちのお坊ちゃんが作家になるんだけど、僕は不幸にならなくちゃいけないんだ〜、じゃないといい作品が書けない!と、どたばたするお話ね。 最後に、不幸になろうとしなくたって、君は人をしあわせにできるようなお話が書けるじゃない、と言われるんだよ。 なんだかね。別に不幸になることはない。あ、別に不幸にならなくちゃ、なんて書いてあったわけじゃないんだけど、そう読めてしまったから。自分の欲求が求められてることと違うと感じてるんだろうな。 私は「ちょっとせつないいいお話」(笑)が好きだけど、そういう話を書かなくちゃと思って書くものではないしね。あざとく思えるような展開でも、素直にしみる話になっていたのは、義務感で書いたわけじゃないからだと思う。 人はいつもないものねだりだから。暗黒系が書きたいならそれでもいいと思う。書きたいものを書けばいい。それからまた違うものが書きたくなるかもしれないし。 これまで書かれた数点、それを彼が書いて、私が読めたから。 道はまた続いていく。同じじゃなくても、続いているから。 |
|