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「荒野」桜庭一樹
2009年02月15日(日)
人気の恋愛小説家を父に持つ、山野内荒野。中学に入学したばかりの荒野は、一人の少年と出会う。
中学生から高校生という、少女が女になっていく時間を描いた作品。

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メッタ斬りを読んで、「私の男」を読んでみたいと思ったんですが、なかったのでとりあえず他の作品を。初・桜庭一樹です。
どうかなーと思ったんですが、好きですね。うん、たぶん、全作読みたくなる勢いで好きな気がする。
(ちなみに、男名ですが、女性作家です)

なんかもう、すごく少女漫画の世界だったんですよ。入学したばかりで一人の男の子に出会って、とか、その場面も、その後の展開も。
小説って、今まで読んだことないような、よくわからないけどおもしろい話、というものと、これこれ、これを待ってたよーという話と、あるじゃないですか。これは、後者なんですよ。すごく馴染んだ世界がそこに待っていた。たぶんね、吉田秋生好きな人は、好きですよ。そういう空気感。
でも、意外に、そういう小説ってなかなか出会えないものですよね。そんなことないですか。漫画は、定番をうまく見せてくれる作家ってけっこういる気がするんだけど、小説って定番があんまりない気がするんですよねー。そんなことないですか。

というわけで、とてもしあわせな時間を過ごしました。
この子、とても恵まれているんですよ。父親が小説家で、母親はいないけど、理解者が近くにいて。男の子にもてもてというわけではないけど、自分の特別な人たちはちゃんと自分のことを愛してくれて。コンプレックスもあるけど、それはスパイス程度。
そして、いろんなことに揺れ動くけれど、そんなに大きな事件はなく…。そして、大きな決断(選択)もない。
読者は、この子の目を通して、その時間を体感する。大きな選択をしない、というのは、読者と主人公を乖離させないためですよね。
こんな人生、うらやましいよ、ほんとに(笑)

ちょっと物足りなかったのは、悠也はあれだけなの?ってことですよ(笑)
そんな、都合のいいだけの男で、君はいいのか!っていう。もっと活躍して欲しかったですねー。もうちょっと生身であって欲しかったというべきか。この作品で描かれているのが「女性」だからしょうがないのか。男性も、全員あくまで少女漫画的でしたね。
あと、さらに欲を言うと、もっと強い感情が欲しかった。
私は、ハートをぎゅっとつかまれるような瞬間を、待っているんだよなあ。本を読んでいても、ライブに行っても。


余談ですが、タイトルなんて読むのかなーと読み始める前に悩んでいたんですが、「こうや」が正解です。
なんで悩んでいたかというと、井上荒野(あれの)さんて作家さんがいらっしゃるじゃないですか。だから、「あれの」かなーって思ってたんですよね。(帯を見て、女の子の名前だということはわかってたので)
女の子に「荒野」って名前をつけるって、なんか高尚な感じがします(笑) 高尚っていうか…深いなあって。ロマンを感じます。
★★★★


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