記憶の栞
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ついにやってきました結婚式。 前日は緊張のあまりほとんど眠れず。 夜中に、「新婦の手紙」の練習をしたり 入場の歩き方練習をしたりして時間を潰し ほとんど徹夜状態。
朝はおきまりの 「長い間お世話になりました」 なんて台詞を言ってしんみりする時間も無く それぞれがそれぞれの準備に追われ 慌てて出発となりました。 車の中でおにぎりをほおばる私。 ちょっと早めのお昼ご飯です。
予想以上に道が空いていて 予定時刻よりかなり早めについたので 従姉妹と家族と一緒にまたお昼ご飯。 花嫁の私は「水を飲むな」釘を刺されていたので 何も口にしませんでした。 11時半頃美容室へ行き メイクセット開始。 服を脱ぎ、ブライダル用下着を着け、上からタオル地のスリップを着た状態で メイク作業をすすめていく。 全身塗ってきれいにして下さいとお願いする。
髪をいじりながら、美容室のチーフらしき人が 「泣かないといってる新婦ほど泣くんですよ」 なんて話をしてくる。 「私、泣かないな、きっと」と言うと 「またまたー、帰ってきたら泣いた跡があるんじゃないですか」 とからかう。 うーん、泣かないとかじゃなくて、泣けないんだよね。 とてもじゃないけど、泣く方に意識を持っていけない・・。 ああいう舞台で演技以外でどうやって泣くんだろう。 感極まって、なんてよっぽど余裕のある人間しかできないと思う。 人前で泣くなんて、恥だ、恥。 っていうか泣いたら余計嘘っぽい。 私は、人の結婚式だろうが、親しい人の葬式だろうが 泣いたことがないです、人前で。 私の泣き顔を見たことがあるって人は、多分よっぽど 心を許してる人間なんだと思います。
髪を巻いて化粧を丁寧に塗っているところへ 続々と新郎側の親族が着付けにやってくる。 新婦側の親族は皆着付けを美容室ですませてきているので誰も来ない。 何だかある意味孤独。 そして、別の意味で緊張。 担当の美容師さんに、情けない声で「もーいやですー出たくないですー」 と泣き言を繰り返し、ため息をついていたら 「ため息ついたら幸せが逃げますよ、ダメですよ」 と注意された。
でも、人前にでるのはいやなのよぉ・・・・。 しかも、知らない人の前に出るのは苦手なのよぉ・・・。 さらし者になるのはいやだー。 かつて営業職をしていた人間とは思えないほど弱気。 あまりに私がわきゃわきゃ騒ぐので 見かねた担当美容師さんが、「大丈夫ですから、私たちにまかせてください」 と激励してくれ、多少落ち着いた。
13時になって美容師さんが 「新郎さん来ませんねぇ」とぽつり。 実は、私が新郎は13時半入りだと思っていたので 間違った時間を伝えてしまっていた。 うそ、ヤバイ。13時だったのか。 慌てて新郎に電話を入れる。 どうやら早く着いていたらしい、すぐ美容室に入るとのこと。よかった。
新郎さんが美容室にやってきて ほぼ塗り壁状態の私を見る。 嬉しそうだ。つうか変身中を見られるのはなんか照れくさい。 新郎は別室で着替えるらしいので、すぐ出ていってしまった。 あら、残念。私の泣き言を聞いて欲しかったのに。
メイク完成。ヘアセット完成。 すでに、宝石類、ベールなど装着完了。 打ち合わせの時より、すばらしい出来。 さすが。プロだ。
さて、ここからドレスを身につけます。 ドレスを着るのは一瞬です。 あっという間に終了。 さて、もう逃げも隠れもできません。
ところが、ここで一つトラブルが。 靴のサイズが合わない。大きすぎてすぐに脱げてしまうのだった。 衣装サロンで試着したときは、ぴったりだったのに。 ヒールが10cmもあるので非常に歩きにくい上、脱げてしまうので 変な歩き方になる。 介添えの方が、中に綿をつめてくれて、ようやくなんとか歩ける状態になった。 ・・・・不安だ。式で、こけそう・・・。
お花屋から届いたブーケを持つ。 白バラとジャスミンを加えたセミキャスケードにしたのだが 本当に清楚で可愛らしいブーケになった。 気に入った。 だが、片手で持つとかなり重い上、サテンの手袋の所為でつるつるすべる。 これでさらにドレスの裾も持たないとだめなんて、無理だ。
さ、行きましょ。と介添えさんに連れられて 写真室に押し込まれる。 慌ただしくポーズを取らされ、撮影していると 黒のエンビ服を着た新郎が登場。 話をする間もなく、お互いの服装に関する感想を言う暇もなく 撮影開始。 「はい、わらってー。肩落としてー。新婦さんもう少し寄って」 次々に指示を出すカメラマン。 新郎の方は当然見れず、カメラとにらめっこ。 ああ・・・感慨がない!
以下妄想。 新婦が控え室で静かに待っていると、正装をした新郎が入ってくる。 お互いしばし見つめ合い、新郎が一言。 「綺麗だね」
・・というシチュエーションが夢だったのだ。 これぞ、結婚式だと思っていたのに。 夢は無惨にもうち砕かれました。 当日は予想以上に忙しいです、はい。
写真終了後、ようやく新郎の姿をまじまじと見ることができた。 おお、似合うじゃん。 新郎からは、なんか言葉を頂いた覚えがないんだけど。 つい自分から、似合う?って聞いてしまった。
和気藹々とする暇もなく、担当のカメラマンが あれこれとポーズを取らせる。 親族控え室に向かうまでに、何ショット撮ったでしょう。 すっかりプリクラノリでカメラに向かってポーズをとりまくる私。 写真に慣れない新郎はカメラマンさんに色々と注文をつけられてました。 私も一生懸命笑うが、緊張の為か顔の筋肉が引きつって困りました。 カメラマンの横で、新郎も自分のデジカメでパチリ。 後で現像したら、カメラマンよりよっぽど上手に撮れていた。 腕がいいのか、私が新郎に対してなら無理なく笑えるのか。
慣れないドレス姿に何度もつまずきつつ、それぞれ親族控え室へ。 新郎としばしお別れ。 控え室に入ると、「おー、きれー」と言いながら みなさんに祝福の写真攻撃を受けまくる。 ああ、モデルになったようだ・・。 なんかまんざらでもない気分だが、緊張しているのには変わりない。
新郎側の親族の着替えが終わったところで、 新郎側控え室に集まり、親族紹介開始。 私の父がちゃんとみなさんに親族紹介できるか不安だったのですが 案の定、名前が出てこず、親族の方がそれぞれ名乗るという形式になってしまった。 あらら・・こんな調子で挙式は大丈夫なのか。
親族紹介後、私と新郎、それぞれの両親は挙式リハーサルの為教会へ。 なんと20分たらずで挙式の流れを説明するのだ。 「はい、おとーさん新婦と並んで歩いて、普通に歩いて、 ここまで来たら一度立ち止まって一礼して、また歩いて ここまで歩いたら、新郎新婦を迎えに来て、おとーさんと一礼して はい、新婦さん新郎と並んで歩く、一段台にあがって、手は組んだまま。 神父が神にいのりをささげて、賛美歌を歌います。 誓いの言葉を「はい、誓います」と言って下さい。 その後、聖書の上にお互いの手を重ねて、宣誓します。 そのまま、横に移動して、それぞれ結婚証明書に名前を書いて下さい。 指輪を交換します。 それから、ベールを挙げて下さい。 ここでキスをしてくださいねー。形はおまかせします。 それじゃ、退場です。まっすぐ歩いてください」 なんて、感じで一通りの説明は受けたがちんぷんかんぷん。 ああ、早すぎて何が何だかわからん。 試しに、入場の練習をしてみたが、腕を組んでる父親が すたすた歩いていくので、見事に置いて行かれた。 「ああー。歩くの速すぎー!! 普通の速度であるけるかい!!」 と切れておりました。 「訳が分かりません」と呟く私に、従業員の方が 「二度目は落ち着いてできますよ、大丈夫」 と慰めるが、二度目って本番やん!! ビデオ撮影をお願いしたことを大いに後悔するのであった。
教会の傍の控え室に居るとき、介添えさんに あまりにブーケが持ちにくいので何とかしてくれと頼んだら 持ち手にガーゼを巻いて滑りにくくしてくれた。 おかげでずいぶんと持ちやすくなった。 父と二人きり控え室に居たが、今までのお礼の言葉よりも 挙式の入場をどうクリアするかという話をしていた。 余裕なさすぎ、私。 出番まで後数分。緊張のあまり心臓がばくばくするなか、 美容師さんが私の頭にガンガンハードスプレーを振りかけた。 ・・かけすぎやって・・。
いよいよ、招待者が全員着席し、挙式開始。 パイプオルガンの音が聞こえる。バージンロードに立つ。 うわわわ・・・いやだぁ、逃げたい!! 席に並んでるのはカボチャだと思うことにしよう。(失礼すぎ) でないと、やってられん。 扉がオープン。 静かに進み出る。父もリハよりゆっくり歩いてくれる。 なんとかなりそうだ。 一礼をすると、たちまちあちらこちらからカメラのフラッシュが起こる。 ・・教会、カメラ禁止なんだけどなー・・。 と思う心は別にして、極力無表情で視線を動かさないようにして進み出る。 何とか、無事に入場は終了。 入場してしまえば、参列者の方々には背を向ける形になるので少し緊張が解けた。 後で、新郎に聞いたら、彼側から見た入場のシーンはとても感動的だったらしい。 扉が開いた瞬間、すごく感動したんだってさー。 よく、感動できるだけの余裕があったもんだ。 私いっぱいいっぱいでした。
誓いの言葉も声が裏返るんじゃという失敗もせず、 結婚証明書に名前を書き間違えるなんて失敗もなく 挙式は順調に進んだかのように見えた。 が・・ 指輪交換の時それは起こった。 新郎は、指輪を右手と左手間違えることなくはめ終えた。 指を間違えたりしないだろうかと心配して、 前日ネイルサロンに行って薬指だけラインストーンでネイルアートしてもらったのが少しは功を奏したのだろうか。 そして、私。 新郎の指に、指輪が入らなかった! 関節でつっかえて入らないの! 焦った・・思わずぐりぐり回してねじ込んでしまった。 後で、ビデオにしっかりそれが撮られていてかなりブルーだった。 私の所為ではないはずだ。 前日酒を飲んでた貴方恨みますー・・。
そして、ウェディングベールを上げる。 引っかかることもなく、無事綺麗に上がる。 いよいよ誓いのキスですが、打ち合わせしなかったわりに タイミングずれることもなく、終わった。 とても神聖な気分でした。 恥ずかしいとか思わなかったなー、不思議と。
で、退場。 これも無事終了。 退場してから、緊張が解けて、私ははしゃぐはしゃぐ。騒ぐ騒ぐ。 新郎が宥めて下さった。 おわったー。よかったー・・・。
フラワーシャワーの中を進みながら、 友人方々の装いをみて みんな可愛いなーと妙にニコニコしてしまった。 私なんかよりよっぽど綺麗だぞ。
新郎と並んでカリヨンを打つ。 思ったよりでかい音がした。 晴れて良かった。
とりあえず、挙式編は以上。 次は、披露宴編に続きます。
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